古今東西のヤンキー文化が北千住に大集結する、その名も「大ヤンキー展」が2026年4月18日(土)~5月10日(日)、北千住マルイ7F 1010PARKにて開催している。第2回となる今年は、前回を大幅に上回るスケール。
改造バイクへの試乗、本物の特攻服・学ランの試着、山下メロ氏監修の「ヤンキーの部屋」再現エリアなど、見るだけでは終わらない体験型コンテンツが目白押しだ。企画・主催を務める鈴木おさむ、PR大使の佐田正樹(バッドボーイズ)、監修でヤンキー界の重鎮岩橋健一郎の3人がド派手に改造した原付に跨り、笑いあり、熱量ありのトークでその全貌を語った。

■ 第五次ヤンキーブーム到来

推し活や、SNSの影響により、レトロブームが若者文化を席巻している。それに伴い、今、再び熱い視線を集めているのが”ヤンキー”だ。かつてのサブカルチャーは、もはや日本のメインカルチャーと言っても過言ではないと鈴木氏が語る。

鈴木おさむが「ヤンキーは時代劇に並ぶ日本のメインカルチャー」と断言するワケ
鈴木おさむ氏
鈴木 「ヤンキーブームというのが何年かに一度来るんですよ。私が53歳で、80年代の『ビーバップハイスクール』の世代なんですが、おそらくそこが第二次ブーム。それから時を経て、今を勝手に第五次ヤンキーブームと呼んでいます。ヤンキーがもう日本のカルチャーになっているなと感じていて、その文化を可視化したかった。昔ヤンキーだった人には懐かしく興奮してもらって、若い子には『本当にこんな人いたの?』と驚いてもらいたい」

 今年2月に大宮で開催された第1回は、記者発表後に佐田のYouTube「SATAbuilder’s」での告知も大きな後押しとなり、想定を超える来場者を集めた。その反響を受け、今回は丸井北千住店のゴールデンウィークという勝負期間に、さらに大規模な会場を確保。コンテンツも大幅にパワーアップした。

鈴木おさむが「ヤンキーは時代劇に並ぶ日本のメインカルチャー」と断言するワケ
佐田正樹氏(バッドボーイズ)
佐田 「事前にYouTubeの撮影で入ったとき、1時間あれば回りきれると思ったら全然だめで。
3分の2ぐらいしか回れなかった(笑)。前回と違って試着もできるし、バイクにも触れるし、アミューズメントパーク的な要素がものすごく増えている。ゴールデンウィークに家族で来ても1日中楽しめる場所になっていると思いましたよ」

■ 乗れる、着られる。体験型ヤンキー空間

 前回「乗りたかった」という声が多数寄せられたバイクは、今回ついに試乗可能に。改造原チャリ・改造チャリも用意され、特攻服や学ランを着たまま乗り物に乗るという、当時さながらの体験ができる(室内開催のためエンジンはかけられないが、自転車は実際にこげる)。

佐田 「岩橋さんがペダルを踏むとバイク音が鳴るようにカスタムしていて、ハンドルにも音が鳴る仕掛けが施されているんです。ラッパもついていて、俺、30分ぐらいずっと乗ってましたよ(笑)」

鈴木おさむが「ヤンキーは時代劇に並ぶ日本のメインカルチャー」と断言するワケ
岩橋健一郎氏
岩橋 「今、公道で乗ったら違反になるやつ(笑)。当時、中学生がああやって乗っていたんですよ。今ここでしかできない体験です。改造チャリ、人生で初めて作ったんですけど、大人がやるとプラモデル感覚で意外と楽しくて。乗っても楽しいし、愛着が湧いてしょうがない」

■ 「ヤンキーの部屋」の細部に宿るリアル

 会場のハイライトのひとつが、山下メロ氏監修による「ヤンキーの部屋」の完全再現エリアだ。部屋の中には入れないものの、椅子に座ると視界が変わる仕掛けがあり、奥へ踏み込むほどに細部の発見が続く。

佐田 「座ったら見えてくるんですよ、昔のVO5の缶スプレーとか、タクティクス香水、ビリヤードの玉の灰皿、トルエン缶、宮沢りえの『サンタフェ』まで(笑)。
細かい発見が本当に楽しかった。力を見せたいから筋トレ器具も置いてあるんですよね、鉄アレイとかエキスパンダーとか」

■ 佐田の私物「渡り百センチ」ボンタンが降臨

鈴木おさむが「ヤンキーは時代劇に並ぶ日本のメインカルチャー」と断言するワケ
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 さらに注目は、佐田が自ら持ち込んだ私物の展示だ。当時の学生服と特攻服に加え、渡り(裾幅)が100センチという規格外のボンタンも登場する。

佐田 「会場にカタログが置いてあって、一番太いもので渡り80センチまでだったんですが、僕のは渡り100センチ。みなさん見たことないと思います。片方1メートルあるから、両方合わせると2メートルですよ。たぶんちょっとした山なら、繋げてムササビみたいに飛べますよ(笑)。証拠として、中学校のときに制服を着ている写真も展示します」

 特攻服の刺繍にも、見る者を圧倒する迫力がある。会場には実際に着用されていた本物の特攻服が並ぶが、なかには50万~100万円近い価値を持つものも。フルオーダーで、職人が一針ずつ手で打つ刺繍の美しさは格別だ。

佐田 「自分で一生懸命考えるんですよ、あの文言は。僕の学生服の刺繍も『今宵最後の親不孝』とか、『不良という名に憧れて十四、十五が華だった』みたいな、中二病全開の自分が書いた詩が入っていて(笑)。誤字脱字があるかもしれないのがまたリアルで。
なんでこれを書いたんだろうと想像しながら見るのも楽しい」

岩橋 「背中の一番大きい文字を見ると、糸の打ち方が綺麗かどうかでわかる。昔の特攻服は全部フルオーダーで作っていて、うまいところは本当に綺麗ですよ」

 グッズ面でも見逃せないのが、80年代に一世を風靡した「なめ猫」との完全コラボだ。今回の目玉は「なめ猫マイナンバーカード」。前回のなめ猫免許証は数千枚を完売した実績があり、今回は大増刷で臨む。さらに「アルプスの少女ハイジ」との公式コラボも展開。ハイジの周囲の登場人物がどんどんヤンキー化していく中、ハイジが奮闘するというコンセプトで、フォトスポットや限定グッズを用意している。

鈴木おさむが「ヤンキーは時代劇に並ぶ日本のメインカルチャー」と断言するワケ


■ 時代劇化するヤンキー文化の現代的意義

鈴木 「40、50代の方が展示の前で『俺はああだった』『私はこれだった』とすごく語ってくれるんです。中には3世代で来てくれた家族もいた。19、20でお子さんを産んでいる方はもうお孫さんも連れてこられるというわけで、さすがヤンキーだなと(笑)。うちの息子が小5なんですけど、『え、本当にこんなの着てたの?』って言うんですよ。僕らが初めて戦国ものを見たときと同じ感覚です。ヤンキーというのはもう完全に時代劇的なジャンルになってきている。
東京リベンジャーズがタイムリープの設定を使っているのも上手くて、任侠ものと並ぶような一種の時代劇ジャンルだと思っています」

“ヤンキー”はしばしば“ワル”と混同されることがある。だが両者の間には決定的な違いがあるという。鈴木氏が続ける。

鈴木 「かっこいいことを言うと、ワルというのは誰かを傷つけるんですが、ヤンキーは誰かを守ろうとする心や強さが根底にある気がするし、そうであってほしい。私はヤンキーじゃなくて、むしろボコボコにされた側なんですけど(笑)。それでもずっと憧れはあります。」

岩橋 「ヤンキーは生き様で、ワルは犯罪。自分の中でそこの線引きをしっかりできるかどうか。心の中の支えとして持っておくのは絶対大切で、ヤンキーの連中って意外と潔いんですよ。覚悟が決まってるんです。ヤンキー文化は絶対アナログのつながりが大事で、誰かと知り合って話して答え合わせをすることで軌道修正される。ぜひ大ヤンキー展に来て、自分のヤンキー魂が歪んでいないか確かめてください」

ギャル文化と同じように確実にカルチャーにおける絶対的な市民権を得つつあるヤンキー。鈴木氏が今後見据える先はどこにあるのか。


鈴木 「幕張メッセです。大恐竜展のような規模感で。名古屋、北九州、福岡、大阪、岐阜と全国からオファーをいただいていて、まずは全国巡業しながらパワーアップして、最終的には幕張メッセで一カ月開催したい。改造バイクをズラッと並べてメリーゴーラウンドにして、屋根ぶった斬りの改造車も飾って、全国から集まる大きなイベントにしたいですね」

 北九州の特攻服がパリコレ的に展示されたことや、暴走族を口を開けて見つめる外国人の動画が話題になるなど、ヤンキー文化の国際的な関心も高まっている。「日本が世界に誇る裏文化を、全世界に広めたい」と鈴木おさむは力を込める。

鈴木おさむが「ヤンキーは時代劇に並ぶ日本のメインカルチャー」と断言するワケ
鈴木おさむ氏(「ヤンキーの部屋」再現エリアにて)
 今しか見られない、触れられない——ヤンキー魂の全てが、北千住に集結している。

取材・文/週刊SPA!編集部  撮影/須藤リョウジ
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