『週刊プレイボーイ』でコラム「呂布カルマのフリースタイル人生論」を連載している呂布カルマ
ラッパーとしてはもとより、グラビアディガー、テレビのコメンテーターなど、多岐にわたって異彩を放っている呂布(りょふ)カルマ。『週刊プレイボーイ』の連載コラム「呂布カルマのフリースタイル人生論」では『タトゥー』について語った。
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★今週のひと言「意外と思うかもしれないが、俺にはタトゥーが入ってない」
ミュージシャン、特にラッパーにはタトゥーが入ってる人が多い。
入れ墨とタトゥーは識者によるとそれぞれに違いがあるらしいのだけれど、よくわからないから今回はまとめてタトゥーとする。
何度聞いても、その途端にその違いを忘れてしまう「アナル」と「アヌス」みたいなものか。
違うか。
本質的に興味がないと頭にも入らない。
ちなみにだけど、俺にはタトゥーが入っていない。
40歳を過ぎて今後タトゥーデビューすることもないだろうが、若い頃、特に10代後半の頃には一丁前にタトゥーを入れたいと思っていた時期もある。
俺も現代の若者と同じように、好きなアーティストやラッパーに入ってるタトゥーを見て憧れたのだ。
だけど20年前は、今みたいにいきなり前腕とか首とか見えやすい所に入れたりっていうのはなかなかなくて、肩とか背中、洋服などで隠せる場所に入れるもんだと思っていたし、実際そうだったと思う。
どんなタトゥーを入れようかと思っていたかというと、当時仲の良い友達と組んでいたチームの名前を、どうせなら背中一面にメンバーみんなで入れようぜ的な。
でも結局、当時は背中一面彫るような金もないし、なんだかんだ踏ん切りもつかなかったのもあって、モタモタしているうちに進学や就職でチーム自体も空中分解。
今考えるとマジで入れなくて良かったんだけど、背中一面とかじゃなくてワンポイントとかならノリでやってたかもしれないし、そうしたらその後はそれを隠すように周りにもっとたくさんのタトゥーを入れたりしていたのかもしれない。
そうなっていたら良くも悪くも、その後の人生にも何かしらの影響はきっとあっただろうな。
少なくとも今みたいな仕事はしてないだろう。
俺は今の人生を気に入っているから、そう考えるとタトゥーを入れなくて良かったと思うが、入っている人生でもなんやかんや肯定していそうだな。
結局、その後ラッパーになると、タトゥーを入れた人とそれまでの人生ではありえないぐらいの割合でクラブで出会うことになる。そうなってくると、へそ曲がりな俺はタトゥーが入ってないほうが目立つんじゃないかと思うようになった。
実際いまだにひとつも入っていないのが意外がられる場面も多い。しかも、その頃からこの20年でさらに飛躍的にタトゥーの割合は増えたし、若年齢化した。
老婆心ながら、若いコを見ていて心配になる。
ラッパーとして生きていく覚悟で首にタトゥー入れました!とか。
俺も同じ頃、同じように憧れたくせにね。
タトゥーの最大のネックは消えないことと彫るときの痛みだが、タトゥー人口が増えれば近い将来それらの問題はテクノロジーで解決されるだろう。
そりゃやっぱり痛くなくて消せるものがあれば、そっちのほうがいいもんね。
それじゃタトゥーの意味がないって意見もわかる。
でも選べたほうがいいよな。免許のオートマとミッションみたいにさ。そうしたら俺も冗談みたいなタトゥーを入れたりするかもな。
現状は消せなくて取り返しがつかないから、どんだけダサくても笑いにくい空気あるもんな。
消せるなら心置きなく笑える。笑えたほうがいいよな。
撮影/田中智久