秋山黄色が鳴らすバンドサウンドが内省的な響きを持つ理由

秋山黄色が鳴らすバンドサウンドが内省的な響きを持つ理由
1996年生まれのソロアーティスト、秋山黄色が1stアルバム『From DROPOUT』をリリースした。高校生の頃からYouTubeやSoundCloudなどへ音源や映像を投稿し、ボカロシーンと共鳴しながら独自のスタイルを作り上げてきた彼について、ライターの三宅正一が考察。

初めて秋山黄色の音楽に触れたのだが、とても混沌とした、しかし最初から最後まで”ニュートラルなシニシズムやニヒリズム”に覆われたサウンドと歌が鳴り響いている。どこまでも冷めているのに、熱量が高い。あるいはその逆も然り。

穏やかではない動きを繰り返す内心に溜め込んだエモーションを外に向かって解き放つというよりも、一方ならぬ自問自答と内省を自身の中に閉じ込めたままたぎらせている、という趣が強い。最終的なアウトプットはバンドサウンドでありながら、他者とのカタルシスの共有=理解者の存在に重きを置いていない=あらかじめ強固な諦観を覚えているような感触が通底している楽曲群の音楽的な情報量の多さ、その精度の鋭さは、彼がたった一人の楽曲制作をいかに不可侵な領域として育んできたかを、特別な迫力をもってこちらに訴えかけてくる。孤独を幾重にも実感しながら、己の社会性の希薄さを誰とも分かち合えないということを音で形象化し、言葉と旋律を紡ぐことでそれが歌になり、この人間性を立体化すれば生きる理由に十二分に値する。それ以上でもそれ以下でもない状態からあふれているすごみが、秋山黄色というソロアーティストの求心力になっている。

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2020年3月16日の音楽記事

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