リカバリーバブルが到来している。専用ウェアにグッズ、メソッドが盛りだくさんで、「休養本」はバカ売れ中。
なぜ疲労回復を求める現代人は増え続けているのか? ブームの真相と効果的リカバリー法を探った。

大ブームを巻き起こすリカバリーウェア

「疲れが取れる」と大人気のリカバリーウェアに思わぬ落とし穴…...の画像はこちら >>
寝不足大国の日本で目下、大ブームを巻き起こしているのが、睡眠時に疲労回復効果が得られるという「リカバリーウェア」だ。快眠セラピストの三橋美穂氏が話す。

「遠赤外線が放出される鉱物を練り込んだ生地でできた『一般医療機器』の届け出をしたものを一般にリカバリーウェアと呼びます。家庭用遠赤外線血行促進用衣とも言い、遠赤外線での血流改善を促す効果が期待できる。筋肉や組織に酸素や栄養が届きやすくなり、疲労物質の巡りがスムーズになる。ただし、感じ方の個人差は大きいです」

現在販売されているリカバリーウェアのブランドは20種類以上。元祖の「VENEX」に、ブームに火をつけた「BAKUNE」、コスパに優れたワークマンの「メディヒール」などさまざま。加えて、価格帯はバラバラだ。数千円台の高コスパ商品から、3万円近くする高級ブランドもある。なぜか?

価格帯がバラバラの理由は?

寝具メーカーの関係者が話す。

「1つは繊維の違い。各メーカーが研究費を投じて鉱物を練り込んだ独自繊維を開発しているため、その時間とコストによって価格にバラつきが生じている。2つ目には機能性。
高級ブランドは内側にも外側にも独自繊維を使用し、さらに肌触りの良さ、耐久性、デザイン性までこだわる一方、高コスパ商品は内側だけに独自繊維を使用し、デザインはシンプルにするなどして価格を抑えています。

また、生産量の違いも大きい。高級ブランドのVENEXは20年近くかけて250万着以上売ってきましたが、ワークマンは昨年から参入していきなり200万着もの生産を開始した。一着当たりの製造・開発コストが大きく異なる」

効果が疑わしいリカバリーウェアも…

「疲れが取れる」と大人気のリカバリーウェアに思わぬ落とし穴…数千円から3万円まで価格差はなぜ?「効果が疑わしい商品も」
低価格帯で人気なのはワークマンの「メディヒール」
この関係者曰く、効果が疑わしいものもあるという。

「高級ブランドのメーカーは赤外線分光放射率や血流増加率などの臨床試験データを蓄積していますが、一般医療機器は決まった書類を届け出るだけでよく、研究データの提出は不要。厚労省は、メーカーが“エビデンスを保持していればいい”としているだけなのです。

だから、エビデンスを公開しているメーカーはほぼない。その制度を利用して、『腰痛に効く』と宣伝する商品もありますが、厚労省は一般医療機器の定義から逸脱する可能性があると指摘しています。効果を並べ立てているウェアは怪しい」

着心地を重視して選択すべし

「疲れが取れる」と大人気のリカバリーウェアに思わぬ落とし穴…数千円から3万円まで価格差はなぜ?「効果が疑わしい商品も」
[疲労回復ブーム]の真実
「疲れが取れる」と大人気のリカバリーウェアに思わぬ落とし穴…数千円から3万円まで価格差はなぜ?「効果が疑わしい商品も」
スマートリングで睡眠を数値化すると快眠意識が高まる
そのため三橋氏は、着心地を重視した選択を勧める。

「季節に合った保湿性や肌触りの良さ、吸湿性、サイズ感を確認することが大事です。そのうえでゆったりしたものを選ぶ。睡眠時の理想的な寝返りの回数は20~30回とされているので、背中や腕のあたりの突っ張りが気にならないウェアのほうが寝返りがしやすく、血液やリンパ液の流れを促進して疲れが取れやすくなる。高級ブランドは試着できるので、実際に着て確認するといいでしょう」

このほかにも快眠に役立つグッズはいくつもある。

「安眠市場の拡大で増えたのはサプリ。
体温調節や神経系への作用を通じて睡眠をサポートするグリシンやリラックス作用を目的にしたテアニンなどは以前からありましたが、近年では複数の成分を組み合わせたものが人気。

加えてガジェット系も急成長中です。健康管理用のスマートリング『Oura Ring』の関係者によると、飲酒による睡眠の質の低下が顕著に数値化されるようで、多くの利用者の生活改善に役立っているとのこと。結局、快眠に結びつくのは規則正しい生活なんです。日中に太陽を浴びて活性化する脳内物質のセロトニンは、夜には睡眠ホルモンのメラトニンに変化して入眠を促しますから。

寝苦しい夏なら、後頭部を冷やして寝ると、脳が冷やされ、入眠しやすくなる。私は100円ショップで購入したネットに小豆を入れ、それを冷凍庫で冷やしたものを頭に当てたりします」(三橋氏)

リカバリーウェアに睡眠サプリ、スマートリング、ひんやり枕で快眠を貪るべし!

「疲れが取れる」と大人気のリカバリーウェアに思わぬ落とし穴…数千円から3万円まで価格差はなぜ?「効果が疑わしい商品も」
三橋氏は小豆を使ったひんやり枕で夏場は後頭部を冷やすという


“赤ちゃんがすぐ寝る音”で大人も寝る!

「疲れが取れる」と大人気のリカバリーウェアに思わぬ落とし穴…数千円から3万円まで価格差はなぜ?「効果が疑わしい商品も」
千葉音声研究所の村岡睦稔代表理事
なかなか寝つけないという人に、ぜひ試してもらいたいものがある。それは、「赤ちゃんがすぐに寝る音」(以下、寝る音)。制作したのは千葉音声研究所の村岡睦稔氏。今年5月に同所HPで無料公開すると3か月足らずで46万件もダウンロードされるほどの大ヒットを記録した。1歳児の母親(37歳)が話す。

「うちの子は寝つきが悪いうえに、ぐずるとメンタルがやられるほど手がつけられない。ところが、テレビで目にした『寝る音』を聞かせたら5分ほどで眠りに就いた。
私も一緒に眠りこけるようになって、精神的にも肉体的にも救われた」

実際に聞いてみると、シンプルなオルゴール音が印象的な曲だ。なぜ、赤ちゃんが寝るのか? 

「ママの心音を意識したゆったりテンポのオルゴール曲に、さざ波のような低周波のノイズを織り交ぜています。このノイズはママの寝息の平均速度と平均振幅を再現しているので、赤ちゃんが安心して眠りに就く効果が期待できる」(村岡氏)

育児に悩む人の負担を軽減

村岡氏は、過去に警察などからの依頼で赤ちゃんの泣き声が虐待に繫がった事件の音声鑑定などを担当したことがあるという。そこから「育児に悩む人の負担を軽減できないかと制作に取り組んだ」と話す。

「利用者から『初めて子供の寝顔が可愛いと思えた』とメッセージをもらったときは涙がこぼれた。嬉しいことに、高齢の利用者からも感謝の言葉が届きます。大人にとっても誰かと一緒に寝ているような安心感を与えて快眠を誘うようです」

【快眠セラピスト 三橋美穂氏】
寝具メーカー研究開発部長を経て独立。1万人超の眠りの悩みを解決。著書に『オトナ女子の不調と疲れに効く眠りにいいこと100』
「疲れが取れる」と大人気のリカバリーウェアに思わぬ落とし穴…数千円から3万円まで価格差はなぜ?「効果が疑わしい商品も」
快眠セラピストの三橋美穂氏
【千葉音声研究所 村岡睦稔代表理事】
高校時代はテクノバンドで活躍。独立後は音楽制作に加え、声紋鑑定などを行う研究所を設立。「寝る音」は現在、audiobookで配信中
「疲れが取れる」と大人気のリカバリーウェアに思わぬ落とし穴…数千円から3万円まで価格差はなぜ?「効果が疑わしい商品も」
[疲労回復ブーム]の真実
※2026年8月19日号より

取材・文/週刊SPA!編集部

―[[疲労回復ブーム]の真実]―
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