2025年9月16日、仏国際放送局RFI(ラジオ・フランス・アンテルナショナル)の中国語版サイトは、米国で闇のサプライチェーンを通じて中国の電子たばこが浸透しつつあると報じた。
記事は、米シカゴで数日前に連邦当局による電子たばこの集中取り締まりが行われ、470万個、8650万ドル(約127億円)相当の未承認電子たばこが押収されたと紹介。
そして、未承認電子たばこの大半が中国製であるとし、中国税関の資料で昨年の対米電子たばこ輸出総額が36億ドル(約5300億円)であるのに対し、米国税関が記録した中国からの輸入額はわずか3億3300万ドル(約490億円)であり、10倍近い異常な差が生じていることを指摘。シカゴ・オヘア国際空港近くの小さな通関業者が、中国業者の米国進出の「秘密の通路」となっており、昨年1年間で中国製電子たばこの輸入貨物の60%を扱い、価格の過少申告、不適切な分類、偽装梱包などの手口で中国メーカーの規制逃れを助けていたと報じている。
また、この通関業者が取扱製品について「米食品医薬品局(FDA)の承認を得ている」と主張しているものの、実際に取り扱っている一部ブランドはFDAによって明確に輸入が禁止されていると伝え、これらの禁輸品が果物やキャンディーのフレーバーで若者をターゲットにするものだったと紹介。バージニア州フェアファックスでは13~18歳の電子たばこ喫煙経験者が約9%に上り、専門家からは脳の発達や精神への影響が指摘されていることを伝えた。
さらに、FDA関係者によると、これらの電子たばこは規制回避のためにしばしば「おもちゃ」「靴」「小型家電」などと表示が偽装されており、また、ある港で押収されると、別の港へ貨物を転送して再試行する「ポートショッピング」という手口も使われていることから、規制が困難な状況にあると伝えた。
記事は、今回の取り締まりが連邦政府による電子たばこ闇市場への多角的な戦略の一部であり、連邦政府が今年半ばまでに違法製品600万個以上を押収していることを紹介した。
その背景として、今年5月に下院の中国問題特別委員会のジョン・ムーレナー委員長(共和党)とラジャ・クリシュナムルティ筆頭委員(民主党)がトランプ政権に対し、中国製未承認電子たばこの流入・販売に対して行動を起こすよう連名で書簡を送ったこと、バージニア州のジェイソン・ミヤレス司法長官も5月に28州の司法長官と連名でトランプ政権に「中国製電子たばこは子供たちに直接的な脅威を与えている」とする書簡を送り、国境での取締り強化を要請したことを挙げている。(編集・翻訳/川尻)