男は物価の高い日本で過ごす5年間の留学生活のため、母親から送られる毎月7000元の仕送りを頼りにしていた。母親は友人に何度も借金していたが、ついに借り手も尽き果てたと息子に告白。すると息子はトランクから果物ナイフを出して母親を9度にわたり刺した。
母親は病院に運ばれ、息子は空港内で逮捕された。命を取り留めたものの、重傷を負った母親は「わが子の処遇」を最も心配し、取材に対しても息子が精神異常であるとして「牢獄に入ってほしくない。早く退院してあの子の世話をしなければ」と語った。
息子をかばう母親について親戚は「普段から息子をかわいがり過ぎた」と口を揃える。「息子が求めるものは何でも与え、ないものでも何とかして手に入れようとした」という母親に育てられた息子は、「手に入れられないと大声をあげて暴力を振るった」と親戚は振り返った。
事件発生後、多くの中国国内メディアが注目し、多くの評論家が「家庭教育の失敗」「中国式保護者が生んだ悲劇」と論じ、学業成績ばかりを重視して、対人関係や人格形成、社会への適応といった心理教育をおろそかにする社会風潮に警鐘を鳴らした。また、ネットユーザーからも「これが多くの中国の家庭に共通する現状だ」といった意見が多く出た。(編集担当:柳川俊之)
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