パリ清掃の発端は「あまりにも汚い。これでは観光客がいやな思いをするだろう」と考えたからという。記事は「パリの汚さについて誇張があるかもしれない」との考えを示した上で「清潔癖のある日本人には見るに見かねたのだろう」と論じた。
そして、日本人が「清掃員」となるのはパリだけの話ではないと紹介。2014年にブラジルで開催された男子サッカーのワールドカップでは、日本人サポーターが試合終了後、観客席のごみを全部清掃してから会場を後にしたことに触れ、「ブラジル政府は大いに感動して、彼らを表彰した」と伝えた。
そして、「日本人は飲食店で食事をした後も、食器類を整理する」などと、常に次の人のことを考えて行動すると評価。さらに、日本人の清潔嗜好は清掃にとどまらず、「シャワーや風呂好き」、「浄水器」、「排ガス削減自動車」、「有機農法」と広がって行ったと論じた。
記事は、「日本人のきれい好きは、決して天性のものではない」と強調。まず、1980年代には社会全体におけるごみ処理能力が不足し、燃焼時に発生する有毒ガスも大問題になったと紹介。そのため行政は分別回収に力を入れ、その他の環境問題の改善も推進したと論じた。
さらに、日本の小学校と中学校では、生徒に必ず教室などの清掃をさせると紹介。
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◆解説◆
日本人が清潔好きであり、自発的に清掃活動を行うのは、世界に誇ってよい長所と言えるだろう。ただし、相手側の状況をよく知らないと「思わぬ失敗」をすることがある。
10年余り前の話だが、日本人の教育関係者の団体が内モンゴルの草原地帯に旅行に出かけた。「ごみは必ず持ち帰る」ことを徹底したことはよかったが、問題になったのは「用便」だ。草原地帯のゲル(モンゴル式テント。中国語では「包<バオ>」)には、観光用施設を除いてトイレがない。ゲルから離れた草むらなどで用を足す。
同団体は「自分の排泄物はすべて穴を掘って埋めて、草原を汚さないようにした」という。これが失敗だった。
まず、モンゴル人のゲルにトイレがないのは、人口密度が低く自然の浄化能力の方が上回るので、必要がないからだ。
編者の世話になった草原地帯で生まれ育ったモンゴル人男性は、「都会に来て初めてトイレを見て驚いた。漢人は建物の中で用を足す。なんと不潔な奴らだと思った」と教えてくれた。
さらに、モンゴル草原は表土が薄く、その下は砂地であることが多い。降水もさほど多くないため、穴を掘ると草が再生せず、そこから砂漠化が始まってしまうことがある。草原の環境を熟知するモンゴル人の間では伝統的に、草原で穴を掘ることは寺院建立など特別の場合を除き、タブーだった。
上記のツアーに添乗したモンゴル人は「日本人が、そこらじゅうに穴を掘ったのですよ」と、困惑した顔つきで教えてくれた。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:(C)Vereshchagin Dmitry/123RF.COM。パリ市内。16年2月6日撮影)
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