広西チワン族自治区南寧市にある恐竜奥秘科学館で、常務副館長の梁芷瑜氏は「北緯21度の中国の砂浜を、かつて恐竜が歩いていた!」と興奮した様子で、来館者に自身が参加した研究チームの最新成果を紹介した。それによると、中国の恐竜足跡分布記録の最南端が北部湾沿岸まで更新された。

これにより、華南地域さらには東南アジアの中・後期ジュラ紀における恐竜の多様性や古生態の研究に新たな手がかりがもたらされた。新華社が伝えた。

梁氏は、「今回記録を更新した足跡は、約4平方メートルの岩石に保存された七つの獣脚類の足跡で、2021年に広西南部の北部湾沿岸にある東興市楠木山村で発見された。23年からは、広西自然博物館、中国地質大学(北京)、恐竜奥秘科学館などの研究機関が共同で、この恐竜足跡について形態学的な詳細記述を行い、さらに広西全域のこれまでの化石記録と組み合わせて、広西における恐竜記録の全体像を解明しようと試みてきた」と説明。関連成果はこのほど国際学術誌「地球史&生物多様性」に掲載された。

かつて北部湾沿岸を歩いた恐竜は一体どんな種類なのか?調査の結果、研究チームは2種類の恐竜足跡を発見した。研究チームメンバーで中国地質大学(北京)の邢立達准教授は、「A型の足跡を残したのが、体長3~4メートルの中型獣脚類恐竜で、歩行速度は約毎秒1メートル程度と推定される。その足跡の中趾の突出が弱く、縦横比が低いことから、俊敏な動きをする肉食恐竜であり、四川盆地の中・後期ジュラ紀の獣脚類恐竜と近縁である可能性が示唆されている」と説明した。

北緯21度の中国の砂浜を、かつて恐竜が歩いていた―中国メディア

また、研究チームメンバーで広西自然博物館の莫進尤研究員は「B型足跡は保存状態があまり良くないが、サイズが明らかに大きく、長さが47.6センチメートルに達する。既知の情報から推定すると、足跡を残した恐竜の体長は6メートルを超えると考えられ、アロサウルス類やメガロサウルス類といった大型獣脚類恐竜である可能性がある。この発見は、中・後期ジュラ紀の広西南部に頂点捕食者が存在していた可能性を示し、この地域の恐竜生態の理解をさらに深めている」と述べた。

今回の研究では、チームはさらに広西のジュラ紀から白亜紀の地層における四足動物の化石記録を体系的に整理し、14カ所の重要な恐竜化石地点を特定した。

広西は華南地域における古生物地層研究の「天然の実験室」とされ、ジュラ紀から白亜紀までの各時期を網羅する50以上の中生代~新生代の「赤色層」盆地が分布している。莫氏は、「広西における恐竜化石の体系的研究は、華南地域および東南アジアの中生代恐竜世界の謎を解き明かす助けとなっている」と語った。(提供/人民網日本語版・編集/YF)

編集部おすすめ