ボーズ(Bose)が再び、本格的にホームオーディオのカテゴリーに全力投球を宣言しました。ワイヤレススピーカーやサウンドバーなど3つの新製品が、「Lifestyleコレクション」として5月15日に誕生します。


同社がニューヨークに世界各国のジャーナリストを集めて開催したローンチ・イベントに、筆者も参加してきました。現地で体験した新製品の魅力と、ボーズのキーパーソンによるコメントをレポートします。

生活空間に溶け込むオーディオのカタチ

今回のイベントの舞台となったのは、ニューヨーク・マンハッタン市内のアッパー・ウェストサイド、総合芸術施設のリンカーン・センターにもほど近い場所にある一軒のタウンハウスです。

ボーズはこの建物を貸し切り、ニューヨーカーが実際に暮らす生活環境を模した「Bose Townhouse」として特設会場を設けました。

会場内にはリビング、書斎、ベッドルームといった家庭のあらゆるシーンが再現され、それぞれの場所に新しいフラグシップとなるLifestyle Ultraシリーズが、自然と溶け込むように配置されていました。

実際の生活空間に近い環境で製品に触れることで、無機質なオーディオコンポーネントとしてではなく、暮らしのクオリティを高めるために欠かせないLifestyle Ultraシリーズの価値を知ることができます。

デモンストレーションでは、3つのモデルを組み合わせたホームシアターの迫力あるサウンドはもちろん、インテリアに調和するデザインの美しさも強調していました。

日本上陸も間近! 新Lifestyleコレクション

日本国内でも2017年以降に展開された一体型ホームシアターシステムの「Lifestyle 650/600 home entertainment system」以来、しばらくの間はボーズのLifestyleコレクションに大きな動きが見られませんでした。

近年のボーズは、Bluetoothスピーカーやワイヤレスヘッドホン・イヤホンといったパーソナルオーディオに注力している傾向がありましたが、なぜこのタイミングでLifestyleコレクションを復活させたのでしょうか?

ボーズのプレミアムコンシューマーオーディオ部門の社長であるラザ・ハイダー氏に、同社のホームオーディオに関連する戦略を聞くことができました。

ハイダー氏は「Lifestyleコレクションは私たちのヘリテージ(遺産)であり、会社が築き上げられた礎の上に創られている主力製品のひとつです。この大切なシリーズを再始動できることを、とても誇りに思っています」と語ります。

ハイダー氏によれば、開発において最も腐心したのは「サウンドとデザインの両方を、かつてないレベルまで高めること」だったといいます。
特に、製品を設置した部屋の美観を損なわないように、ワイヤレススピーカーとサウンドバーは布製のグリル(スピーカーユニットを保護するためのカバー)を採用しながら、グリルがサウンドに悪影響を与えないよう、チューニングにも徹底してこだわりました。

ハイダー氏は「日本でも多くの皆さんが、ふだんからボーズのブランドを信頼し、製品を愛用してくださっていることに深く感謝しています。日本市場でもLifestyleコレクションを中心とする、ボーズの良質なホームオーディオ製品をお届けできるように全力を尽くします」と、今後に向けた意気込みを語りました。
筆者イチオシの「Lifestyle Ultra Speaker」

新しいLifestyleコレクションは単独でも、またはそれぞれを組み合わせてホームシアターシステムとしても楽しむことができます。

まずは、今回のラインナップの中で最も手軽に導入しやすい、ワイヤレススピーカーの「Bose Lifestyle Ultra Speaker」から紹介します。日本での価格は55,000円。通常のカラーバリエーションであるブラックとホワイトスモークのほか、ボーズの直販サイト限定モデルとなるドリフトウッドサンドの3種類が展開されます。

本機はコンパクトサイズでありながら、とても多機能なワイヤレススピーカーです。Wi-Fi 6とBluetooth 5.3をサポートしており、Apple AirPlayやGoogle Cast、Spotify Connectといった音楽ストリーミングサービスに対応しています。

Ultra Speakerは本体にバッテリーを内蔵していないため、付属の充電ケーブルで給電する仕様としています。

背面には3.5mmのアナログオーディオ入力(AUX)も備えているので、フォノイコライザーアンプを内蔵するアナログプレーヤーを接続すれば、シンプルな組み合わせでレコード再生のための環境も実現できます。

内部には、正面向きに2基と上向きに1基、計3基のドライバーユニットを搭載しています。
ボーズ独自のオーディオ信号処理技術に基づく「Bose TrueSpatial」機能により、スピーカー単体でも高さ方向に豊かな広がりを感じられる立体サウンドを再現します。

Amazon Alexa対応のスマートな音声操作機能も搭載しています。さらに、アマゾンが独自のモデルを基盤とした生成AIベースの「Amazon Alexa+」にも、アマゾン以外のサードパーティのメーカーによるホームオーディオ製品として、初めて対応しました。従来の音声操作よりもさらに文脈を理解する、自然な対話が可能になります。

日本では、まだAlexa+の導入時期が発表されていないので、5月15日の発売時点では従来通りのAlexaが動きます。ローンチ後は、ソフトウェアのアップデートによりAlexa+が使えるようになります。

サウンドバーのフラグシップモデルも一新

「Bose Lifestyle Ultra Soundbar」は、シングル筐体でドルビーアトモスによるイマーシブサウンドを再現できるサウンドバーです。価格は154,000円です。カラーバリエーションは、ブラックとホワイトスモークの2種類があります。

日本では、2023年の9月に発売した「Bose Smart Ultra Soundbar」の後継機にあたるサウンドバーのフラグシップモデルですが、本機からLifestyleコレクションに仲間入りしています。

本体に全9基のスピーカーユニットを内蔵し、1台で5.0.2チャンネルの没入型オーディオ体験をつくり出せます。音の指向性を自在にコントロールする、ボーズ独自の「PhaseGuide」テクノロジーを搭載するユニットも2基搭載しています。
スピーカーを設置していない場所にも、力強く鮮やかな音像を擬似的に定位させます。

サウンドバーと連携しながら重低音域を支えるのが、ワイヤレスサブウーファーの「Bose Lifestyle Ultra Subwoofer」です。価格は11万円。本機もブラックとホワイトスモークの2色があります。

ボーズ独自の「QuietPort」テクノロジーにより、サウンドの歪みを極限まで抑えながら、深く沈み込み、制動を効かせた重低音を再現します。5GHzのワイヤレス接続に対応するサブウーファーなので、設置の自由度が高いことも特徴。3.5mm有線ケーブルで、他社のサウンドバーやアンプと接続することも可能です。

新しいLifestyleコレクションの3製品を組み合わせることで、より豊かなイマーシブサウンドを再現するシステムに発展させることができます。

例えば、Ultra SpeakerはWi-Fiで2台をペアリングしてステレオ再生を楽しんだり、Lifestyle Ultraシリーズのサウンドバーとサブウーファーを置いた環境に、さらにリアスピーカーとして2台のUltra Speakerを加えれば、7.1.4チャンネル相当のフルシステムに発展します。ただし、この場合は最新モデルであるLifestyle Ultra同士の組み合わせであることが条件です。

独自の音響技術「TrueSpatial」とデザインのこだわり

新しいLifestyleコレクションでは、ボーズによる最先端の音響技術の導入と、インテリアと違和感なくなじむデザインの両立が、とても高いレベルで図られています。

プロダクト&デザインのバイスプレジデントであるメリッサ・ピカリング氏は、新しく搭載した「Bose TrueSpatial」の技術を次のように説明しています。


「TrueSpatialは、ステレオ音源などのイマーシブではないコンテンツを分析しながら、空間の中に音を適切に配置し直す技術です。Lifestyle Ultraのサウンドバー、ワイヤレススピーカーが搭載する上向きのスピーカーユニットを最大限に活用し、従来の平面的だった音に奥行きと高さを加えます。この機能は常時オンで動作するので、音楽でも映画でも、あらゆるソースの没入感を高めてくれます」

イベントでは、サウンドバーによるTrueSpatialのデモを体験できました。音声がドルビーアトモスのフォーマットで収録されていないコンテンツを再生した場合でも、自然な音の広がりが感じられます。

さらに、サウンドバーには映画やテレビ番組のナレーション音声をAIで解析して、より聞きやすくする「Bose SpeechClarity」という機能があります。オン・オフを切り替えながら聴き比べると、完成度の高さが実感できました。大きな音を鳴らせない、夜間のコンテンツ視聴にも効果を発揮すると思います。

マーケティングのバイスプレジデントであるショーン・ロッシ氏は、Lifestyleコレクションのデザイン面での革新を説いてくれました。

デザインの視点からは、特にワイヤレススピーカーのUltra Speakerの限定モデルである「ドリフトウッドサンド」に要注目です。このモデルは、本体のベース部分にホワイトオークの無垢材を採用しているからです。

ロッシ氏は「インテリアのトレンドを調べ尽くして、リビングやベッドルームと自然になじむ素材を選びました。金属やプラスチックではなく、本物の木材や高品質なファブリックを使うことで、時間の経過とともに風合いが変化していく様子も楽しんでいただけます」と、限定モデルの魅力を語っています。


ボーズがプレミアムオーディオブランドと組む理由

ボーズは、新しいLifestyleコレクションの発表会の同日に、もうひとつのメインイベントとして、同社と深い結び付きのあるプレミアム・オーディオブランドであるMcIntosh(マッキントッシュ)と、Sonus faber(ソナス・ファベール)の製品をジャーナリストに紹介する体験イベントを、両ブランドのショールームである「House of Sound NYC」で実施しました。

ボーズは2024年11月に、米国のマッキントッシュ・グループを買収しています。連携を決定した背景にある狙いを、ボーズのハイダー氏は次のように明かしました。

「私たちボーズは、誰もが素晴らしいサウンドを体験するべきだという信念のもとに、自社だけでなくマッキントッシュ、ソナス・ファベールのように長い歴史と豊かな経験を持つブランドと協力することで、価値あるサウンド体験を多くの人々に届けようとしています」

誰もがカジュアルに楽しめるボーズのLifestyleコレクションから、より高品位なリスニングを追求するハイエンドの世界まで、ボーズのサウンドコンセプトがこれからどのような形で広く浸透していくのか楽しみです。

著者 : 山本敦 やまもとあつし ジャーナリスト兼ライター。オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。独ベルリンで開催されるエレクトロニクスショー「IFA」を毎年取材してきたことから、特に欧州のスマート家電やIoT関連の最新事情に精通。オーディオ・ビジュアル分野にも造詣が深く、ハイレゾから音楽配信、4KやVODまで幅広くカバー。堪能な英語と仏語を生かし、国内から海外までイベントの取材、開発者へのインタビューを数多くこなす。 この著者の記事一覧はこちら
編集部おすすめ