1978年7月、同省麗江市で林業従事者2名が原因不明のまま突然死したことが報じられて以降、同省北部の海抜1800-2600メートル地帯では2008年までの30年間に400人が「謎の死」を遂げた。現地では、死の数時間前から目まいや吐き気のほか、説明できないような「奇怪な症状」が現れるとの噂が流れ、村の年長者は子どもらに「(突然死が頻発する)雨季は夜遅くに外出してはならない。幽霊に連れ去られるぞ」と言い聞かせてきたという。
7-9月の雨季に頻発すること以外、詳しい原因は長い間謎のままだった。高山病、重金属中毒、水質汚染などの説が浮上しては否定されるなかで、状況が変化したのは05年のことだった。この年の調査で死因が不整脈があることが判明すると、06-07年の調査では、死の直前に白いキノコを食べていたという共通点を発見した。
08年夏には白いキノコの毒性試験が念入りに行われ、致死因子となる新たな非たんぱく質アミノ酸を発見、キノコを摂取すると短時間に血糖値が急降下することが明らかとなった。研究結果を基に、現地で問題のキノコを食べないよう宣伝したところ、10年と11年は同様の突然死の報告が1件も出なかったため、「謎の死」の原因がキノコであったと断定された。
この研究結果は、中国が発行する国際的な化学研究雑誌『応用化学』に掲載されるという。(編集担当:柳川俊之)