アリペイ(Alipay)は5日、中国で初めて、ショートステイで中国を訪れる海外旅行者がアリペイを使ったモバイル決済ができるミニプログラム「ツアーパス(Tour Pass)」の提供を開始したと発表した。従来は、アリペイの利用には、中国の電話番号と中国の銀行口座が必要であったため、中国に短期滞在する旅行者には中国でモバイル決済の利用が困難だった。


 アリペイは上海銀行と協力することで、「Tour Pass」を開発した。アリペイアプリをスマートフォンにインストールし、電話番号を入力。アリペイアプリの「Tour Pass」プロラムをクリックし、上海銀行が提供する専用のバーチャルプリペイドカードに入金するチャージ額を入力。その上で、パスポート番号とクレジットカード番号を入力すると、クレジットカードからアリペイアプリに指定した人民元がチャージされる。この手続きを行うことによって、中国国内に限って、アリペイアプリによる支払いが可能になる。

 プリペイドカードへの最低入金額は100人民元(約1550円)。入金上限は2000人民元(約31000円)。プリペイドカードは90日間有効で、有効期限以降は残高が自動的に払い戻される。

 中国は世界的にもモバイル決済が非常に進んでおり、様々な生活サービスがモバイル決済をベースに提供されている。アリペイが実施した中国を訪問している外国人旅行者への調査でも、中国現地の人々同様にモバイル決済を使えないことが、中国訪問時の最も不便なことだという回答が18%にもなった。

 中国政府のデータによると、2018年に中国を訪問した海外からの旅客は約3050万人と前年比4.7%増。旅行客による支出は前年比5.1%増の約731億米ドル(約8兆円)になっている。
同年の日本の訪日外国人旅行者数は約3119万人、支出額は4.5兆円だったため、支出額規模は日本を凌駕する規模になっている。(写真は、Tour Pass利用開始までの流れ。提供:アリペイ)


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