2026年2月、株式投資による総利益が100億円(税引き後)という金字塔を打ち立て、投資界隈に衝撃を走らせた。しかし、好事魔多し。直後に発生したイラン情勢の緊迫化による相場急落に直撃し、3月の1か月間でマイナス42億円という、常人には想像を絶する損失を被ることになる。
だが、彼は折れなかった。4月にはその損失の約半分を即座に奪還。現在、総利益は80億円超にまで回復している(4月末時点)。
◆16年目で初の“罠”「最大効率で往復ビンタを食らった」
名だたる億り人たちからも一目置かれるSTFさんが、なぜこれほどの巨額マイナスを喫したのか。彼は淡々と、その「構造」を分析する。「2月末に100億円の大台に乗せましたが、そこからが地獄でした。
原因を一言で言えば、激しいリバウンド(反発)を挟みながら下落していく相場に翻弄され、『最大効率で往復ビンタを食らった』ことに尽きます」(STFさん)
STFさんの基本戦略はシンプルだ。「相場が崩れればポジション(持ち株)を減らし、上昇局面では一気にアクセルを踏む」というもの。
「これまでのショック相場は、一方的に下げて、一方的に戻るのが定石でした。だから下げ局面ではポジションを縮小し、底を打って反転した瞬間に買い戻せば、一時的に被弾しても反発で取り返せた。
ところが今回は違った。16年の投資人生で経験したことがない、初めてのパターンでした」(STFさん)
この数年を振り返っても、2025年4月の「関税ショック」や、2024年8月の「令和のブラックマンデー」など、記録的な暴落はあった。しかし、それらは急落後の反発も極めて速やかだった。
対して、2026年3月の相場は「初めての経験だった」とSTFさんは振り返る。
「3月の相場は、一方的に下がるのではなく、日経平均株価が大きく下がっては1000円、2000円上昇し、またそこからドーンと下がる。ところが、また大きくリバウンドして、またドーンと下がる。こんなパターンが繰り返されたんです。
私は信用取引で、通常3倍程度のレバレッジをかけています。レバレッジをかけている以上、リスク管理から損切りはセットで必要です。だから相場が下がればポジションを減らす必要があります。
しかし、大きく下げた後に1000円、2000円と力強く反発する。ここで『下落は終わった』と判断してフルレバレッジ(信用取引の全力買い)で買い戻すと、そこからさらに奈落へ突き落とされる。このサイクルが何度も繰り返されたのです。
下がったら投げ、上がったから買ったものの、また下がる。このサイクルを繰り返し、最大効率で往復ビンタを食らってしまった。これが今回の損失の本質的な理由です」(STFさん)
個別銘柄のミスではなく、ボラティリティ(価格変動)の激しさに対応しきれなかった「ポートフォリオ管理の敗北」だと分析している。
「相場が荒れてボラティリティが激しいときは、どちらに振れるかわからないのだから、ポジション量自体を縮小しないといけません。それがうまくできなかった、ということです。
反省点として言えば、結果的に一時的なリバウンドだったのに『下落が終わった』と思ってフルレバで買ったのが間違いでした。
大きなリバウンドを何回も挟みながらの下落というのは、少なくとも記憶にある限り、私の16年の投資人生には一度もなかった。だから今まで通りのやり方でやってしまって、最大効率で食らってしまいました」(STFさん)
しかし、4月に入ると相場は一変。一方的な回復基調に乗ると、相場を力強くけん引する「半導体・生成AI関連」に資金を集中させ、損失の約半分を瞬く間に取り戻した。
◆震災で学んだ「ゲームのGOLD」と「現実の現金」
「もともとはサラリーマンで、経済の勉強をしたことも、投資の経験もゼロでした。きっかけは、資格取得ブームがあって、ゲーム感覚で楽しくなったこと。
日商簿記検定2級や宅建(宅地建物取引士)など、お金系・不動産系の資格を取っていったんですね。その流れでファイナンシャル・プランニング技能検定2級を取得したときに、株の仕組みや企業の財務諸表が読めるようになった。
『これならいけるかも』と100万円を入金したのが2010年。当時は円高の意味すらわかっていませんでした」(STFさん)
元手100万円で始め、瞬く間に750万円ほどに資産は増えた。しかし、直後に東日本大震災に遭遇。資産は4営業日で6分の1にまで溶けたという。
「あの経験が、私の原点です。
一方で、あれだけのことが起こっても元本割れにはならなかった。だったら、“利益が出たらしっかり出金することが大事”という考え方がここで確立しました」(STFさん)
その後、アベノミクスという歴史的強気相場を追い風に、3年で1億円、7年で10億円と、資産を加速度的に膨らませていった。
◆投資の鉄則「下落を拾わず、上昇に乗れ」
「基本的には増収増益の銘柄が前提です。ただし、それだけでは市場にすでに織り込まれている場合も多いので、四季報や市場のコンセンサスと比較してどうか、というのが数字の見方です。
さらにセグメントの成長性を精査し、市場がまだ気づいていない変化を狙います。どこか特定の部門が急に伸びていて、かつ継続性がありそうか、セグメント別の売上高や利益の推移なども細かく確認して、業績の拡大が続くと確信できた銘柄を買っています」(STFさん)
長く株式市場にいると、昨今は新NISAなどで株式投資のすそ野が広がっていることを感じるという。そんな初心者が陥りがちな、絶対にやってはいけない投資があると指摘する。
「初心者が最もやってはいけないのは、下がっているものを『割安だ』と思い込んで買うこと。下落トレンドにあるものは、さらに下がる確率が高い。
基本はチャートが右肩上がりのものを、分散して買うべきです。
新NISAの普及などで投資が身近になった今、STFさんは「投資を一つの“武器”として持っておくべきだ」と説く。
「投資というのは、労働とは別軸のお金の動かし方。労働以外のお金の動かし方を知っていれば、人生の選択肢は確実に広がります。
人生の中には好景気も不景気もくる。その好景気のタイミングで大きく増やせる状態にあることが重要で、そのためには早めに始めて、相場に触れておくことが大事です。
株式投資に適性があるかどうかは、やってみなければわかりません。入門としてはまず新NISAがいいと思います。興味が向かなければ、やめればいい。ゲームに手を出すくらいの気軽さでいいんです。調べていて楽しいと思えるなら、それは才能かもしれません」(STFさん)
◆「億」を超えて見つけた、唯一の贅沢
主にXで株式投資の情報を発信・共有しあう個人投資家を「株クラ」(株式投資クラスタの略)と呼ぶ。
「株をやっていると、今の仕事とか住んでいる地域も違う人が集まり、人生の過程がまったく異なる人と交流できる。
一種の社会人サークルのようなもので、がんばっている人や成功した人とお互い刺激をもらえ、吸収しながら、大きな損失を抱えてツラいときには痛みを分かち合ったり(笑)。株クラの仲間は、同じ相場という戦場で戦う戦友のような存在。株がきっかけで知り合えるこのコミュニティは大きな楽しみのひとつですね」(STFさん)
80億円という頂に到達してもなお、STFさんは相場の荒波に身を投じ続ける。それはもはや、数字を増やすためではない。不確実な未来を自らの力で読み解き、仲間と共に歩む「過程」こそが、お金以上の“価値”なのかもしれない。
【プロフィール】STF
会社員だった2010年に100万円で株式投資を始め、運用資金を750万円にまで増やしたが、翌年3月の東日本大震災の影響により運用資産を125万円に減少させるという経験を持つ。この経験から「利益の半分を出金するルール」を設け、好決算銘柄を中心にポートフォリオを組む投資スタイルを確立。その後、試行錯誤を経て2013年に資産1億円を達成し、2017年には10億円に到達。2018年に退職し独立し、2021年には資産を30億円に拡大。現在では総利益80億円超を達成したカリスマ個人投資家。自宅には全国のスゴ腕投資家が集まり、いつしか「BAR STF」と呼ばれるようになった。
<取材・文/横山 薫(扶桑社) 撮影/星 亘(扶桑社)>
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