2025年の日本の合計特殊出生率は1.14。10年連続の低下で、過去最低となっている。
特に東京都では0.96と1を切っており、少子化は深刻な状況が続くが、もちろん例外も存在する。
 福岡市に暮らす円仏里奈さん(45歳)は、夫と8人の子どもと暮らす10人家族だ。20歳・15歳・13歳・9歳・6歳・5歳・1歳(双子)……幅広い年齢層の子どもたちを、賑やかに育てる円仏さん夫妻。

 その生活は一体どんな様子なのか。8人の子育てに勤しむママを直撃した。

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大家族の家は一体どうなっている?

 大家族と聞いて、まず気になるのは家の間取りだ。円仏さんの自宅は福岡市内の賃貸マンションで、広さ100㎡ほどの4LDK。4つの部屋を、それぞれどのように使っているのだろう。

「まず、家族の荷物を置いたりする部屋と、夫が自営業なので彼の仕事部屋があります。寝室は、私と夫と1歳の双子の4人で寝ています。そしてもうひとつが子ども部屋で、双子以外の子どもたちは、みんな揃ってそこに寝ていますね」

 ひと部屋にたくさんのベッドは並べられないため、子どもたちは布団を敷いて寝ているそう。20歳の長子はすでに家を出ているが、5人で寝ているとなると窮屈のようにも思えるが。

「普通に寝る分には窮屈そうではないですよ。
寝ている時間に部屋を覗くとくっついて寝ています(笑)。近くに誰かがいるのが落ち着くみたいで、一番上の子も家に帰って来たときは、みんなと一緒に寝ていますね」

米は月45kg、洗濯機は1日3回

 続いて気になるのが、衣食住の「食」の部分。13歳や15歳という、食べ盛りの子もいるので、米の消費量は相当なものだ。

「学校や保育園がない日は、8合を1日に3回炊きますね。カレーの日はそれでも足りないこともあるくらい。計算したら、お米は月に45kgくらい消費していました(笑)。ただ、この人数になると外食をしなくなるので、食費は月10~15万円くらいで収まっています」

 この量の食事を毎日作るのは大変そうだが、「衣」に関しても洗濯は相当な量になりそうだ。

「12kgのドラム式洗濯機で、1日に2~3回は回します。あまりに酷使しているので、買って1年も経たないうちに壊れちゃいました。

 回した回数がわかるらしいのですが、洗濯と乾燥合わせて1000回ぐらい回していたみたいで。業者の方に『え?寮ぐらい使ってますけど、何人で住んでます?』って確認されました(笑)」

 夫の仁さんは、自営業で建築関連の会社を営んでおり、日曜も仕事に出ていることも多い。家事は、子どもたちも担当しながらこなしているそう。

 また、主に同性の兄弟姉妹がいれば、衣服はおさがりするケースも多いようだが、大家族なりの特徴も見えた。


「年子などなら翌年に使えますが、数年開くと保管スペースがもったいないので、友人の大家族などに譲ります。逆に、おさがりとして使っているのは兄姉のものではなく、友人からいただいたものが多いですよ。

 ただ、双子が昨年生まれたので、お揃いにしたくて購入していて、今はその楽しみもありますね」

もともと4人の子持ちだった

「米は月45キロ消費、洗濯機は1日3回」8人の子どもと暮らす、“10人家族の母”を直撃。子どもが増えるたび「楽になった」ワケ
年齢層は幅広い
 円仏さんはバツイチで、最初の夫との間にすでに4人の子どもを授かっていた。

「最初は2人くらいかなと考えていました。初婚の際は東京にいたんですが、東日本大震災をきっかけに地元の福岡に帰ったんです。

 すると、地方は3~4人兄弟も当たり前だったし、実家も近くにあるから安心という感覚になって4人に増えました(笑)」

 その後、前夫とのすれ違いから離婚し、現在の夫と2019年に結婚。当時30代後半で、すでに4人の子の親権を持って子育てに奔走していた彼女は、再婚時にも現在の夫に「子どもはもうできないと思うよ」と話していたという。

「それが、ありがたいことに5人目を授かりました。当時、コロナの時期で、病院で産むにはいくつかの制限があったので、助産師さんに来てもらって自宅出産にしたんです。そしたら、それがとても楽で快適で『これならもっと産める!』って思いましたね(笑)」

4月が面倒! 大家族あるあるとは?

 こうして8人の子どもの親となった円仏さん夫妻。

「大家族あるある」を聞いてみると、いくつかのエピソードを教えてくれた。

「まず、子どもの年齢がパッと出てこないことがあります(笑)。例えば、4番目の子の年齢を思い出す時に、『こないだ3番目の子が誕生日で○歳になったから、○歳離れている4番目の子は○歳か』という考え方で思い出したりしていますね」

 また、同じようにたくさんの子どもを育てる親とは、次のようなことを愚痴り合っているという。

「年度始めの4月が面倒くさいんですよ。
学校や保育園に出す書類に『兄弟』の欄があって、それが通園・通学する人数分あるので、『何回同じ名前を書かなきゃいけないんだ!』ってなります(笑)。せめて、同じ学校に通っている子たちの分は1枚でいいようにして欲しいですね」

8人を育てて気づいた“いい諦め”と意外な変化

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10人家族
 大家族という存在は、かつて定期的にテレビで密着されていたことが示す通り、人気のコンテンツだった。それゆえか、密着番組内の描写が原因で世間から勘違いされていることもあるらしい。

「家が散らかっていると思われることが多いですね。我が家はむしろ、子どもが1~2人のころが一番散らかっていました。

 おもちゃも服もたくさん買っていましたし。だけど、子ども同士で遊ぶので、おもちゃもあまり買わなくなって、家からものが減っていくんですよ」

 さらに、育児の負担は、意外にも子どもが増えるのと比例するわけでもないという。まず、2人から3人になるときは、物理的に手を繋いでいられない数になるので、「いい諦め」をするしかなくなるそうだが、その先にも変化があった。

「精神的な面では、『自分の子育てのせいでこうなったんだ』と思わなくなりました。8人みんな私が育てたのに、まったく違う育ち方をするので。

 一番下の双子は一卵性の女の子で同じように育てているのに、もう性格がバラバラですからね。それで、育児への向き合い方はかなり楽になりました」

 とはいえ、親戚や友人の協力も一助になっている一面もあるようだ。


「仕事の出張に夫婦で行くこともあるんですが、その時は義母が見てくれます。まだ若くて元気な人なので、楽しそうに8人をワンオペしてくれてますよ。今の夫と結婚するときも、4人連れ子がいることについて『一気に孫が4人できた!』と喜んでくれていました」

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 話を聞くと「子どもが多いほど大変」という単純な話ではなかった。円仏さんは「子どもたちには、私たち親のことも『大人の一例』くらいに思ってくれればいい」と話す。

 筆者にもひとり息子がいるが、この言葉を聞いて、物理的に深く関わることができることによって、過干渉になっているのかもしれないと感じた。

 大家族ならではの暮らし方には、子育てを考えるうえでのヒントもありそうだ。

<取材・文/Mr.tsubaking>

【Mr.tsubaking】
Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。
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