「ようやく本領発揮か」と期待が高まっていた矢先、今井達也は再び現実を突きつけられた。
直近2試合の好投ムードから一転…本拠地で悪夢の大炎上
日本時間2日、アストロズの今井は本拠地で行われたツインズ戦で先発先発マウンドに上がった。しかし、5四球、2本塁打を浴びる乱調で、2回持たずに5失点で降板。防御率は再び6点台に悪化した。試合前、球団の公式Xは今井の背番号「45」と、ヒューストンからダラスを結ぶ州間高速道路「I-45」をかけ、「I-45 time」と投稿。エース候補への期待を込めたメッセージだったが、試合開始直後から返信欄や引用欄は批判で埋め尽くされた。
「こんな酷い投手は見たことがない。今すぐチームから外すべきだ」
「今まで見た先発投手の中で最悪だ」
「打たれるだけならまだしも、ストライクも入らない」
「大型契約で、防御率は6点台、1試合平均の投球回は4イニング程度だ」
アストロズと今井は今年1月に3年総額5400万ドル(約85億円)の契約を結んだが、その期待値と冴えない成績を比較する投稿まで現れた。
SNSの反応は極端になりがちだ。それでも、この日の投球を見れば、批判が殺到した理由は理解できるだろう。
落胆が大きかったのは、それまでの2試合で復調気配を見せていたこともあっただろう。今井は直近の2試合で12イニングを投げ、わずか3失点、合計21個もの三振を奪っていた。150キロ台のストレートとスライダーがようやくかみ合い、「これが本来の今井だ」という見方も増えていた。
再び露呈した立ち上がりの制球難
しかし、この日は直近2試合とはまるで別人だった。むしろ、それ以前の苦しんでいた頃の姿へ逆戻りしたと言った方が正確だろう。初回からボールが先行し、自ら苦しいカウントを作る。ストライクを取りにいった球は痛打され、四球と長打が重なる悪循環。5四球2被弾という数字以上に、初回から主導権を相手へ渡してしまったことが痛かった。
もっとも、「今井はメジャーでは通用しない」と結論付けるのはまだ早い。球速は150キロ台を維持しており、空振りも奪えている。問題は球威ではなく、立ち上がりの制球だ。
開幕から12試合。今井は“自滅パターン”を何度も繰り返してきた。ボールが先行し、ストライクを取りにいった球を痛打される。試合序盤にリズムを失い、そのまま早い回に降板する。この流れを断ち切れない限り、どれだけボールに威力があっても先発ローテーションを守り続けることは難しいだろう。
直近2試合で「ようやく壁を越えた」と期待したファンほど、今回の乱調には失望したのではないだろうか。
「まだ見限るのは早い」擁護論もある今井を巡る現状
とはいえ「初めてのメジャーなのだから慣れるには時間がかかる。もう少し辛抱強く見守るべきだ」という声もSNSでは見られた。実はこの意見には一理ある。日本で実績を積み重ねた投手であったとしても、ボールもマウンドも打者のアプローチも違うメジャーでは、適応に時間がかかることは決して珍しくない。
またアストロズが我慢強く今井を起用しているのにもわけがある。先発投手陣には故障者が相次ぎ、代役も潤沢ではない。
だからこそアストロズも簡単には今井をローテーションから外せない。序盤に崩れるリスクを承知の上で、その先にある投球を期待しているのだ。
トレード期限が迫る中で今井に残された時間は多くない
ただ、2~3週間後には今井を取り巻く状況が大きく変わる可能性もある。トレード期限が近づき、アストロズが新たな先発投手の補強に踏み切れば、より苦しい立場に追いやられることになる。今井は優勝を狙うチームのローテーションを任されている以上、試合を壊さない投球は最低条件。今回のような自滅は厳しく評価されても仕方がない。時間的猶予は限られている。
実は5回以降は防御率0.00…数字が示す今井復活への希望
それでも、数字を細かく見ていくと、今井の評価は少し変わる。今季のイニング別防御率を見ると、4回までは8.03と散々だが、5回以降は11回1/3を投げて無失点、防御率0.00。4回を投げ切ることができれば、その後は安定している傾向が見える。
サンプル数は多くないが、この落差は決して見逃せない。少なくとも「球威そのものが通用していない」という見方とは一致しない。試合の立ち上がりさえ改善することができれば、メジャーの強打者を抑え込み、試合を作る力は十分にある。直近の2試合連続2桁奪三振は、その可能性を示した結果でもあった。
今季の投球を改めて振り返っても、好不調の波が激しすぎるのが今井の最大の難点だ。しかし、見方を変えれば、好調時は相手打線を圧倒しているともいえるのではないか。
オールスターまで残された登板機会はおそらくあと2回。後半戦もローテーションを守り続けるのか、それとも球団に先発補強を決断させる存在になってしまうのか。この2試合が、今井のメジャー1年目を左右する分岐点になりそうだ。
文/八木遊(やぎ・ゆう)
【八木遊】
1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。現在は、MLBを中心とした野球記事、および競馬情報サイトにて競馬記事を執筆中。
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