ワールドカップはグループリーグ終盤を迎え、各組で決勝トーナメント進出をかけた争いが熱を帯びている。各チームにとって、一つの勝ち点、一つのゴールが重くなる時期だ。
残念ながら、中国代表は今大会のピッチには立っていない。それでも大会を少し広く見渡せば、中国とワールドカップの接点は、これまで以上に多層的になっている。
会場と世界をつなぐ映像・通信技術、観客を運ぶ都市交通、各地へ届けられる応援グッズ、試合を支える運営スタッフや審判員――。今大会では、こうしたさまざまな場面に実は中国の存在がある。
まず、技術分野だ。レノボはFIFAの公式テクノロジーパートナーとして、AI、端末、データセンターインフラなどを通じ、大会運営や国際放送、会場でのファン体験を支えている。FIFAがダラスに設けた国際放送センターでは、レノボがサーバーを配備し、試合映像を世界へ届けるための情報処理やAI活用を支えている。
これは単に、スポンサー看板に中国企業の名前が出ているという話ではない。試合を世界にどう届けるか、会場の情報をどう管理するか、膨大なデータをどう処理するか。現代の大型スポーツイベントの基盤となる領域に、中国企業が関わるようになっているのだ。
ハイセンスや蒙牛乳業など、中国ブランドがFIFAワールドカップのスポンサーとして存在感を示してきたことも含めて、中国企業の立ち位置は変わってきた。かつて強調されたのは「安く大量に作る力」だったが、今はブランド、技術、サービスを通じて、世界の消費者に直接関わる場面が増えている。
人材面でも、中国は大会に関わっている。
中国人審判員の馬寧氏が今大会で主審を務め、周飛氏が副審、傅明氏がVAR担当に加わった。中国人主審がワールドカップの試合を裁くのは2002年以来24年ぶりとされる。馬寧氏は厳格なレフェリングで知られ、「カードマスター」の異名でも親しまれている。今大会を前に、そのキャラクターが中国のネット上で話題となり、企業の広告やキャンペーンにも起用された。審判でありながら、ひときわ注目を集める存在になっている。代表チームとは別の形ではあるが、中国のサッカー関係者が世界最高峰の現場で役割を担っていることは、素直に注目すべきニュースだ。
製造と物流の存在感も分かりやすい。
浙江省義烏市では、ワールドカップ関連商品の生産と出荷が活発になっている。義烏スポーツ用品協会のデータとして、ワールドカップ関連商品の生産の約70%を義烏が担っているとの報道もある。
ここでいう「関連商品」とは、FIFA公式グッズだけではない。応援グッズ、記念品、アクセサリー、各国の国旗など、世界中のファンが大会期間中に手にする多様な商品を含む。
共同開催国の一つであるメキシコでは、中国の鉄道車両大手・中国中車が開発したライトレール車両が、メキシコシティ、モンテレイ、グアダラハラで運行され、都市交通を支えている。報道によれば、現地の高地や雨季といった条件に合わせた設計が行われ、技術者も現地で対応に当たっている。また、大手バスメーカー宇通の新エネルギーバスもメキシコの公共交通で運用されている。
ワールドカップはスタジアムの中だけで完結しない。観客は空港から街へ移動し、ホテルに泊まり、会場へ向かう。開催都市にとって交通は大会運営の基盤であり、そこに中国製の車両が組み込まれていることは、中国の交通インフラ産業が海外都市の日常に根を下ろしていることも示している。
技術、ブランド、人材、供給網、都市交通。別々のニュースを並べると、中国が世界とつながる方法が、以前よりずっと多層的になっていることが見えてくる。
中国は商品を作って世界へ届けるだけでなく、技術を提供し、都市の移動を支え、国際大会の運営を担う人材も送り出すようになった。ワールドカップは、その変化がまとまって現れる場になっている。
その意味で、今大会で中国が果たしている役割は、単に「ピッチの外」にある付随的なものではない。
代表チームの成績だけでは見えにくいところで、中国はすでに国際スポーツイベントの運営や消費、都市機能と深く結びついている。今回のワールドカップは、そうした中国の新しい関わり方が、一つの大会の中にまとまって現れた場だといえる。
とはいえ、ピッチの外でこれほど存在感があるのなら、次はピッチの中でも見たくなる。今大会、中国代表は本大会に届かなかった。その悔しさは、やはり別の話として残る。
次回こそは、日本代表を応援するファンとともに、中国代表のプレーにも一喜一憂できるワールドカップを見たいものである。(提供/CGTN Japanese)











