2025年8月6日、仏国際放送局RFI(ラジオ・フランス・アンテルナショナル)の中国語版サイトは、中国人の女性がフランス郊外で大型の衛星アンテナを設置し、スパイ活動に従事した疑いが持たれていると報じた。

記事によると、フランス南西部にあるオートガロンヌ県の村に住む中国人女性が、自宅の裏庭に少なくとも高さ7.5メートルの巨大衛星アンテナを設置していたことがフランス情報当局によって発見された。

フランスの衛星から極秘データを傍受できる可能性があるとして、女性にスパイ活動の容疑がかけられているという。

一方、女性宅の隣に住む機械工は、女性とその夫が「米航空宇宙局(NASA)のために研究を行っていて、収集したデータをNASAに売っている」と語っていたことを明かした。

記事は、スパイ疑惑が高まった要因として、エアバスやタレスグループが地球観測衛星を制御する地上局の近くにアンテナが設置されていたことを指摘。フランスの情報当局は現時点でこのアンテナによる違法な情報収集や海外へのデータ送信の証拠を見つけられていないものの、スパイ活動の活発さで米国をしのぐ中国に対する疑いの目を強めているとし、6月には中国の通信会社がエアバスの拠点の近くに盗聴施設を配備したとの疑いで司法調査が始まっていたことも背景として伝えた。

その上で、現地の裁判所がこのアンテナを違法設置と判断し、アンテナはすでに撤去され、女性らもこの家から退去したと紹介。「ここ数年のフランスにおける最大規模のスパイ活動だった可能性がある」と伝えている。(編集・翻訳/川尻)

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