薄くて軽く、柔らかい紙が何十枚も重ねられているように見えるこの作品は、実は白い磁器でできている。中華芸術宮(旧上海美術館)で開催中の「万象本色――チャイニーズホワイト・徳化磁器」芸術展覧会には、数多くの磁器が展示されている。
福建省泉州市徳化県で製造される白磁は、玉のように白く、鏡のように明るく、紙のように薄く、中国の古代楽器「磬」のように澄んだ音色を持つことから、多くの人々に愛されている。同県のシンボルであるとともに、海外のコレクターから「チャイニーズホワイト」と呼ばれている。現代の徳化白磁は、伝承とイノベーションを融合させ、新たな魅力と生命力を放っている。同県は中国最大の陶磁器工芸品の輸出・生産拠点でもあり、陶磁器企業は4500社以上を数え、その製品は世界約190以上の国・地域に輸出され、年間売上高は660億元(約1兆3530億円)に達する。

徳化県のある陶磁器企業責任者の林良壁(リン・リアンビー)さんは、「目下、当社の年間輸出量は400万点以上で、輸出額は約4000万元(約8億2000万円)になる」と話した。
数だけでなく品質も大切だ。磁器の食器を使ったことのある人なら分かるが、磁器は衝撃や落下に最も弱い。徳化のある陶磁器工場の直営店では、毎日のようにカンカンと音を立てながら、店内の販売スタッフは楽しげに来店客へ陶磁器の耐衝撃性能を実演している。企業はすべての陶磁器に製造日を明記し、5年間の品質保証を提供している。

これだけ長い品質保証を打ち出せるその自信は、技術イノベーションと非常に厳格な品質管理から来るものだ。5年間に及ぶ研究開発を経て、同企業は原料の独自の配合方法を探り当て、強度の高い磁器食器の開発に成功した。