今年で開催25周年という大きな節目を迎えるサマーソニック。その四半世紀にわたる歩みを、公式プレイリストとビデオポッドキャストで振り返るSpotify限定コンテンツ「5x5 Years of SUMMER SONIC」が好評を集めている。


本日5月22日にはビデオポッドキャストの第5回にして最終回「Episode 5: 2022-2026」が配信開始。本プログラムでは、オーガナイザーの清水直樹(クリエイティブマン代表取締役社長)と、サマソニ初回からメインステージのMCを務めるサッシャが登場。長年現場を共にしてきた二人だからこそ語れる、貴重な振り返りトークを楽しむことができる。

Rolling Stone Japanでは、この対談のテキスト版をお届けする。本記事では、2021年のSUPERSONICと2022年~2025年をプレイバック。2026年とこの先の展望についても語る。[構成:西廣智一]

サマーソニック 今日に至る2022-2025年、そして2026年の展望──The 1975、ケンドリック・ラマー、BE:FIRSTらによる新たな伝説【5x5 Years of SUMMER SONIC Part.5】

左からサッシャ、清水直樹(Photo by Mitsuru Nishimura)

2021:コロナ禍のSUPERSONIC、BE:FIRST初の有人ステージ

サッシャ:最終回となる今回は、コロナ禍から今年に至るまでのサマーソニックということになります。まずは前回の最後の2019年、3日間開催が大成功のうちに終わり、「サマソニは世界一のフェスだ」という話をしました。これは今も間違いないと思うんだけど、その手応えを当時清水さんと話したことをよく覚えています。しかし、2020年に入り突然新型コロナウイルスが猛威を振るい始めた。当初、この年はオリンピック、パラリンピックが予定されており、8月に幕張のあの会場が使えないということで、SUPERSONICというフェスをやる予定だったんですよね。

清水:もともとコロナ云々じゃなくても8月はマリンスタジアムを使えなかったので、スケジュールを9月に移してマリンスタジアムだけで何かやろうと。
メッセは9月も使えなかったので、マリンだけではサマーソニックではないだろうということで、それでSUPERSONICという違う名前でやろうとアナウンスをしたんだよ。ポスト・マローン、The 1975、スクリレックス、まあなかなかのメンツを用意していて。

サッシャ:このときもすごかったんですよ。

清水:それで「よし、行こう!」って言ったときにコロナになってしまったと。

サッシャ:結局、2020年はSUPERSONICは開催されず、翌年2021年になってもあまり状況が良くならず。2021年のときは開催するかどうかも、結構ギリギリまで悩んでましたよね。

清水:そうだね。まず、あの頃は通常のロックコンサートやツアーも、コロナ以前の通常の形ではできなかった。でも、海外ではすでにフェスをやりだしていた。

サッシャ:日本との温度感が違ったんですよね。

清水:僕らはその温度感をどうにか埋めていきたい。僕ら以外にも洋楽プロモーターってたくさんいるんだけど、何もできない、呼べないっていう状況が続いていたので、そういったアライアンス(インターナショナル・プロモーターズ・アライアンス・ジャパン)も作ってどうにか日本でもスタートさせようと言ったときに、まずSUPERSONICというフェスから立ち上げようということで、僕が手を挙げた。
それに対して「みんな、ちょっと協力してくださいよ」ということで、ゼッドが……要はDJみたいに、動いたり声を上げるということがあまりないアーティストたちを中心に、やってくれる人たちを募ってSUPERSONICというのを、まだ日本ではコロナ禍と呼ばれていたときだけどトライアルして。これまで(コロナ禍に入ってから)海外のアーティストは一切入れられなかったんだけど、さまざまな働きかけで日本に招聘することができて、久しぶりに開催できたのがこのSUPERSONICだったわけ。

サマーソニック 今日に至る2022-2025年、そして2026年の展望──The 1975、ケンドリック・ラマー、BE:FIRSTらによる新たな伝説【5x5 Years of SUMMER SONIC Part.5】
SUPERSONIC 2021


サッシャ:ここで忘れちゃいけないのが、2020年にもともとオリンピック/パラリンピックをやる予定だったのが、そのオリンピックとパラリンピック自体が1年後にスライドして、SUPERSONIC開催の1カ月前にやっているんですよ。私もオリンピック/パラリンピックに関わっていたんでわかりますけど、そちらは無観客で。音楽ライブに関しても、皆さん配信でやられていた時代だったので、「これで(SUPERSONICを開催)できるの?」と。来日してもらうのも大変でしたし、ワクチンがどうのっていう問題もあった。確か、海外アーティストの皆さんは来日してから数日間の隔離期間を経て、出演してくれているんですよね。

清水:そうなんだよ。1週間とかね。この年はフジロックも開催されたんだけど、フジは日本のアーティストだけでやったんだよね。そんな中で、SUPERSONICは海外のアーティストを日本に呼んでやるという、最初のフェーズにしようということで実現させた。海外のアーティストも日本に来てくれて、オーディエンスも「コロナが怖い」とかいろんなことを言われている中で参加してくれた。
マスコミもとにかく悪い方向に持っていこうみたいな考えと、「いや、これは素晴らしい」というさまざまな意見が交錯する中で、来てくれた人たちには本当に勇気をもらった。今考えると、あの時期にSUPERSONICを実現できたことは、すごく大きかったんだよ。

サッシャ:1席空けて座って、キャパも半分にしましたよね。

清水:前後左右に並ばないように、交互に座ってもらって。

サッシャ:どうやったら開催できるかって、いろんな苦肉の策の末に開催にこぎ着けた。この開催の意義は大きくて、もちろん社会的な意義もあるんだけど、例えばBE:FIRSTはここからずっと、今年も含めてサマソニに出演し続けてくれている。確か、BE:FIRST初の有人ビッグステージがSUPERSONICだったんですよ。

清水:BE:FIRSTとNiziUだね。彼らはデビューステージにSUPERSONICを選んでくれた。 特にBE:FIRSTはそれ以降付き合いが長くなるんだけど、あのとき最初に出てくれた勇気と、(コロナ禍で大きなステージを体験する)怖さもあったと思う。それでも、ステージを全うしてくれた彼らには拍手だったし、そういう思いを彼らが経験しているからこそ、それ以降のサマーソニックにも連続で出てもらっているのはあるよね。

2022:「約束」を果たしたThe 1975とポスト・マローン

サッシャ:2022年もまだ微妙にコロナ禍だったと思うんですけど、そんな中で来日公演もだいぶできるようなり、2日間開催ということでサマソニが3年ぶりに復活。
この年のヘッドライナーはThe 1975とポスト・マローンという、忘れられない2組でした。

清水:これは、2020年に開催できなかったSUPERSONICへのオマージュだよね。彼らには「今回(2020年)は開催できないけど、サマーソニックが復活するときはぜひヘッドライナーをやってくれ」と待ってもらった。で、ようやく2022年に約束を果たすことができたという。

サマーソニック 今日に至る2022-2025年、そして2026年の展望──The 1975、ケンドリック・ラマー、BE:FIRSTらによる新たな伝説【5x5 Years of SUMMER SONIC Part.5】


サッシャ:このときのThe 1975は確か、左右に大きな縦型LEDを用意していて。

清水:あと、ステージ上に動く歩道みたいなのを作っていて。あれはカッコよかったな。

サッシャ:ステージングの極みみたいなのを見ましたよね。あと、ポスト・マローンはステージ上にひとりなのに、ヘッドライナーとしてお客さんを飽きさせないという。

清水:ビールを飲みながらね。何本飲んだんだろうな(笑)。

サッシャ:だいぶ飲んだと思うんですけど、ずっとひとりでステージに上がり続けて。
普通はね、ひとりだけだったらパフォーマンスに飽きがくると思うんですよ。だけど、喋ったりとか彼のセンスの幅広さとかも含めていろいろ趣向を凝らしていて、ポスト・マローンのアーティストとしての高い実力に圧倒されました。

清水:このあとカントリーに行って、また大ヒットしたりね。

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The 1975 (C) SUMMER SONIC All Rights Reserved.

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ポスト・マローン (C) SUMMER SONIC All Rights Reserved.

清水:いや、でもこの年はミーガン・ジー・スタリオンもいるし、マネスキンもいたのかな。

サッシャ:ですね。マネスキンもロック不遇と言われる時代に、ロック復活の狼煙を上げた象徴的な存在ですし。

清水:しかも、The 1975の前がKing Gnuで、その前がマネスキンっていうのと、ポスト・マローンの前がワンオク、ミーガンっていう。今考えると、このときこのアーティストがやってくれた、見せられたっていうところでは各日パーフェクトな3強が揃ったんだよね。

サッシャ:さらに、サマーソニックというといろんなコラボも、これまで話してきたようにあったわけですが、miletとクーラー・シェイカーの共演なんてのもこの年にあったんですよね。あとはヤングブラッドが初来日。

清水:ヤングブラッドはさ、本当はステージから降りちゃいけなかったんだけど(笑)。

サッシャ:いや、そうなんですよ。
確か前日の大阪で、ヤングブラッドが結構暴れちゃって。それで、プロダクションから言われて「皆さん、モッシュやダイブはもともと禁止ですけど、しないでください!」とアナウンスしたら、ヤングブラッドが出てきたらワーってなってしまって(笑)。それをヤングブラッドが「こういうふうにアナウンスされたけど、こうなっちゃった」みたいなのをインスタに上げてバズったっていう。僕が完全に世界の悪者になってしまったんですけどね(笑)。

清水:そういう出来事もあったけど、アーティストもこの頃はいろんな葛藤がある中でライブをやっていたんだろうね。これだけのアーティストがいる中で、それをすべてコントロールすることなんてできないし、いろいろ勉強になった年でした。

サッシャ:SUPERSONICを経て、BE:FIRSTもサマーソニックに初出演。BE:FIRSTの成長をサマソニとともに見るのは、もはや恒例になってきてますけどね。

清水:どこまで続くんだろうなって感じになってるよね。そりゃあファンが「今年も出るんでしょ?」って言うよな(笑)。

2023:ケンドリック・ラマー、NewJeansによる新たな伝説

サッシャ:2023年は久しぶりにいろんな制限がなくなっての開催でしたが、この年は史上最速ソールドアウトを記録しました。

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清水:そういうところからも本当に復活したって感じだと思うけど、でもフェスと言ったらラインナップだから。この年はブラーの復活だね。サマソニに合わせてきてくれたっていうのはやっぱり大きいし、あとはやっぱりケンドリック・ラマー。とうとうサマーソニックでケンドリックをヘッドライナーにできる。 タイミング的にも、この年以降だったら無理だっただろうね。金額も上がって。もう本当にギリギリのところでOKしてくれて、このときは自分でも相当粘ってファインプレーだなって思ったね。

サッシャ:紆余曲折あったんですか?

清水:いやあ、そうだね。ギャラの交渉とか平気で「あと1ミリオン、2ミリオン」とか言ってくるから、それに乗らないように、でもどうにかやってくれよ、みたいなところで決められたのがこの年だから。

サッシャ:それを飲んでしまうと、今度はチケットの値段が上がってしまって、ファンの皆さんが苦労することになるわけですから。

清水:そうなんだよね。あと、このあとにオアシスを再結成させる……このときはまだ誰も気がついていなかったんだけど、リアム(・ギャラガー)がオアシスの曲をガンガン歌って、”ひとりオアシス”をやるみたいな。

サッシャ:ありましたね。

清水:あれも素晴らしかったね。

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ブラー (C) SUMMER SONIC All Rights Reserved.

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ケンドリック・ラマー (C) SUMMER SONIC All Rights Reserved.

サッシャ:あと、この年はNewJeansが出ています

清水:この年の完売は、彼女たちの力も多分にあったと思うよ。

サッシャ:伝説のライブでしたけど、あの炎天下の中でひとつも手を抜かないパフォーマンスにはプロ意識を感じました。

清水:僕も最初から最後まで見届けようと思って、まったく動くことができなくて。ここからNewJeansがどうなるんだろうって、みんながいろんな期待をしている中で、あの炎天下にも関わらずたくさんの人がMARINE STAGEに集まったわけだけど、そういう意味でも現象だったよね、あのときは。

サッシャ:まったくそのとおりでした。そして、ヘッドライナーのブラーが終わったあとに、確か清水さんと一緒にMOUNTAIN STAGE のYOASOBIを観に行きましたよね。

清水:そうそう。この年はヘッドライナー的な海外のアーティストを前に出しているんだけど、YOASOBIやBABYMETALがMOUNTAIN STAGEのヘッドライナーを務める形にしていて。この頃はもう、日本のアーティストがヘッドライナーを飾ることに対して何の抵抗もなくなってきて、初期に強く持っていたこだわりを捨てていくようなタイミングでもあったのかな。

サッシャ:清水さんのすごいところ……それはクリエイティブマンというカルチャーもそうなのかもしれないけど、無駄なプライドがないですよね。その柔軟さが、僕はすごいと思います。

清水:「僕は洋楽が好きだから、絶対洋楽にこだわり続けます」という変なプライドを持っていたら、きっと25周年にも届いていなかったと思うし、そのプライドに潰されていたんじゃないかな。そういった古いメッキをどんどん削って剥がしていった結果、今のサマーソニックになっているわけで、特にこの10年でいろんなものを剥がしていった結果が今に繋がっているんだと思うよ。

サッシャ:強い思いで始まったけど、自分の思いを貫くよりもお客さんに楽しい音楽を届けるためにどうするかが常に目標としてあるからってことですよね。

清水:そう。それと、最初は確かに洋楽アーティストを呼びたい、見せたいというコンセプトがあったけど、今は「日本のアーティスト、アジアのアーティストと一緒に見せたい洋楽アーティスト」を続けて見せていくコンセプトに変わってきたのもあるのかな。

サッシャ:そういう意味では、2023年は星野源さんがBEACH STAGEを丸ごとキュレーションしたことにもつながりますよね。

清水:そうね。ここからBEACH STAGEの使い方がさらに面白くなっていって。ここで変えてもらったよね。

サッシャ:星野源さんがこれをやったことによって、「これはいけるな。このコンセプトはありだな」みたいな?

清水:ここで何かやりたがるアーティストが、次から次へと出てくるんじゃないの、みたいな感じで考えていたのがこの年かな。

サッシャ:あと、Spotify RADAR:Early Noise Stageがこの年から始まりました。

清水:これは今となっては、かなりサマーソニックの肝というか。本当にいいアーティストが次から次へと出てきているし、この年にこのステージに出た中ですでにフェスのメインどころになっているアーティストもいるわけで、そういう存在をいち早くここで見られるという意味では、うちらクリエイティブマンだけではそこまで作れない。でも、Spotifyと組むことによってそういったアーティストが出てくれて、それを見せられるっていうのは僕らにとっても非常に有意義なステージになっていて。これはもう続けられる限り続けたいものにもなっているね。

サッシャ:プレイリストは単に音楽を並べただけですけど、それをステージ上で生で見せられるというのは画期的なコンセプトですよね。で、去年からこれがSpotify Stageにリニューアルされて、格がさらに上がりましたからね。

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Spotifyとサマソニがプロデュースする


2024:マネスキンとBMTH、Number_iやGLAYの画期的ステージ

サッシャ:2024年に行きましょう。東京の話をする前に、まず大阪が万博開催を翌年に控えていたこともあって、会場を昔の万博の会場(日本万国博覧会記念公園)に移した。これも大きな決断だったけど、確かに清水さんから「すごくいい会場なんだよ」と聞いていて。

清水:あの公園のことは以前から知っていたし、あそこでできると聞いたときは逆にガッツポーズしかなかったよね。やる前からのイメージがロラパルーザのシカゴ……街のど真ん中に大きな公園があって、そこを全部貸し切って4、5万人入るようなエリアがをいっぱい作っているんだけど、それを同じように2万、3万くらい入るエリアを3つ4つ作ることができて。ただ、インドアステージがないのがこの猛暑の中ではネックなんだけど、木々が多いから日陰も結構できるし、明らかにこの会場に移したほうがお客さんにとっては正しい選択だろうということで、この案を聞かされた瞬間に「うん、移ろう」と決めたわけです。

大阪会場(日本万国博覧会記念公園)の様子 ※動画は2025年のアフタームービー

サマーソニック 今日に至る2022-2025年、そして2026年の展望──The 1975、ケンドリック・ラマー、BE:FIRSTらによる新たな伝説【5x5 Years of SUMMER SONIC Part.5】


サッシャ:2024年はサマーソニックがバンコクでも初開催され、さらにサマソニのブランドを世界に広げていこうという年でもありました。ヘッドライナーは満を持してのマネキン、そしてブリング・ミー・ザ・ホライズンでした。

清水:とにかくこの2アーティストは、サマーソニックで育てた……といっても、マネスキンは何回も出ているわけじゃないけど、とにかくサマソニから次のロックヒーロー、スタジアムアクトを育てていって、サマーソニックのヘッドライナーにすることがここ数年のテーマだったんだよね。そこで、この2バンドが唯一今の若手でそこに近い存在じゃないかと。ひょっとしたら、今までのサマソニで言ったら早いタイミングだったかもしれないけど、これもアークティック・モンキーズのときと同じだよね。とにかくチャレンジしようっていうことで、この年はこの2バンドに決めたと。

サッシャ:ブリング・ミー・ザ・ホライズンなんて、完璧なプロダクションでしたもんね。

清水:そうね。とにかくサマソニのヘッドライナーをやりたいって、ずっと言い続けていたんだけど、本当だったら2025年ぐらいかなって言っていたのを、こちらが「前倒しにしてやろうよ」ということで2024年にやってもらったと。

サッシャ:アルバムでも共演していた、オーロラがブリング・ミー・ザ・ホライズンのステージにも出てきましたよね。

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マネスキン (C) SUMMER SONIC All Rights Reserved.

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ブリング・ミー・ザ・ホライズン (C) SUMMER SONIC All Rights Reserved.

サッシャ:あとは、Number_iがMARINE STAGEのトップバッターとして出演したことも、ちょっとした事件でした。

清水:確かに事件だったね、あれは。

サッシャ:あのステージングも含めて、こんなライブをするのかと。確かに、コーチェラにも出演して海外でも話題になっていたんですけど、改めて驚きました。

清水:世界という舞台でやっていこうとする、そのやる気が伝わってきたよね、

サッシャ:そして、GLAYがデビュー30周年ということで、初めて夏フェスに出演、自分たちでもフェスとかいろんなイベントをやってるバンドだから、なかなか外のフェスには出ないんだけど、ついに出ましたね。

清水:これは結構前に、彼らの周年企画の中で「夏フェスに出演しよう」という話が上がって、じゃあサマーソニックかロッキンかライジングかフジなのか、どこを選ぶかで彼らの中ではいろいろあったみたいなんですね。でも、そういう中で一番チャレンジングであるサマーソニックを選んでくれたのがHISASHIさん。以前、J-WAVEでお話していたんだけど、実はサマソニが好きで、何度もお忍びで来てくれていたみたいなこともあったらしくて。なので「ここでこういうステージをやれたらな」みたいなことも、イメージとしてあったんだとしたら、本当によかったよなと。

サッシャ:それ、僕もHISASHIさんに聞きました。HISASHIさんってGLAYのステージングのコンセプトを決めているんですよね。それもあって、いつかサマソニでやりたいという思いがあったみたいです。

清水:その中でMARINE STAGEかなと思ったんだけど、MOUNTAIN STAGEを選んだのもやはり彼の中にコンセプトがあったんだろうね。

サッシャ:タイラやオリヴィア・ディーンが初来日だったんですが、ほかにもレイヴェイとかニア・アーカイヴスとか女性アーティストが大充実。これまでもサマーソニックで女性アーティストがたくさん活躍してきたけど、時代の変容として言うと女性アーティストの比率も上がって、最近は活躍が特に目立ってきているかなという。

清水:タイラ、オリヴィア・ディーンなんて、次のヘッドライナーを狙ってもいいぐらいなところにきてますから。

サッシャ:そうですよ、すごいことになってますから。

清水:さらに大きくなってほしいな。

サッシャ:ちなみにこの年は、星野源さんが今度はMIDNIGHT SONICをキュレーションして、ロバート・グラスパーなどが出演しました。

清水:本当、ありがとうだよね。

サッシャ:星野源さんもチャレンジングというか、こういう新しいことを楽しんじゃう人ですね。

清水:本人がやると決めたら、それに集中して最高のものを作ろうっていう、そのクリエイティブパワーが素晴らしいですね。

2025:アリシア・キーズとMrs. GREEN APPLEの歴史的名演

サッシャ:そしていよいよ、昨年2025年ですけれども、ヘッドライナーがフォール・アウト・ボーイとアリシア・キーズ。フォール・アウト・ボーイは去年で6度目の出演だったんですけど、初のヘッドライナーでした。

清水:彼らも「いつヘッドライナーにしてくれるんだよ?」みたいな感じで、毎回本当にいいステージをやってくれて。ここでもうひとつ上のステージへ上げなきゃっていうようなタイミングでもあったし、この年は本当にそのあとのアリシア・キーズが決まるまでいろいろ苦労した年でもあったので。

サマーソニック 今日に至る2022-2025年、そして2026年の展望──The 1975、ケンドリック・ラマー、BE:FIRSTらによる新たな伝説【5x5 Years of SUMMER SONIC Part.5】


サマーソニック 今日に至る2022-2025年、そして2026年の展望──The 1975、ケンドリック・ラマー、BE:FIRSTらによる新たな伝説【5x5 Years of SUMMER SONIC Part.5】

フォール・アウト・ボーイ (C) SUMMER SONIC All Rights Reserved.

サッシャ:アリシア・キーズがヘッドライナー発表されるまで、ちょっと時間がかかりましたよね。

清水:そうなんだよ。ラップアーティストとかそのあたりを狙っていたんだけど、結局決めきれなくて。最近はそういったムズムズするようなことが結構あったので、そういう中で……よく言うんだけど、困ったときはレジェンドアーティストに頼るという。

サッシャ:スティーヴィー・ワンダーのとき(2010年)にも言ってましたよね。

清水:そうやって助けてもらうことが何度もあったけど、今回は最近来ていないアーティストの中で、コールドプレイがヘッドライナーのときにやってもらった絵が浮かんだんだよね。それでちょっと当たってみようということで口説き落としたわけだけど、自分たちが思っていた以上に良いステージをやってくれて。しかも、今の日本のアーティストをしっかりゲストに入れて、ああいうステージを作ってくるとは僕も思わなかったので、そこに驚かされたよね。

サッシャ:Awichがアリシア・キーズと繋がっていて、Awichに「日本のアーティストと何かやりたい」と相談があって。Awichも「Bad B*tch 美学」で一緒にやっているアーティストやAIちゃんを繋いでくれて、事前にいろいろ打ち合わせがあったそうですけど。

清水:大阪ではちゃんみなが出てきて。でもね、その打ち合わせもちらっと目にしたけど、結構簡単なものだったよ。そこはさすがプロフェッショナルなアーティストが揃ってるんだなと実感したね。

サッシャ:アリシア・キーズのライブが素晴らしいというのは想像に難くなかったんだけど、あの日は何かそれ以上のものを観た気がして。来た人全員感動してましたよね。

清水:多幸感だよね。みんなが幸せになって帰っていくっていう。あんなアリシア・キーズのステージを見られるのは本当にサマーソニックだけだったと思うと、ここから1年2年と経っていくにつれてどんどん貴重なものになっていくだろうなと、しみじみと感じるよね。

サッシャ:アリシア・キーズ格のアーティストが25年前の1回目のサマソニに出て、日本人アーティストとコラボするかと言われたら、絶対してなかったと思うんです。だから、これも時代の変化ですね。

清水:確かに。あのときはやってないよね。

サマーソニック 今日に至る2022-2025年、そして2026年の展望──The 1975、ケンドリック・ラマー、BE:FIRSTらによる新たな伝説【5x5 Years of SUMMER SONIC Part.5】

アリシア・キーズ (C) SUMMER SONIC All Rights Reserved.

サッシャ:そして、前回(Part.4)でも話題が出ましたが、Mrs. GREEN APPLEが東京2日目のMARINE STAGEトップバッターとして出るという。ヘッドライナーでもおかしくないアーティストですからね。

清水:去年すべての話題をさらった人たちが朝イチで出て、入場規制になるほど人が集まったZOZOマリンスタジアムをあの時間で見ることなんて、この先二度とないんじゃないかってぐらいだったね。

サッシャ:過去最高動員だそうです。加えて、昨年はヒゲダン(Official髭男dism)も出ましたし。海外勢ではソンバー、21サヴェージも出演。

清水:ソンバーはブッキング終盤に「こんなアーティストがいるんだ」ってことでオファーしたんだけど、日本に来るまでに世界中でどんどん売れていって。このあともサマーソニックで育ったアーティストとして、できればヘッドライナーにまで持っていけるようなアーティストにしたいなと。

サッシャ:カリスマ性も感じます、ヘッドライナー級のポテンシャルはありますよね。あとは、フェイドがBEACH STAGEをキュレーションしましたし、東京2日目はJ・バルヴィン、カミラ・カベロなどラテン勢が大躍進しました。

清水:カミラのライブもよかったよね。かわいかった(笑)。

サッシャ:かわいいし、それでいてテイラーとかリアーナとかああいう感じもありますよね。

清水:サマソニに合うなっていうね。サマソニがラテンをフックアップしていることは、これでわかってもらえたと思うので、今年はBEACH STAGEで1日、ラテンでかまします。

サッシャ:すごいな、ラテンでBEACH STAGEまる1日ですか!

清水:今年のテーマはメキシコなんだよね。メキシコっていうと何となく大所帯で、麦わら帽子を被りながらギターを弾いてみたいなイメージがあるんだけど。

サッシャ:映画「リメンバー・ミー」の世界観ですよね。

清水:そうそう。それに近いようなアーティストが、よりカントリーに寄ってめちゃくちゃ売れてるようなアーティストもいるし、逆にラテンでもちょっとヒップホップっぽいアーティストもいるので、そのあたりをすでに3アーティストぐらい決めてます。

サマーソニック 今日に至る2022-2025年、そして2026年の展望──The 1975、ケンドリック・ラマー、BE:FIRSTらによる新たな伝説【5x5 Years of SUMMER SONIC Part.5】

サマソニ東京8月15日(土)のBEACH STAGEは、CARÍN LEÓN(カリン・レオン)がキュレーション。新世代ラテンを象徴するLATIN MAFIA、て2025年のラテングラミー賞で最優秀新人賞を獲得したPALOMA MORPHYの出演も決定している

2026:25周年に込めた想い、この先のビジョン

サッシャ:その話を経て、25周年を迎える今年のサマーソニックですけれども、改めてヘッドライナーも出揃って。どうですか、今年のコンセプトというのは。

清水:まずはザ・ストロークスが決められて、あとはラルク(L'Arc~en~Ciel)が出て、この2つでヘッドライナーとしての満足度をみんなが共有してくれたこと、そのあとにジャミロクワイであったりデヴィッド・バーンみたいな格のあるアーティストを決められたことで、最初のアナウンスとしては非常に満足度の高いものになったと思うし、実際チケットもどんどん売れていて。ただ、もう1日のヘッドライナーをずっとブランクにして、みんなが誰だろうと想像して楽しんでくれていたんだけど、そろそろもう出すぞっていうタイミングに……まあ、エイサップ・ロッキーだったんだけどね。

サッシャ:コメントにもそれらしいことを書かれていましたけど、実名をはっきり言っちゃいましたね(笑)。

清水:もうみんなわかってるだろうからさ。不慮の事故、事件で発表が滞って……やっぱりアーティスト自身の家の前でああいったことがあると、じゃあすぐに日本に行きますよって気持ちにはなかなかなれなくて、1回すべてがストップしてしまう。もちろん出演交渉もストップしてしまったわけで、僕らとしてはそろそろ発表しなくちゃいけないギリギリのタイミングまで粘ったんだけど、これはあと1カ月、2カ月待ったとしても無理だということで断念して。そういう中で、Adoがヘッドライナーとしてやってくれることを確約してくれた。Adoは今、Spotifyでもっとも聴かれている邦楽アーティストであり、ロラパルーザに出たあとに満を持してサマーソニックのヘッドライナーをやってくれる。もう期待しかないよね。

サッシャ:海外で一番聴かれている日本人アーティストって、単純にすごいことですよね。

清水:それもね、どの国でもこの1曲だけが聴かれているってわけじゃなくて、さまざまな曲が聴かれていると。っていうことは、彼女は本当に海外にまで浸透しているアーティストであり、今世界でもっとも認知度のある日本のアーティストであると。これはもうサマーソニックでヘッドライナーをやってもらってもおかしくないし、やってもらって当然なレベルにまで来ているので……さっきアリシアのときに「絵が浮かぶ」って話をしたけど、Adoの場合はまだ絵が浮かんでいない未知の世界なので、今から楽しみでしかないですね。

サマーソニック 今日に至る2022-2025年、そして2026年の展望──The 1975、ケンドリック・ラマー、BE:FIRSTらによる新たな伝説【5x5 Years of SUMMER SONIC Part.5】

ザ・ストロークス

サマーソニック 今日に至る2022-2025年、そして2026年の展望──The 1975、ケンドリック・ラマー、BE:FIRSTらによる新たな伝説【5x5 Years of SUMMER SONIC Part.5】

Ado

サマーソニック 今日に至る2022-2025年、そして2026年の展望──The 1975、ケンドリック・ラマー、BE:FIRSTらによる新たな伝説【5x5 Years of SUMMER SONIC Part.5】

L'Arc~en~Ciel

サッシャ:途中で触れたように、最初に3日間やったとき(2009年)は全部洋楽アーティストで、次(2019年)は1組(B'z)に増えて。今回ももともとは1組だけの予定だったけど、いろいろ断念せざるを得なかった結果、3組中2組が日本人アーティストになったというのも、ここまで5回のシリーズを振り返るとすごく納得がいきます。

清水:いろいろな実験でこうなったけど、そうなるべくしてなっていったってぐらいの気持ちで、ここに向かっていったんだろうね。

サッシャ:今年はこのあと3日間開催で盛り上がるわけですけど、この先のサマーソニックはどうなるんでしょうか。今年がまだ終わってないので、何とも言えないと思いますが、清水さんの中での将来はどんなふうに描かれているんですか?

清水:いやあ、難しいね。本当にフェスって水物で、ブッキングもその年その年で変わるし、シーンもさまざまに変わっていくし。自分で5年後を思い浮かべたとしても、きっとそうはならないんだよね。毎年いろいろと四苦八苦して、いろんなエージェントに会ったりいろんな情報を得てやっていって、それで自分に今できるパーフェクトなものを作ろうとしていく。それがきっと楽しいんだろうね。もうフォーマットができて、こうすれば(観客が)入るよっていうようなものであれば、たぶんここまで気持ちが入らないのかもしれない。

サッシャ:あと、サマーソニックは都会から電車で行けるフェスじゃないですか。だからここでフェスデビューする人も多いと思うんですけど、25年前は「音楽フェスって何ですか?」みたいなところから始まって、「1日でこんなにいろんな人が観れるんですか!」みたいな世界だったじゃないですか。そこからフェスという文化を作ってお客さんも育ち、それが当たり前になり、音楽の聴き方そのものを変えてきたと思うんです。

清水:そうだよね。今年でいったら、ラルクのお客さんでたぶんサマーソニック初体験って人がまたさらに増えて、「フェスってこういうものなんだ」と感じてもらえると思うし、新しいアーティストが増えるたびにそういった人たちがどんどん増えていく。フェスって毎年そうやって新たな文化であったりファンを作っているわけなので、そういった人たちが今後どうなっていくんだろうっていうことも含めて、考えるだけでワクワクしますね。

サッシャ:あともうひとつ、25年前の音楽シーンはCDの世界だったんですよね。アルバムっていう文化があって、アルバムを通して聴く時代だった。なんなら、なけなしのお小遣いで1枚買ってずっと聴くみたいな時代から始まって、今やSpotifyなどの登場でプレイリストを聴く時代になり、音楽の聴き方自体がフェスのようになったわけです。

清水:確かにそうだよね。

サッシャ:音楽の聴き方がフェスに追いついたというか、同じようになってきたっていうか。

清水:どっちが追いついたのか、近づいたのかっていうね。Spotifyの人たちと話をすると、配信とフェスって一番遠いと思っていたら実は一番近かったと言っていて。今までだったら「サマソニまでに、CDでこの100アーティストを聴いてね」と言われたら、みんな絶対聴かずに来るわけだけど(笑)、今だったら100アーティストでもプレイリストであれば数曲ならチェックできるわけじゃない。その中から「これを観たい」と足が向かうように提供してくれるものって、やっぱり素晴らしいよ。

サッシャ:サマーソニックのホームページでも、アーティスト紹介のページに行くとSpotifyのプレイリストが載っていたりとか、そういった繋がりも含めて音楽の聴き方の進化とサマーソニックの進化がとても楽しみになってきました。また、ここまでの全5回で、1つひとつの出来事が細切れのようで、実は1本の串刺しのように25年間が繋がっているなと、そんなことも感じました。改めて清水さん、長時間にわたりありがとうございました、

清水:ありがとう。サッシャが相手だと、時間があっという間に感じられるんだよね。

サッシャ:ということで、私も今はいろんな場面でMCをやっているわけですが、その原点は1年目からサマーソニックのMCとして育てていただいたこと。そういう大切な場なので、今年も心を込めて精一杯MCをやりたいと思います。

清水:今年もよろしくお願いします!

【5x5 Years of SUMMER SONIC】
Part.1:サマーソニックの幕開け、2000-2004年を振り返る
Part.2:完全無欠の2005-2009年を振り返る
Part.3:激動の2010-2014年を振り返る
Part.4:転換点の2015-2019年を振り返る
Part.5:今日に至る2022-2025年、そして2026年の展望

サマーソニック 今日に至る2022-2025年、そして2026年の展望──The 1975、ケンドリック・ラマー、BE:FIRSTらによる新たな伝説【5x5 Years of SUMMER SONIC Part.5】

サマーソニック25周年記念スペシャルコンテンツ
「5x5 Years of SUMMER SONIC」

▼Spotify限定ビデオポッドキャスト
番組URL:https://spotify.link/5x5YearsOfSS_Podcast

▼Spotify公式プレイリスト
2000-2004:https://spotify.link/5x5SUMMERSONIC2000-2004
2005-2009:https://spotify.link/5x5SUMMERSONIC2005-2009
2010-2014:https://spotify.link/5x5SUMMERSONIC2010-2014
2015-2019:https://spotify.link/5x5SUMMERSONIC2015-2019
2022-2026:https://spotify.link/5x5SUMMERSONIC2022-2026
*コロナ禍でサマソニ開催中止となった2020年・2021年を除きます。

サマーソニック 今日に至る2022-2025年、そして2026年の展望──The 1975、ケンドリック・ラマー、BE:FIRSTらによる新たな伝説【5x5 Years of SUMMER SONIC Part.5】

サマーソニック 今日に至る2022-2025年、そして2026年の展望──The 1975、ケンドリック・ラマー、BE:FIRSTらによる新たな伝説【5x5 Years of SUMMER SONIC Part.5】

SUMMER SONIC 2026
2026年8月14日(金)・15日(土)・16日(日)
東京会場:ZOZOマリンスタジアム & 幕張メッセ
大阪会場:万博記念公園
https://www.summersonic.com/
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