中国メディア・騰訊体育は16日、「どうしてこれほど多くの中国人アスリートが、日本に帰化するのか」と題した評論記事を掲載した。

 記事は、「日中関係における奇妙な存在」として、中国人アスリートが次々と日本国籍を取得する現象について言及。


 1992年に日本に帰化し、「一夜にして全国民の敵と化し、痛烈なバッシングを浴びた」とされる小山ちれ(何智麗)氏、80年代生まれで2010年に帰化、中国メディアの取材に対して「わぁ、大手メディアだ。歓迎するよ」と語ったバスケットボールの青島心(魏新)選手、日本出身で昨年日本国籍も取得、流暢でない中国語を話す12歳の天才卓球少年・張本智和(張智和)選手の例を紹介した。

 そのうえで、「スポーツには国境はない」というものの、そこには民族的な色彩が濃く表れるものであり、帰化選手に対する議論が起きるのは仕方ない面があるとする一方、周囲がアスリート自身の夢に対して理解し尊重し始めていることは「時代の進歩である」と論じた。

 さらに、小山氏から現在の帰化ラッシュに至る状況について「われわれは日本のスポーツが台頭した背景について感嘆するとともに、誰か日本の青少年スポーツにおける厳格な育成、普及体系について真剣に考えたことがあるのだろうかと思う」と問題提起。とくに日本の卓球界について「青少年への大きな金銭的人材的投資から、日本のスポーツ発展に対する決心や誠意を十分に見て取れるのだ」とし、民族的な話ばかりに固執せずに日本の姿勢を知り、考えるべきであるとの見解を示した。

 中国人選手が日本国籍を取得する背景はさまざまだ。記事が指摘するように、日本のアスリート育成に対する力の入れように呼応して日本への帰化を選択する人もいるだろう。一方で、選手層の厚い中国で厳しい競争にさらされるよりも、日本で実力を開花させるチャンスを選ぶというケースもある。そのほか、個人の信条や条件などを勘案したうえで、みな自身にとってベストと思われる判断を下しているはずだ。

 民族的な感情がどうしても出てしまうことが否めないスポーツ競技であるからこそ、なおさら選手たちは苦渋の選択を迫られ、葛藤を繰り返す。応援する側としては、彼ら彼女らの心情を理解しつつ温かい眼差しで見守ってやるべきではないだろうか。多くの帰化選手を送り出せるというのは、ある意味でその国が「スポーツ大国」であることの証にもなり得るのだから。
(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)  


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