上海証券取引所の科創板に上場している天津久日新材料(688199/上海)が5月31日、半導体用フォトレジストの原材料となる光増感剤の年産60トン生産ラインが完成し、段階的な生産に入ることを発表した。
同社は1998年設立の民営企業で、2019年11月に上海科創板に上場した。
光硬化材料は環境保護が声高に叫ばれる中で従来の溶剤型塗料・インク・接着剤の代替品として注目を集めており、高い環境保護性能のほかに、高効率、省エネ、適応性の広さといった長所を持つことから、木工塗装、プラスチック製品塗装、装飾建材塗装、紙印刷、包装印刷、自動車部品、電気・電子製品塗装、PCB(プリント基板)塗装、光ファイバー製造、3Dプリントなど幅広い分野で利用されている。
2021年12月期の売上高は12億5245万減(前期比23.83%増)、純利益は1億6565万元(同21.15%増)。22年1~3月期の売上高は4億2298万元(前年同期比35.84%増)、純利益は5477万元(同43.22%増)。
公告によれば、子会社である大晶信息化学品(徐州)有限公司が投資し建設を行った年産600トンのマイクロエレクトロニクス向けフォトレジスト専用光増感剤の主たる生産設備が完成して生産開始条件を満たし、5月31日より段階的に生産を開始する。
同社は光増感剤について、ディスプレイや半導体の封止用フォトレジストの重要な原料であると説明。その生産ラインの稼働開始によって産業チェーン下流のフォトレジスト生産企業向けに重要な原材料の供給を確保し、中国のフォトレジストおよび半導体産業の発展に寄与するとしている。また、フォトレジスト専用光増感剤は同社にとって新製品であることから、十分な検証を実施した上で大量生産に移行するとした。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)