2025年7月30日、香港メディア・香港01は、中国本土で「大人のおしゃぶり」がブームになる一方で専門家からは安全面のリスクを指摘する声が出ていると報じた。
記事は、中国本土のECプラットフォームで近ごろ「ストレス解消・安眠」をうたう大人用おしゃぶりが急速に人気を集め、「感情経済」における新たな消費トレンドになっているとし、10~500元(約200~1万円)の商品が販売されており、人気のショップでは月に2000個以上売れていると紹介。
そして、ECプラットフォームに並ぶ「大人のおしゃぶり」は「不安緩和」「禁煙補助」「睡眠改善」といった効能を強調する宣伝文句が多く使われており、若い消費者を引き付けているとしたほか、SNS上でも関連動画の再生回数が急速に伸びており「おしゃぶりで禁煙に成功した」「一晩中くわえて眠っている」といった報告をする人もいると紹介した。
また、昨年の中国のストレス解消玩具市場規模が前年比15%増の200億元(約4000億円)を突破したことに触れ、「大人のおしゃぶり」がプッシュポップやハンドスピナーに続く新たな「感情消費グッズ」の一つになりつつあると評した。
一方で、専門家からは「長期使用は歯の摩耗や、顎関節症、開口障害、咀嚼(そしゃく)時の痛みといった問題を引き起こす恐れがある。毎日3時間以上使い続けると、歯の位置が変わってかみ合わせが悪くなる可能性もある」との指摘が出ていると紹介。また、素材の安全性にも不安があり、製品の約30%は具体的な素材表示がなく、廉価な製品の多くは可塑剤や刺激臭を放出する恐れのある工業用シリコンが用いられていると警告したほか、睡眠中におしゃぶりをくわえていると、体位の変化によって気道が塞がれたり、誤嚥(ごえん)を引き起こしたりする可能性もあるとした。
記事はメンタルヘルス産業が発展を続ける中で、専門家からは「真の心理健康は、現実と向き合い、問題を解決する勇気の上に築かれるべきであり、『赤ちゃん返り』のような慰め物に依存すべきではない」との指摘が見られると紹介。「シリコン製のおしゃぶりからAI治療アプリケーションへの転換は、現代人の感情管理の成熟の象徴となるかもしれない」と評している。(編集・翻訳/川尻)