アカウント凍結が増加しているGoogle
メール、ドライブ、カレンダー......。「デジタル資産」とも言える個人の全情報をGoogleに預ける人も多い。
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【生活を支配する巨大な〝Googleの手のひら〟】スマホが生活必需品となった現代、米Googleの提供するサービスと無縁で過ごすことは極めて困難だ。無料メールの代名詞である「Gmail」を筆頭に、経路検索に不可欠な「マップ」、写真データを預けるための「フォト」、業務資料の保管先にもなる「ドライブ」、そして日常の娯楽である「YouTube」。
これら生活のあらゆる局面を支えるインフラは、すべて単一の「Googleアカウント」によって統合され、その背後ではAIが利用者の行動を克明に記録し続けている。
ITジャーナリストの三上 洋氏は、この構造的な依存状態に警鐘を鳴らす。
「利用者は各サービスを個別のものとしてとらえがちですが、実態は同じアカウントにひもづき、情報も集約されています。そしてGoogleは、各サービスの検索履歴や閲覧内容、さらには端末の操作ログを通じて、利用者が『いつ、どこで、何に興味を持ったか』を常時監視しているのです。
収集された膨大なデータは広告の最適化に利用され、絶え間なくクリックを促す。位置情報や利用シーンまで把握されている以上、現代人は〝Googleの手のひら〟で踊らされている状態にあると言えます」
各サービスの利便性を、多くの利用者は基本的に無料で享受している。しかし、これらの機能が突如として利用不能に陥るリスクが存在する。
「怖いのはそこなのです。Googleの〝憲法〟ともいうべき『利用規約』には、規約やポリシーに著しく違反した場合、サービスへのアクセスを停止(アカウント凍結)・アカウントを削除する権限を有すると明記されています。
ハッキング行為やコンピューターウイルス作成、児童ポルノの保存や共有などが違反行為の代表例ですが、これらを行ないGoogleアカウントの凍結や削除=〝垢BAN〟されれば、サービスが利用不能となります。
仕事でGmailやドライブを使っていれば死活問題ですし、他サービスの多要素認証にGmailを設定している場合、ネット上の活動自体が困難になります」
規約違反による停止であれば自業自得だが、実際にはシステムの誤判定によってこの措置が下される事例も報告されている。三上氏が続ける。
「規約違反かどうかの判定はAIが行ないます。この段階で人間の判断が入る余地はありません。異議申し立ても可能ですが、人的リソースの限界もあり、回復の可能性はかなり低いと考えられます」
【育児の記録が「児童ポルノ」扱いに】実際にアカウント凍結の憂き目に遭った人物がいる。サウンドデザイナーの沖田純之介さんだ。
「自分は音楽が本職ですが、仕事でもプライベートでも写真や動画を多く撮っていて、データはたまる一方でした。Googleフォトは、写真や動画を人物や場所といったキーワードで検索してソートできるのが便利なので、撮ってそのままそちらにアップロードするのが日常でした」
ある日、沖田さんは、長女の成人という節目に加え、Googleフォトの空き容量を増やすため、データの整理に着手した。
「正月休みを利用して過去のデータを整理し、一部の動画ファイルをYouTubeに非公開設定で移動させる作業を進めていたのです。
すると突然、Gmailがどんどんメールを受信し始めました。ただ、最初はスパムメールかと思い、放っていました」
しかし沖田さんは、すぐに異変に気づくこととなる。
「アップロードしたばかりのYouTubeの動画が、次々に消えていくんです。あれっ?と思いGmailに届いたメールを開くと、『Googleは児童への性的虐待の画像を公開、配信していることが判明したユーザーのアカウントを停止します』と書かれていて。まずいことになったと思いました。その後、YouTubeにアクセスできなくなり、最終的にGoogleの全サービスが使えなくなりました」
沖田さんはしばし考え、ある結論に達する。大量のデータ整理とその過程でアップロードした「沐浴動画」が、AIの検知網に抵触したのだ。
「長女の動画には赤ちゃんのときの裸が写ったものがありました。また、アップロードする際、『沐浴』や『おむつ替え』などのファイル名をつけたのが、児童ポルノの公開準備と誤認された可能性もありそうです」
沖田さんは元データをハードディスクに保存していたため、データの消失という最悪の事態は回避できた。
グラビアアイドルの際どい画像をアップロードした際、実際は成人であっても体形や顔つきから児童ポルノと誤判定される可能性も
「ただ困ったのは、Googleドライブに入れていた仕事のファイルを見ることができなくなったことです。業務上の書類をドライブに集約していたため、アクセス不能になった影響は甚大でした」
沖田さんはGoogleからのメールに従い、再審査申し立てを行なった。
「Gmail、フォト、ドライブは凍結が解除され、再び使えるようになりました。しかし、肝心のYouTubeについては再審査申し立てが却下されてしまいました。
YouTubeはプライベートな動画とは別に、耳の不自由な方などが音の確認をするための動画をボランティア的に公開していたので、停止のままでは大きな影響が出ると考え、別のチャンネルを作り再開しましたが、そちらも利用規約違反ということで停止となりました。同一利用者と見なされたのです。
絶望的な状況でしたが、すぐにもう一度審査を申し立てたところ、4ヵ月後にようやく『利用規約違反ではない』とのメールが届き、アカウントが復活しました」
結局、沖田さんのYouTubeは2度の審査請求後、解除されるまでに4ヵ月を要した。だが、復活しただけでも非常に幸運なケースと言える
前出の三上氏は語る。
「誤判定であっても、アカウント凍結されるのが現実です。仕事のメールやファイル保存をGoogleに一任していると、こうした事態が起きた際、業務は完全に停止します。しかも、沖田さんのように誤判定が覆るのは国内ではまれ。非常に幸運なケースと言っていいでしょう」
一方、インターネット関連の事件に詳しい鈴木淳也弁護士は、児童ポルノが原因の凍結には、現実社会での捜査対象となる可能性が伴うと警鐘を鳴らす。
「米国の事業者は現地の法律に基づき、検知した児童ポルノ情報をNCMEC(全米行方不明・被搾取児童センター)へ通報する義務を負っています。
万が一、家宅捜索に発展すれば、PCやスマホなどの端末は証拠品として押収される。
「端末が押収されれば生活や仕事に甚大な支障を来し、家族に犯罪の嫌疑を知られるリスクも生じます。さらに事案の内容次第では、逮捕の可能性も否定できません。
もし凍結の理由に心当たりがあるならば、最悪の事態を避けるために直ちに弁護士に相談し、自首を検討すべきでしょう。逃亡や証拠隠滅の恐れがないと示すことで、逮捕を免れ、また不起訴にするか否かの判断や裁判での量刑において有利に働く事情となります」
【果たして対策は?】では、垢BANの被害を最小限にするためにはどうすればいいのか?
「まずは、用途に応じたアカウントの分散です。仕事用のGmailアカウントがあるなら、同じアカウントでフォトやYouTubeを利用しない。重要な書類があるなら別のアカウントで運用する。そうすることで、1ヵ所の凍結が全サービスへ波及するリスクを抑えられます。
ただし、回復用のメールアドレスやクレジットカードを共通にすると、Google側に『同一人物』と特定される恐れがあるため注意が必要です」
また、データ保存先をドライブ一択にすることも危険だ。
「Googleのクラウドサービスはあくまで『便利なバックアップ先』ととらえ、重要データはハードディスクなどにも保存すべきです。その上で、疑われそうなファイルはアップロードしないこと。たとえ日本では合法のジュニアアイドルの写真やビデオ、ポルノ小説でも、Googleが規約違反と判断すれば、垢BANにつながります。
最後に、生成AIの『Gemini』の使い方にも細心の注意が必要です。興味本位で海外風俗の話や麻薬関連の質問をすると、要注意人物とマークされて何かの拍子で垢BANされる可能性があります。たとえ学術的な調査であっても、判定AIは文脈をくみ取ってくれません。
不用意な質問が凍結の引き金にならないよう、Geminiの利用は専用の別アカウントで行なうのが理想です」
予期せぬアカウント凍結で足をすくわれないよう、自衛策を徹底しておきたい。
取材・文/植村祐介 写真/PIXTA











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