欧州のスポーツ用品小売大手であるIntersportが、生産体制の見直しを進めています。英紙フィナンシャル・タイムズが8月5日に報じたところによると、同社は生産の一部を中国に移すことを検討しており、自社ブランド商品の中国での調達比率を大幅に引き上げようとしています。
アディダスやナイキといった大手メーカーは、トランプ米大統領による関税政策の影響を受け、生産拠点を関税率が低い国へと移しています。しかしIntersportの新最高経営責任者(CEO)、トム・フォーリー氏は「こうした動きが、これまで生産負荷が少なかった市場に新たな圧力をもたらす可能性がある」と懸念を示しました。
現在、同社の主な調達先は中国、バングラデシュ、ベトナム、カンボジアなどで構成されています。フォーリー氏は「バングラデシュから中国への移行は必須ではないが、選択肢としては現実的」とし、柔軟な対応を示唆しました。
一方で、アディダスが昨年、ベトナムから27%、インドネシアから19%の製品を調達しているように、これら地域での生産競争は激化しています。このことも、Intersportの戦略見直しに影響を与えているとみられます。
フォーリー氏はまた、「多くの有名ブランドは、直販事業の拡大に苦戦しており、小売側である当社への依存度が増している」と指摘しました。今後5年で、自社ブランド商品の売上比率を現在の10%から20%へと引き上げる目標を掲げ、収益性の強化を図る方針です。
Intersportはスイスに本社を構え、42カ国・地域に5500以上の店舗を展開しています。自社ブランドのほか、アディダスやナイキなどの製品も販売しており、特にドイツを中心に欧州市場で高い人気を誇ります。2024年の売上高は140億ユーロ(約2兆3900億円)に達しましたが、利益に関する詳細は公表されていません。(提供/CRI)