高校2年のとき、マンガ家デビューした末次由紀先生。

競技かるたに青春をかける高校生を描いた代表作『ちはやふる』は、数々の賞を受賞し、テレビアニメや実写映画にもなるほどの大ヒット!

そんな末次先生は、一体どうやってマンガ家になったのか、聞いてみた。


<<目次>>
【マンガを描き始めたきっかけ】ほめられるのがうれしくて絵ばっかり描いていた

【マンガ家を目指す第一歩】雑誌へ投稿して批評されることが励みに

【マンガ家デビューへの道】コンクールの受賞作品でマンガ雑誌にデビュー

【大学へ進学した理由】マンガ家になるためにマンガ以外の勉強をしようと思った

【代表作との出合い】リアルな高校の競技かるた部の世界が大ヒット!

【高校生へのアドバイス】たくさん恋をして、人間観察をすることがマンガのヒントに 【マンガを描き始めたきっかけ】ほめられるのがうれしくて絵ばっかり描いていた
――いつからマンガを描き始めたの?
「3~4歳から、絵ばっかり描いている子どもでした。白い紙と鉛筆を持たせていれば、ずーっと何か描いているみたいな。

水彩画を描くことが趣味の父に、色鉛筆の使い方を教えてもらっていましたね。

保育園で『上手だね』とほめられて、『あ、私、絵がうまいんだ。じゃあ、もっと描こう』と調子にのっていたんです(笑)」


『ちはやふる』の作者・末次由紀先生に聞く 高校生でマンガ家デ...の画像はこちら >>

▲8/10発売の35巻の表紙イラスト


マンガを読むことも大好きで、雑誌『なかよし』が宝物。

毎月、隅々まで何回も何回も読んでいたそう。

小学校5~6年のころから、ノートにストーリー仕立てのマンガを描くようになった。

中学では、マンガ用のケント紙を使い、30ページ程度の本格的な作品として形にするようになる。

「当時のお小遣いは月500円。ケント紙が1枚40円でしたから、最初は1枚か2枚だけ買って、ペンの練習をしていました。

何とか雑誌に載っているような形に近づきたくて、1話完成させるのが目標でした。

仕上がったら友達に読んでもらい、『うまいね』とほめられることがやる気になっていたんです。


身近な人をモデルにした学園モノとか、超能力者の物語とか。今思うと、あんなわけのわからない話を、よく読んでくれていたな、って思いますが(笑)」 【マンガ家を目指す第一歩】雑誌へ投稿して批評されることが励みに


『ちはやふる』の作者・末次由紀先生に聞く 高校生でマンガ家デビューする方法

▲15歳のときに、なかよしのまんがスクールに入賞した「月星夜」



『なかよし』のまんがスクールに初めて作品を投稿したのは中学2年の時。

――その時、どんな結果だった?
「自信満々で応募したのに、評価は一番下のCクラス。最初はがっくりしましたが、どこが悪かったのか、編集者さんが細かい文字でいっぱい批評を書いてくれたのがうれしくて、もっとうまくなるように頑張ろうと思ったんです」

中学生のころのお小遣いは月700円~800円だったのに、絵に模様を付けるスクリーントーンは1枚800円。

投稿した作品に貼ったスクリーントーンを剥がして再利用するなど、工夫して使っていたそう。

「お小遣いやお年玉をもらったら、貯めて、道具を買って、描く、という状態だったので、中学3年で初めて入賞して、原稿用紙とスクリーントーン3枚と賞金1万円をもらったときは、『よし、これでマンガが描き放題だ!』とモチベーションが上がりましたね。

中学3年から高校1年が一番熱い時期で、毎月のように投稿。

高校受験前の2カ月間だけ休みましたが、あとは毎日夜12時過ぎまで描いていました。

明日の放課後に郵便局へ持っていけば今月分の受け付けに間に合うから頑張って仕上げよう、とマンガ家の締め切り気分を味わったりして。

これだけ熱ければ、私はいつかマンガ家になれるって思っていました」

まんがスクールに投稿すると、編集者の批評シートと優秀作品を掲載した小冊子をもらえるのがよかったという。

「入賞すると、その小冊子に自分の作品を載せてもらえてうれしいし、他の優秀な作品を読むこともすごく勉強になる。

編集者さんのアドバイスがすごくためになりました。


こういう作品を描いたら、こういう批評をされるんだ、とライバルの作品に刺激を受けたり、プロの評価がわかることで、自分の世界がどんどん広がっていきましたね」 【マンガ家デビューへの道】コンクールの受賞作品でマンガ雑誌にデビュー


『ちはやふる』の作者・末次由紀先生に聞く 高校生でマンガ家デビューする方法

▲末次先生が表紙を飾った、まんがスクールの小冊子


マンガを描いたら、自分の好きな雑誌や作風が合いそうな雑誌などに、とにかく投稿し続けることが大事だという末次先生。

――当時、どんなことを考えていた?
「マンガ家になる道はわかりやすいんですよ。

私は『なかよし』が大好きだったから、毎月募集しているまんがスクールにひたすら投稿しました。

毎回、必ず細かい批評をされて、だんだん評価が上がっていく。

入賞すると賞金がもらえるのは大きなモチベーションになりました。お小遣いを貯めなくても道具が買えますから(笑)」

高校2年のとき、編集者の薦めで講談社『なかよし新人まんが賞』に応募。

ある程度、投稿を続けていると、編集者から声がかかり、新人まんが賞で受賞することがデビューにつながっていくのだという。

末次先生は、初めて応募した『太陽のロマンス』で佳作を受賞し、その作品が増刊号に掲載されてデビューした。

「授賞式では、うれしい、というより、スタートラインなんだと実感。

晴れやかな気持ちはあったけど、プロとしてやっていけるのかという不安も大きかった。

でも、同期でデビューした人たちと友達になることができたんです。私が一番年下でしたが、10代が多くて心強い存在。


今でも仲良くしています」 【大学へ進学した理由】マンガ家になるためにマンガ以外の勉強をしようと思った


『ちはやふる』の作者・末次由紀先生に聞く 高校生でマンガ家デビューする方法

▲「ちはやふる」24巻より


高校は、1時間目の前に0時間目があり、8時間目までギッシリ勉強漬け。

さらに、通学は片道1時間かかるため、マンガを描く時間の確保に苦労したとか。

――当時、どんな生活を送ってた?
「毎日3~4時間、マンガの時間を作るため、あまり寝ていなかったですね。

とにかく毎月1作は仕上げることを目標に頑張っていました。

ところが、高校2年でデビューしたら、企画を出して編集部のOKがもらえるまで作品に取りかかれなくなってしまったんです。

とにかく描きたいのに、自由に描けないのが悲しくて、高校3年で受験勉強にシフトしました(笑)。

一生、マンガ家でやっていける保証はないから、まず大学へ入って、4年間、マンガを頑張ってみて、ダメだったら就職しようと考えていたんです」

大学の文学部に入学して現代文学を専攻。美術系の大学ではなく、文学部を選んだ。

――その理由は何だったんだろう?
「マンガ家になるには、制作以外のことも知っておいたほうがよいと思っていました。

マンガの登場人物は普通の学校生活を送っている子たちなので、自分も一般的なことがちゃんとわかるように暮らそうと考えたんです。

だから、友達との恋愛話や、誰かに背中を押してもらった言葉などは、いつかマンガで表現したいとノートにメモしていました(笑)」


『ちはやふる』の作者・末次由紀先生に聞く 高校生でマンガ家デビューする方法

▲「ちはやふる」23巻より


友達の恋バナは、まさにネタの宝庫。

すごくモテる友達がいたそうで、その体験談を聞きながら、ストーリーやセリフを考える時の参考にしていたという。



そんな普通の大学生活を送りながらも、マンガ家として活躍していた末次先生。

大学3年のころには、マンガ家として続けていく手応えを感じて、就職活動をしなかったそう。

「そのときも、10年やれたら十分だと思っていました。キビシイ世界だとわかっていたから。でも、前しか見ていなかったですね」 【代表作との出合い】リアルな高校の競技かるた部の世界が大ヒット!


『ちはやふる』の作者・末次由紀先生に聞く 高校生でマンガ家デビューする方法

▲8/10発売の35巻


大学卒業後はマンガ家に専念していた末次先生にめぐってきた大きなチャンスが、競技かるたとの出合い。

きっかけは、編集者の「かるたのマンガを描いてみませんか?」という提案だった。

――そのとき、どう思った?
「高校時代は百人一首クラブだったのですが、競技かるたのことは知らなかった。

すごく速く取り合うかるたがあるらしい、って程度。

でも、競技かるたの試合を見てみたら、イメージとは全然違って、とてもおもしろいスポーツだったんです」

『ちはやふる』の連載を始める1年くらい前から、かるた大会や高校のかるた部に行って取材をして、競技かるたの勉強をしたそう。

「高校生に『部員は何人?』『毎日何時間練習してるの?』『かるた楽しい?』『こういう時、何を考えているの?』などと話しかけたり、札を取るポーズをビデオ撮影させてもらったり」

競技かるたを実際に見て、かるた部の高校生たちの話を聞くことで、リアルなストーリーを組み立てることができたという。

『ちはやふる』の作者・末次由紀先生に聞く 高校生でマンガ家デビューする方法

▲「ちはやふる」33巻より

「『千早(『ちはやふる』の主人公)みたいに熱い高校生なんていないでしょ?』と言われるけど、取材してきたからこそ自信を持って描けるんです。すごく強い人が負けて悔しがっている姿を見ると、こんなことが現実にあるなんてって突き動かされたりします」 ――マンガ家になって一番よかったと思うことは?
「マンガをいくらでも描いていいと言われたことですね。


マンガが大好きだから、マンガだけ描いて生きていけるって、なんて幸せなことなんだって思いました。

読者を驚かせる演出を考えている時が一番楽しい。

いい人と思わせておいて、ここで伏線を引き、みんなが忘れたころにひっくり返す(笑)。

その驚かせ方を考えるのが好きなんです」

末次先生の演出を探りながら読んで、『ちはやふる』の今後の展開を楽しみにしよう。

【高校生へのアドバイス】たくさん恋をして、人間観察をすることがマンガのヒントに


『ちはやふる』の作者・末次由紀先生に聞く 高校生でマンガ家デビューする方法

▲「ちはやふる」32巻より

――マンガ家を目指している高校生にアドバイスをするとしたら?
「恋はいっぱいしたほうがいい。そして、友達の恋バナもいっぱい聞いておくこと。

人は恋をするとどうなるのか、エピソードやセリフを書き留めておきましょう。

頭の中で想像するだけだと限界があって、リアリティに欠ける人物しか描けなくなりますから。

好奇心旺盛に、人間観察をしっかりして、人の話をよく聞くといいですね。他人に興味をもって、他人の気持ちがわかること。

こういう人なんだ、こういう考え方もあるんだ、って、現実の世界のおもしろさをちゃんと吸収すること。

あとは、マンガをたくさん読むことですね。
好きなマンガを読むと、自分もこういうマンガを目指して頑張ろうって、やる気がもらえます」


『ちはやふる』の作者・末次由紀先生に聞く 高校生でマンガ家デビューする方法

▲「ちはやふる」26巻より


今でもたくさんマンガを読んでいるという末次先生。

マンガ家を目指すなら、大好きなマンガを読んで、大好きなマンガを描いて、大好きな雑誌に投稿し続けることが第一歩なのだ。

『ちはやふる』の作者・末次由紀先生に聞く 高校生でマンガ家デビューする方法

末次由紀先生
高校2年のとき、『太陽のロマンス』が講談社『第14回なかよし新人まんが賞』で佳作を受賞。同作品が『なかよし増刊』に掲載されてデビュー。

講談社『BE・LOVE』に連載中の代表作『ちはやふる』は、『第2回マンガ大賞2009』『このマンガがすごい!2010オンナ編第1位』など、数々の賞を受賞。テレビアニメや実写映画化されている。

2016年には、映画『ちはやふる -上の句・下の句-』が、2018年に『-結び-』が公開予定。コミックス『ちはやふる』最新35巻は2017年8月10日発売。
講談社コミックプラス

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投稿『ちはやふる』の作者・末次由紀先生に聞く 高校生でマンガ家デビューする方法は【スタディサプリ進路】高校生に関するニュースを配信の最初に登場しました。

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