中国には「司馬昭之心、路人皆知」という成語がある。司馬昭は三国時代の魏の武将で、この成句は「司馬昭の野心は通りすがりの者でさえ知っている」、つまり野心・陰謀が誰の目にも明らかである様子を表したものだ。
中国メディアの国際在線は28日、日本は中国に対してこの成語のように「誰の目にも明らかな陰謀を企てている」と論じる記事を掲載した。

 記事は日本の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)加入は、自国の「農業部門の利益を部分的に犠牲にする」ものであり、米国に対する「重大な譲歩」であると指摘。その上で、日本が自国産業に対する打撃という「犠牲」を惜しまなかったのは、「尖閣諸島(中国名:釣魚島)問題において中国に勝利するため」と主張した。

 つまり、日本は領土問題において中国に勝利する戦略として、「TPP加入により、米国がアジア太平洋地域における影響力を強化すること」に協力し、それと引き換えに「中国との領土対立問題における米国の確固たる支持を得る」ことを狙っているとの見方だ。

 中国人は長い歴史の過程で数多く残された成語を尊重する。成語が用いられるとそれだけで、「なるほどそうだ」と納得してしまう傾向があるほどだ。記事は、「司馬昭之心、路人皆知」という成語を用いて、日本の行動には強い警戒感が必要と、読者に訴えた。

 尖閣諸島について中国側は「中国人が最も早くに発見、命名及び利用し、中国の漁民がこの海域で漁業等の生産活動に従事してきた」ことを大きな根拠として、同諸島が自国領であるのは明らかと主張しつづけている。

 日本政府は中国側の同主張に対して「中国の領有権の主張を裏付けるに足る国際法上有効な論拠とは言えない」と指摘しており、また中国側が根拠とする歴史的文献や地図については「原文を見れば分かるとおり、領有権を有することの証拠とするには全く不十分なもの」だと反論している。

 中国側の多くの主張には根本的な無理があるのだが、中国人側からすれば、「あらゆる策謀をめぐらしてでも釣魚島(尖閣諸島の中国側通称)の占拠をつづけるつもり」と映るようだ。

 もっとも、領土問題や海洋権益の問題で中国と対立している国からすれば、時にはあまりにも強引かつ強行に、時には利益を“ちらつかせ”てでも、自国の主張を通そうとする中国の方がよほど「司馬昭之心、路人皆知」という成句に当てはまると言えなくもない。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)


【関連記事】
ホンダがレアアース不使用の磁石を実用化、「まさに一挙両得」=中国
日本にはさまざまなジャンルで「世界的に抜きんでた分野」=中国報道
中国高速鉄道の輸出事業、なぜ「一難去ってまた一難」なのか
何が違うんだ!暴風雨で洪水が起きる中国と、起きない日本=中国報道
学び続ける日本の高齢者に驚き・・・取り組む以上は真剣に向き合う日本人=中国
編集部おすすめ