台湾メディアの自由時報は28日、中国人観光客が日本の電車に乗った際に「心温まるサービス」を受けたものの、SNSに投稿した動画が原因で炎上騒ぎになっていると伝えた。

記事によると、香港から日本を訪れたとみられるネットユーザーがこのほどSNSに動画を投稿した。動画には、家族3人が近鉄の特急列車の最後部の乗務員室内で楽しそうに撮影している様子が映っており、男性が列車の操作レバーなどの設備に手を触れている様子も見られた。

投稿者によると、電車を乗り間違えたため車掌が特別に乗務員室に乗せてくれた上、本来停車しない駅で列車を停車させ、降ろしてくれたという。動画では、乗務員に案内されながら駅のホームに降り、階段へ向かっていく様子も確認できる。ただ、降車する際に乗務員とみられる人物の「Photo no!(撮影禁止)」との声も聞こえており、投稿者は無断で撮影していた可能性もある。

投稿者は、SNS上で広東語(香港や中国広東省を中心に使われる言語)で乗務員らに感謝の言葉をつづり、「日本のサービス精神は本当に称賛に値する。もし(中国の)高速鉄道だったら、そのまま武漢まで連れて行かれていただろう。サービスの姿勢とは本当に重要なものだ」と絶賛した。

ところが、問題の動画が日本のX(旧ツイッター)などに転載されると、「日本の鉄道会社には極めて厳格な安全規則がある。乗客1人のために列車を臨時停車させることなどあり得るのか」「一般の乗客が乗務員室に立ち入り、運転設備に触れることは禁じられているはず」といった指摘が相次いだ。さらに、「鉄道営業法」に抵触する可能性もあるとして、鉄道会社や国土交通省に調査を求める声も上がった。

中には、「近鉄は過去にも乗り間違えた乗客を臨時に停車させて送り届けるなど柔軟な対応をしていたため、外国人観光客だけを特別扱いしたわけではない」と擁護する声もあったものの、乗客を乗務員室に入れた上に設備に触れさせたという点には依然として厳しい批判が向けられているようだ。

記事によると、この騒動について中国のネットユーザーからは「日本では鉄道営業法違反になるのではないか」「日本で広く知られれば間違いなくニュースになる」「助けてくれた乗務員を失職させたいのか」といったコメントが寄せられたほか、投稿者らが問題の動画を自慢するかのようにSNSに公開したことにも批判の声が上がっている。

日本文化や鉄道運営に詳しい香港の元議員、葉錦龍氏はSNS・Threads(スレッズ)で「日本では乗車券を購入した時点で、鉄道会社は乗客をA地点からB地点まで運ぶ契約を結んだことになる。そのため、乗客が列車を乗り間違えた場合、契約の履行に支障が生じる可能性があり、車掌や運転士が大幅な遅延を招かないと判断した場合に限り、例外的に途中駅で停車させ、反対方向の列車に乗り換えられるよう配慮した可能性がある」と説明した。

また、投稿者らを一般の車両内ではなく乗務員室に乗せた理由については、「乗務員室のドアだけを個別に開けることができるため」とし、一般の車両に乗せた場合は停車駅ですべての車両のドアを開けることになり、それによって他の乗客が誤って降りてしまうのを防ぐ目的があったのではないかと推察した。

葉氏は最後に、「恩を受けたなら、その人を害してはいけない。何事も慎重であるべきだ」と述べ、SNSへの不用意な投稿によって親切に対応してくれた乗務員に迷惑をかけることのないようにとくぎを刺した。(翻訳・編集/北田)

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