チベット自治区山南市に属するダナン県にある高原にはスマートガラス温室が立ち並んでおり、夏の終わりになると、その中で栽培されているブルーベリーの枝には葉が茂り、たくさんの実がなる。温室内には近代農業のムードが漂っている。
西蔵ゴビ田園農業科技の責任者・楊暘(ヤン・ヤン)さんは、「テクノロジーとイノベーションを頼りに、標高3700メートルの場所で高品質のブルーベリーを生産している」とした。同社は中国が特許を取得している56の技術を駆使して、組織培養による苗育成からスマート栽培に至るまでのトータル産業チェーンの管理・制御を実現している。モノのインターネット(IoT)システムが、リアルタイムで、温度や湿度を高精度で管理・制御し、水肥一体化装置が必要に応じて作動し、独自に研究開発したセレンを豊富に含む培養液が実の生長を特定の方向に促進させ、中国初の水耕栽培が、「植えた年に収穫」を阻んでいた技術の障壁を打破した。
扎囊県の栽培拠点のセントラルコントロールルームでは、光や温度、湿度などのデータがリアルタイムで表示されている。高原は日射量が多く、日中と夜間の気温差が大きいといったメリットが重なり、さわやかな食感で、甘さと酸っぱさのバランスがちょうどいい高品質のブルーベリーを栽培することができる。
かつては砂地だった場所が今、近代的なスマート農業のモデルパークになっている。企業は、出荷量の多い時期を避けて出荷するという戦略を通して、チベットのブルーベリーが盒馬や7FRESHといった高級スーパーを含む、中国全土のスーパーに並ぶようになっている。剪定を行っていた農家の次仁さんは、「月収は安定して5000元(約10万円)以上となっている。家の近くで仕事ができるし、生活もどんどん良くなっている」と満面の笑みを浮かべながら話す。同社は年間延べ600人以上の雇用を創出し、テクノロジーを通して、非耕地資源の活用を技術で支援しているほか、農家や牧畜民の増収の道を開拓し、荒れ地を本当の意味で生活を豊かにする場所へと変えている。

高原の特色ある資源に立脚する扎囊県のブルーベリー産業の青写真は今、よりはっきりと描かれるようになっている。