
商品を通じた国産じゃがいもの魅力発信が目的。同社は国産じゃがいも100%使用にこだわっている。
9月10日、「今金男しゃくポテトチップス」先行お披露目イベントで取材に応じた神村拓美EC事業部主任は「国産品質の商品を世に出していくことで農業に少しでも貢献したい。希少なブランドいもを使った商品をオンライン・数量限定にして希少感をさらに打ち出して発売することで“世の中にこんなにすごいじゃがいもがある”ことを皆様に伝えていきたい」と力を込める。
この考えのもと、発売から10年目を迎える今回の商品の一番のポイントは、「今金男しゃく」を収穫してから1ヵ月以内に生産した点。
「これまでは1ヵ月以外の生産では管理していなかったが、今回、しっかりと管理して、穫れたての旨みが楽しめるように進化させた」という。
「今金男しゃく」 「今金男しゃく」はデンプン質が豊富で甘くホクホクとした食感が特徴。
ポテトチップスにする際、デンプン質が多いと焦げやすくなることから、湖池屋では「皮のむき方から洗い方、スライスの厚み、揚げの温度や時間といったところまでこだわり抜くことで、絶品のポテトチップスに仕立てている」という。
収穫後1ヵ月以内の生産に加えて、「今金男しゃく」の特徴である甘みと旨みを引き立てるべく味付けにもこだわった。
「甘み引き立つ しお味」には岩塩と藻塩の2種類を使用し、「旨みを感じる のり塩」では、うすば青のり・すじ青のり・あおさ・焼きのりを使用している。
「今金男しゃく」は、全国のじゃがいもの中で流通量が0.4%以下という希少性から“幻のじゃがいも”とも呼ばれ、東京の市場では40年以上にわたり最高ランクの価格で取引されている。
商標登録されており、2019年には農林水産省が推進する「地理的表示(G1)保護制度」に基づく新たな登録産品としても登録された。

今金町では1891年にじゃがいもの作付を開始し、1951年に作付けする品種を男爵に一本化。
1955年に共同選別機導入により品質の安定した「今金男しゃく」の出荷が可能となり、出荷開始から今年で70年目を迎える。
原種・種子・食用と生産者を区別して専門栽培を行い「種子を全量更新する体制を今日まで維持している」(小田島氏)という。
栽培期間中は、生産者団体による生育検査を各圃場で実施し病害虫の被害を予防。
そのほか空洞検査の実施や徹底した風乾貯蔵を行い、ライマン価13.5%以上のじゃがいもを出荷している。
風乾貯蔵については「収穫後、生産者の倉庫で10日間程度、扇風機などで風乾してから農協の低温倉庫入れて10日間程度貯蔵してからラインに流す仕組みだが、現在、生産者の手間を省くため、収穫後に農協の低温倉庫に入れて風乾も行えるように、国から補助金もいただきながら改築している」と説明する。
「今金男しゃく」の年間生産量は近年1万トンで推移。作付面積は約340ha。生産戸数は約200戸。
なお、先行お披露目イベントでは一般参加者に「今金男しゃくポテトチップス」とともに蒸された「今金男しゃく」が提供された。