企業理念であるパーパス(社会的存在意義)も一部改訂。
パーパスについて5月19日、第68回ARISTA山星屋プロス会(プロス会)で猪忠孝社長は「お菓子の役割を少し積極的に定義し直したいという思いから刷新した」と説明する。
第10次中計のコアコンセプト「菓子CHALLENGE People‘s2027」については「People‘sは前回同様、当社で働く従業員一人一人を指しており、社員が自ら考え自ら行動し、それぞれが成果を生み出せる職場環境を作りたいという思いが込められている」と語る。
菓子の消費動向で着目する動きとしては、インバウンド需要と食事代替需要の増加を挙げる。
「特にお菓子の食事代替需要の拡大は一人当たりの菓子消費の増大をもたらし、現在の菓子市場の成長を牽引する強力なドライバーになっている」との見方を示す。
マーケティング活動では引き続き、菓子メーカー担当者と議論を重ね、スナック・米菓・キャンディ・ビスケット・チョコレートの5カテゴリーの課題をあぶり出し解決策を考案。
この課題解決策を6月18日と19日に開催される菓子総合展示会「ARISTA FAIR(アリスタフェア)2025」で小売業に向けて提案した。
長(おさ)伸也上級執行役員商品企画開発本部長は「2024年度は、メーカーさま26社にご参加いただき月1回の分科会と年3回の全体会議を実施した」と振り返る。
スナックについては「昨秋以降、価格改定の影響が徐々に現れており特売以外での新たな訴求点のPRが課題」と述べ、定番売場でのトライアル促進策として主要商品の味わい・食感のポジショニングが一目で分かるマッピングの用意や催事での露出強化を提案する。
催事での露出は、ブラックフライデーやバレンタインでのスナックとチョコレートを掛け合わせた手作り需要の創出などを想定する。
米菓は、親子や若年層の離反を課題に挙げ、「お米を食べよう!」と題した店頭イベントやお菓子の情報メディア「お菓子と、わたし」でのオンラインイベントで消費者との接点を増やしていく。
熱中症対策やセルフケア需要の増加など外的要因で伸長しているキャンディに対しては、キャンディ本来の魅力を深耕する。
ビスケットは、新商品が定着しにくくロングセラー商品の割合が高まり定番棚がマンネリ化している点を課題とし「“いつもの”“食事代替”“ご褒美”の軸で新たな定番売場のゾーニングを行う」。
カカオショックによる原材料価格の高騰によって購入量と購入頻度が低下しているチョコレートについては防災に着目して、チョコレートが持つ栄養面やカロリーなど非常食として適している点を訴求していく。
菓子全般では、お菓子の情報メディア「お菓子と、わたし」での発信も強化。同メディアは創設6年目に突入し「菓子業界を代表するメディアに成長した」と胸を張る。
菓子情報の年間発信数は520本以上、SNS総フォロワー数は約13.7万、WEBマガジンの月間平均視聴数は約14万人に上る。
昨年は小売業7社とWEB・SNSでオリジナルイベントを実施したところ某メーカーの商品の売上高がイベント実施後、平均16%増に伸長した。