コメを含む食品全般の高騰を背景に、漬物業界は一層の厳しさを増している。節約目的で食卓の品数を減らす際、副菜は見直されやすく素材用途が浸透していない漬物カテゴリーは全体として縮小傾向にある。
漬物は長らくご飯のお供筆頭格として白飯消費を下支えしてきたが、食卓・志向の変化に主食供給の不安定化が加わり、回復の糸口を見いだしにくい状況だ。

5月末からは随意契約方式による政府備蓄米の再調達が始まり、6月以降は広範な小売ルートで消費者の目に触れる機会が増加した。

くふう生活者総合研究所が今月発表した、「政府備蓄米に関する意識調査」(生活者1万62人を対象)によると、「古米を購入したい」「購入した」と回答する消費者が6割にのぼるなど、価格メリットを評価する生活者の存在が明らかになった。

一方で、4割は流通面や味への不安を理由に購入に至っていない。古米は保管期間の長期化に伴い、特有の風味(古米臭)を感じることがあり、炊飯後の食感や口当たりに差が出る場合がある。それらの解消策としては▽調味でカバー▽加工・再調理▽混合・ブレンドによる調整が挙げられる。

これを踏まえ、国分グループ本社が6月17~18日に行った「首都圏・関信越エリア展示会」「全国低温フレッシュデリカ事業展示会」では、古米を美味しく食べることを目的とした付加価値型のご飯関連惣菜が提案された。

漬物類では、ご飯と混ぜ込んで食べられる刻み系や、ラー油や青唐辛子など辛味を加えた製品などがラインアップされた。漬物の塩味や酸味、発酵香は、コメの風味や炊飯状態の悪さをカバーし、その食味を引き上げる補完素材として機能する。歯ごたえのある食感は、コメのべたつき・ぱさつきを感じにくくする効果もある。特に高菜漬、野沢菜漬、柴漬などの刻み漬類は、混ぜご飯やチャーハンの具材として対応しやすい。

コメ問題の収束後も、古米や輸入米は価格訴求型商品として継続的に出回る可能性がある。
消費者の節約志向が根強いため、「安いコメ」は一定数に支持されるだろう。古米が多くの人の口に入る今、漬物業界は「そのまま食べる」から「調理して使う」への転換を促す契機となり得るだろうか。
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