両者は約15年前からカップライス製品で使用する加工用米の取り引きで関係を深めてきた。「『カレーメシ』などのカップライス事業は急拡大しており、昨年度は100億円を突破した。今後も倍々の成長を見込む。それを実現するためにも原料米の確保は重要」(深井取締役)。
連携は昨年夏に日清食品から打診した。JA全農が日本全国に有する物流ネットワークを、サプライチェ―ン改革に活かせないかと考えたことがキッカケだ。日清食品の舟根宏道構造改革推進部部長は「昨今の物流問題に対して、我々メーカーは工場からお客様にお届けする製品供給(=川下)のみならず、モノづくりに関わる原材料・包装資材など調達物流(=川上)への危機感も強い。これまで飲料・ビールメーカー様などと“水平連携”を行ってきたが、今回はJA全農様と調達から供給まで“垂直連携”に踏み込んだ」。
トラックによる共同物流をまず2つのルートで始める。試験期間を経て、10月から「岩手~茨城間」で週2便、11月から「福岡~山口間」で月4~5回の「ラウンド輸送」を行う。
今後は、共同配送のルートや品目を順次増やしていく。例えばカップライスは静岡工場でも製造しており、原料米の調達とあわせて取り組みを拡張できる余地がある。鉄道コンテナや海上輸送も検討中。
JA全農の高尾常務理事は「現時点で他の食品メーカーとは協議していない」としながらも、「『ラウンド輸送』は参加メンバーや物量が多いほど効率が高まる。縁があれば他社との連携も深めていきたい」とコメント。日清食品の深井取締役は「将来的にメンバーが増えれば共同配送・保管など取り組みが充実する。政府が掲げる“フィジカルインターネット”を実現する基盤の種になれば」と展望した。