火薬庫から2キロメートル離れたところに住むトウさんは12日午後6時ごろ、自宅にいた。小ぬか雨が降っていたという。突然、ドーンという音が伝わってきて、家の西側にある窓のガラスが振動した。その一瞬後、窓ガラスが建物内側に向けて砕け散り、室内に突入してきた。
別の住民によると、火薬工場方向が突然、閃光を発した。同時に煙のかたまりが発生した。煙のかたまりは上昇していった。工場で発生した光はしばらく、垂れこめた雨雲を下から照らした。工場部分で空気が壁のようになり、周囲に散開していくのが視認できたとおいう。
火薬庫は完全に吹き飛とんだ。周囲の半径100メートルの範囲に、砂のようなものが降り注いだ。火薬庫の近くにあった建物3棟は倒壊した。100メートル離れた場所にあった3階建て建物は、窓がすべて粉砕され、建物が傾いた。壁には無数の亀裂が走った。
現地当局の安全生産監督の責任者によると、夏になり気温が上昇した場合には、花火や爆竹用の火薬を製造している工場に、操業を停止させる。今年2014年)は6月末に生産を停止させたとという。爆発した火薬庫も、事故発生時には操業を停止していた。
同工場は、倉庫に黒色火薬数十トンを保管していた。爆発原因は保管がずさんで、雨の影響で火薬が湿り気を帯びたためと見られている。黒色火薬は湿り気を帯びた場合に発熱する場合がある。黒色火薬の基本成分は、炭素、硫黄、硝石(硝酸カリウムまたは硝酸ナトリウム)だが、花火用の場合には燃焼時に発色させるため、金属成分などを添加する。
例えば、マグネシウムを添加している場合、火薬の温度が摂氏40度を超えると、自然発火し爆発する場合があるという。
当局によると、火薬工場は操業を停止していたので無人だった。工場は民家から2キロメートルほど離れた位置にあったが、自宅にいてガラスの破片でけがをした住人もいる。民家では、窓ガラスや照明器具が破壊された以外に、壁にひびが入るなどの被害も出た。被害については、調査中という。
爆発し残った火薬があると再び爆発する恐れがあるので、現地当局は爆発直後に処理班を派遣し、工場跡の瓦礫(がれき)を取り除いた。もはや再爆発の危険はないという。
当局はその他の火薬工場に対しても、安全検査を始めた。規則違反があれば、ただちに改善を要求するという。
同爆発で死者や行方不明者は出なかった。(編集担当:如月隼人)
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