上海の浦東国際空港で4月1日、日本留学から帰ってきた男が母親を刺傷する事件が発生した。母親は自らを刺した息子を「罪に問わないで」とかばい続けており、「典型的な中国家庭教育の失敗」との声が噴出した。
中国新聞網が伝えた。

 男は物価の高い日本で過ごす5年間の留学生活のため、母親から送られる毎月7000元の仕送りを頼りにしていた。母親は友人に何度も借金していたが、ついに借り手も尽き果てたと息子に告白。すると息子はトランクから果物ナイフを出して母親を9度にわたり刺した。

 母親は病院に運ばれ、息子は空港内で逮捕された。命を取り留めたものの、重傷を負った母親は「わが子の処遇」を最も心配し、取材に対しても息子が精神異常であるとして「牢獄に入ってほしくない。早く退院してあの子の世話をしなければ」と語った。

 息子をかばう母親について親戚は「普段から息子をかわいがり過ぎた」と口を揃える。「息子が求めるものは何でも与え、ないものでも何とかして手に入れようとした」という母親に育てられた息子は、「手に入れられないと大声をあげて暴力を振るった」と親戚は振り返った。

 事件発生後、多くの中国国内メディアが注目し、多くの評論家が「家庭教育の失敗」「中国式保護者が生んだ悲劇」と論じ、学業成績ばかりを重視して、対人関係や人格形成、社会への適応といった心理教育をおろそかにする社会風潮に警鐘を鳴らした。また、ネットユーザーからも「これが多くの中国の家庭に共通する現状だ」といった意見が多く出た。(編集担当:柳川俊之)

【関連記事・情報】
【中国人に聞く】息子が母親を刺傷した事件はなぜ起きた?(2011/04/14)
費用トラブルか?日本留学帰りの男、空港で母親を刺す―中国・上海(2011/04/11)
モラルのかけらも…天津の英雄記念碑が糞尿まみれで放置―中国(2011/04/12)
【中国ブログ】「礼儀の国・日本」のカギは幼児教育にあり(2011/01/24)
モラルがないのはどっちだ…座席を譲らぬ女性の上に座るお年寄り続出―中国(2010/09/22)
編集部おすすめ