中国メディア「新浪網」は26日、最近になり初飛行した中国が開発中の大型輸送機「Y-20(運-20)」の5番目の試作機には、中国が開発中のターボファンエンジン「WS-20(渦扇-20)が搭載されていたと解説した。記事は、同エンジンの開発にあたり、輸入したジェット旅客機のエンジンが参考になったとの見方を示した。


 中国空軍は1990年代初頭まで、中型輸送機しか運用していなかった。91年にはロシアの大型輸送機「Il-76」の輸入を開始した。ただし中国は同時期に大型輸送機を“自主開発”する方針を固めたと見られる。

 これまでに確認されたY-20試作機はロシア製の「D-30KP-2」または中国製の「WS-18」を使っていた。米国の「C-17」輸送機が搭載する「F117-PW-100」エンジンは推力が20トン近くあるが、D-30KP-2の推力は11-12トンしかない。WS-18はD-30KP-2の中国製コピーだ。

 記事は、WS-20が、仏スネクマと米ゼネラルエレクトリックの合弁会社が製造する高バイパス比のターボファンエンジン「CFM56」シリーズに酷似と指摘。中国が輸入したボーイングやエアバスの旅客機の多くはCFM56シリーズを使っており、中国の技術者は長年にわたる点検や補修で熟知していることが、「CFM56」シリーズを参考にした原因のひとつとの考えを示した。

 記事によると、WS-18の重さが1基2.7トンであるのに比べWS-20は2.3トンと軽量化された。さらにWS-20は燃料消費が少ないこともあり、Y-20の航続距離を伸ばせるという。

 WS-20の推力は現在はD-30KP-2と同程度だが、記事によると、将来はバイパス比を上げることで15トン程度になるという。

 記事は、WS-20の性能も米輸送機が使用するエンジンとは差があり、同エンジン搭載のY-20も米国のC-17と同等の性能を発揮するのは困難と指摘。
ただしY-20を大量に保有すれば、「台湾侵攻作戦の際の空挺部隊投入」、「冬季のチベット高原兵力展開能力を引き上げ、対インド戦略が改善」などと指摘した。

 中国はY-20を改造した空中給油機を配備することで、主力戦闘機の「J-11(殲-11)」シリーズや開発中の「J-20」ステルス戦闘機の作戦行動半径を大幅に広げる意向とされている。(写真は新浪網<http://news.sina.com.cn/>の26日付報道の画面キャプチャ)


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