中道改革連合が12日に党見解をまとめ、政府提示の二案のうち旧宮家の男系男子を念頭に置く案を事実上容認した。党派間の立場がほぼ整理され、今国会での皇室典範改正審議が本格化する見通しだ。
中道改革連合も旧宮家の男系男子養子案を事実上容認
遂に野田佳彦元首相が白旗をあげた。5年間も「どうして一般人の男を皇族にしてはならないのだ!」とゴネ続けていたが、遂にそれがかなう見込みはなくなった。野田氏は純粋にそれが皇室の為だと信じていたのだろうが、その背後にいる邪悪な勢力による国体毀損の可能性は、封じ込められた。さて、一言。
「女系派の諸君、心をこめて言ってやろう。ざまあみろ!」
などと罵ろうかと思ったが、暇がない。終わった人たちを相手にしても仕方がないし。
何の話か。中道改革連合が皇位継承に関する意見を取りまとめた。結論から言うと、野田元首相を筆頭とする女系派は「無条件降伏だけは勘弁してもらった」かのような屈服。あまりの内容に、保守陣営の中には、偽装降伏を疑う声すらあるが、さすがに心配し過ぎ。
中道のとりまとめた意見は、以下の内容である。
第一に「国民の理解を得る」、第二に「皇室の歴史と伝統を尊重する」、第三に「当事者である皇族の方々の思いを踏まえることが重要である」と始める。どれも、当然である。
その上で、「悠仁殿下への皇位継承を揺るがせにしない前提を確認」した。いきなり「愛子天皇論」を全否定である。
意見書の結びは「将来は女性天皇の検討を」
政府は二つの案を出しているが、第一案の「女性皇族が結婚後も皇室に残る案」を優先するとした。最大の争点である配偶者と子供の身分は、「当事者の意向など個別の事情を確認するなど、適時適切に対応する」となった。絶妙な文言である。お相手がどんな人か。もしかしたら、旧皇族をお選びになる可能性もある。お相手が一般人の場合、女性皇族が皇室を出ていくかもしれず、それを政府案は否定していないし、止められない。あるいは皇族の身分を保持して配偶者が国民のままの政府案を選ぶ可能性もある。またその時に、配偶者を「准皇族」にするのも検討の余地がある。
「適時適切」だけを取り出してこの部分だけ文字通り読めば「一般人の男を皇族にする」とも読めなくもないが、大前提が「皇室の歴史と伝統を尊重する」なので、それはできない。
マスコミで注目されているのが第二案の「旧皇族の養子による皇籍取得案」である。これには「制度化することも考えられる」とした。原案より表現が後退していると報じるメディアもあるが、細かい文言などどうでも良い。翻訳すると「政府の邪魔をしない」である。
意見書は「慎重な制度設計をしなければならない」と言うが、これも当然である。「養子」は皇室の歴史で多くの先例があるから、皇室典範で恒久法化して良い。一方、「皇籍取得」は先例があるが、異例である。間違っても「パンピーの男が皇族になれる」と読めるような文言など、あってはならないし、それが恒久法化されたら意味が無い。
結びに、「将来は女性天皇の検討を」と締めるが、再び「愛子天皇論」を否定。女帝を検討するのは、仮に悠仁殿下に男の子が生まれなかった場合だけだ。もはやトドメを刺された。
全体会議は「野田さん一人を説得する会議」などと揶揄
皇位継承問題を「次の天皇は悠仁殿下か愛子殿下か」のような、愛子殿下にこそ迷惑な動きもあったが、政界では相手にされていなかった。安定的な皇位継承に関する検討本部の笠浩史(りゅうひろふみ)本部長は、思想は保守で政治的手腕に定評がある。見事にまとめきった。
あとは政府与党が受け止め、速やかに典範改正を実現するのみだ。
それにしても、なぜ女系派は間違え、敗れ去ったのか?
決定的な敗因は二つ。一つは、「先例に基づく議論を行え」との論が広がったこと。もう一つは、野田佳彦元首相の狙いを完全に見抜かれたことだ。
女系派は、「愛子さまを皇太子に、いずれは愛子天皇、そして女系天皇」などと騒ぎ、陽動の役割を果たした。しかし、それは囮論点で、真の狙いとして「一般人の男を皇族にする」を勝利条件と考えていた。
当初は騙せたようだが、ある時点から国会議員の多数は先例を前提に議論をはじめ、一般人の男を皇族にするか否かが最大の争点となり、絶対多数派の前にゴネ続ける野田氏は孤立。国会の全体会議は「野田さん一人を説得する会議」などと揶揄されるようになった。
一部に「配偶者を皇族とすると女系天皇につながる可能性がある」などと本質からはずれた意見があり、女系派の「皇族にしても皇位継承権を与えなければよい」のような詭弁に騙されかけた政治家もいたが、「女系天皇の可能性があるから問題なのではなく、その時点で日本の歴史に一度も先例が無い国体毀損だから一切の妥協をしてはならない」との正論が広がった。
これでは打つ手なし。
皇位継承問題が「あと3手詰め」の局面に
それにしても女系派は、誰に皇室のことを習ったら、次から次へと珍説奇説を繰り出せるのか。たとえば、「今は皇太子不在だ」「男系継承など明治の典範で定められた男尊女卑の偽りの伝統でしかない」「日本はアマテラスより女系継承を否定していない」などなど。習う人間を間違えたとしか言いようがない。極めつきが、「万世一系など嘘だ!」である。だったら皇室を守る必要などない。
決定的だったのは、「女も皇族になれるんだから、男がなっていけない理由はない」と放言したことだ。そこが最大の争点なのに、本当にこれ以上の理屈を示せなかった。だったら国会議員は賛成できない。
ちなみに女系派が金科玉条とする小泉内閣の有識者会議報告書でも、この点は何の立証もしていない。要するに、議論せずにシレッと通そうとするだけだった。しかし、理屈っぽいことを言っても、煽動しかしなかった。
皇位継承問題、「あと3手詰め」の局面まで来た。しかし典範改正が実現して、はじめて出発点に立てる。
有終の美を飾るまで、まだまだ油断はできない。
―[言論ストロングスタイル]―
【倉山 満】
皇室史家。憲政史研究家。1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。
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