2025年6月13日、シンガポールメディアの聯合早報は李在明(イ・ジェミョン)大統領就任後の韓国について、「大統領選挙の背後で顕在化した韓国政治の二極化現象の修復や短期解決は困難」と指摘するマレーシアの民間調査会社ムルデカセンターの李泰徳研究員の論評を掲載した。
記事は初めに「昨年12月の尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領による『非常戒厳』発動で引き起こされた動乱で民主制度が大きなダメージを受けたが、今年6月の李大統領就任により、しばらくは落ち着いたように見える」としながらも、「韓国のような民主制度が大きなダメージを受ける事態は、2016年の英国のブレクジット(EU離脱)や米国のトランプ大統領就任によって各国で引き起こされた国粋主義や二極化政治の顕在化の潮流から来たものだ。
記事は2022年の韓国大統領選挙を例に挙げ、「政治思想上では左派と右派をそれぞれ代表する革新(進歩)系「共に民主党」と保守系「国民の力」がそれぞれ48.56%と47.83%の得票率の支持を得た。この時の得票数の差はわずか25万票で、史上最も僅差の結果となった。全く異なる利益を代表する政党の得票数がここまでの僅差だったということは、政治思想や政党支持の二極化を意味している。この結果により両党の激闘が引き起こされ、韓国社会における衝突の重要な伏線が張られてしまった」と述べた。
続けて、尹前大統領の政権後期に起きた与野党の議席数逆転に伴うレームダック化と二大政党制を取る米国での同様の事態を比較し、「米国でも行政府(大統領)と議会(立法府)の主導権がそれぞれ別の政党にある期間が長かったことがあるが、20世紀の米国の二大政党制は今日ほど二極化が激しかったわけではなく、多くの法案がホワイトハウスと議会の間の話し合いにより通過した。韓国では、尹政権後期に多くの重要な法案が野党の強烈な抵抗に遭い、予算案さえ国会で通すことができず、政治運営が停滞した。国会の政党分布は有権者の民意の表れだ。民意が徐々に両極化に流れ、社会上の衝突はますます顕在化した」と指摘する一方で、6月の大統領選挙での各候補者や政党の得票率を22年の選挙結果と比較し、「前回の選挙での尹前大統領や保守系の支持者は今年6月の選挙で革新系に鞍替えした数が少なく、主要メディアの出口調査の結果などを見ても、右派政党の支持者は国民の力から同じ保守系野党「改革新党」の李俊錫(イ・ジュンソク)氏に移っただけ」と指摘し、二極化の様相は前回の選挙から変わっていないと伝えた。
記事は最後に「李大統領は就任後、前大統領や文在寅(ムン・ジェイン)元大統領の勢力をも一掃し、議会と政党を完全に掌握したことで、決定権を独占する権力を得た。与党の共に民主党は議席で圧倒的多数を占めて安定している。次回2028年に行われる予定の国会議員選挙まで3年は与党の独壇場になるボーナスを得て、前大統領のような政権運営の停滞は起こらないだろう。