『オルカン思考 世界経済を味方につける「長期投資」の教科書』は、個人投資転換期の今、注目される「全世界株式(オール・カントリー)、通称「オルカン」を生み出した代田秀雄氏による初めての著書です。投資の基本に加え、得た資産をどう使うかという“出口戦略”まで丁寧に解説しています。
本書の一部を抜粋してご紹介します。
○「市場を買う」という考え方を理解しましょう。

「オルカンは米国株が6割以上を占めている。これでは分散になっていないのでは?」という疑問を持つ方は少なくありません。とくに近年は、米国株の中でもIT関連銘柄への集中が目立ち、「特定の巨大企業に偏りすぎているのではないか」という声も聞かれます。

実は、こうした議論は今に始まったものではありません。2010年代の後半には、GAFA(Google,Apple,Facebook(現Meta),Amazon,Microsoft)への集中が盛んに問題視されました。

では、そのときに「GAFAMの比率が高すぎる」と判断して、あえてそれらを外す、あるいは比率を大きく下げる戦略が、結果として有効だったかというと、必ずしもそうとはいい切れません。少なくとも、市場全体を上回る成果を安定的に生んだとは評価しにくいのが実情です。

この点に、「市場を買う」という考え方の重要な示唆があります。オルカンのような時価総額加重型の全世界株式指数に投資するということは、「世界の株式市場そのもの」を、そのまま引き受けるという選択です。オルカンは、世界の株式市場を縮小コピーした“ミニチュア”のような存在だといえます。


現在、世界の株式市場においてアメリカが約6割を占めているのであれば、オルカンの中で米国株の比率が6割前後になるのは、ごく自然な結果です。これは「米国株を6割買いたい」と判断しているわけではありません。あくまで、市場の構成比をそのまま受け入れているだけなのです。

同じことは、IT関連銘柄の比率についても当てはまります。その時々で「集中しすぎだ」といわれる分野は変わりますが、市場で評価されているからこそ比率が高くなっている、という事実は変わりません。時価総額加重型の指数は、そうした評価の変化を自動的に反映し、主役が交代すれば、その移り変わりも自然に取り込みます。

一方で、「今回はさすがに偏りすぎている」「ここは避けたほうがいい」と考えて構成比を調整する行為は、市場平均から意図的に離れることを意味します。これは分散を高めるというよりも、「市場とは異なる判断を自分で下す」というアクティブな選択です。そして、その判断が長期にわたって一貫して正しかったとあとからいえるケースは、決して多くありません。

オルカンの米国比率やIT比率の高さは、分散が足りないからではありません。それは単に、「今の世界の株式市場がそうなっている」という現実を、忠実に映しているにすぎないのです。市場に自分の予想や警戒心を過度に持ち込まず、その変化を丸ごと引き受ける。
それが「市場を買う」という考え方であり、パッシブ運用の本質なのです。

○『オルカン思考 世界経済を味方につける「長期投資」の教科書』(著:代田秀雄/学研ホールディングス)

2024年の新NISA開始以降、年間の投信資金流入額15兆3400億円のうち、約2兆3550億円(約15%)がeMAXIS Slim(イーマクシススリム) 全世界株式(オール・カントリー)・通称:「オルカン」に集中しました。そんなオルカンの生みの親が、投資についての考え方を徹底的に解説します。

投資におけるリスクとはなにか?

なぜ短期投資が危険なのか?

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高配当株との付き合い方とは?

「オルカン」に込められた思いとは?

…など、株や投資に関する教養、そして激動の時代を乗り切る知識を身につけましょう。
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