総務省統計局が9月29日に公表した「令和7年国勢調査」によると、65歳以上で一人暮らしをしている人は815万3000人。65歳以上の人口の22.6%で、5人に1人以上にのぼります。年を重ねてからも、ご近所とどう付き合っていくかは、多くの人にとって身近な問題になっています。
今回ご紹介するのは、過去に大きな反響を呼んだ人気記事から、築30年以上の古いアパートで、ルールを守らない70代の住人に悩まされた男性の話。
記事の後半では、孤独を感じている人は何歳代に多いのかを調べてみました。
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築30年のアパートで出会った70代の迷惑住人
清水さんの前職は、ブラック企業で働く元社員。肉体的にも精神的にも疲弊し、フリーランスとして生きることを決意して退職した。パソコン作業を請け負うフリーランスのほか、飲食店のアルバイトを週に3回3~5時間程度。充実した毎日を送っていた。
「会社を退職して心機一転のために引っ越した先が、築30年以上の古いアパートです。外観が古くリフォーム済でも壁が薄かったですが、それでも風呂・トイレは別。トイレは洋式でエアコン付きの好待遇だったため不満はありませんでした」
とくに不満もなく1年以上が経とうとしていたある日のこと。先代の大家さんが亡くなり、20代でおとなしそうな雰囲気の孫娘Y美さんが「会社員として働きながら管理をすることになりました」と手土産を持って挨拶へやってきた。
そして、いままでは話したこともなかった清水さんに「ワシは、Y美がオムツをしていた頃から知っている」などと説明。久しぶりに会えたことをとても喜んでいたという。
やりたい放題の迷惑住人と口論に…
ところが、この数か月後からHさんの態度は徐々に横柄になっていった。「最初のほうは、決められた日時ではないときにゴミを出したり、自転車置き場への駐輪が雑だったり。それがだんだんとエスカレートしていき、ゴミは適当なモノを適当な曜日・時間に出すことが日常茶飯事になっていき、大きな音を出して周りの住人に迷惑をかけることもありました」
「僕の部屋はゴミ置き場のすぐ近くだったので、ニオイがキツくて……。
20代女性の大家が言い放った「スカッとする一言」
「それでもY美さんは怯むことなく、『ルールを守らずほかの人に迷惑をかける人には、このアパートから出て行ってもらうようになりますが、いいですか?』『場合によっては、警察へも相談させてもらいます』とピシャリと言い放ったのです」
ただ、それだけでなく、「私は小さい頃からHさんのことを尊敬していて大好きなので、これからもずっとここの住人でいてほしいんです。よろしくお願いします!」と、場をまとめてみせたのだ。
Hさんからの謝罪の言葉
Hさんはプライドもあってか、その場で怒り狂い、無言で立ち去ってしまった。しかし、後日謝罪があったようだ。「大きなトラブルに発展するかもと心配していたのですが、数日後にHさんと会った時、『ずっと昔から話し相手だった大家が亡くなって寂しかった。気づいたらなぜかあんなことをしてしまっていて恥ずかしい。申し訳ない』と謝罪がありました」
「そしてこのことをキッカケに、Hさんと会ったときは会釈だけでなく言葉で挨拶をし、一言・二言交わすよう意識するようにしたんです。
<TEXT/山内良子>
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■孤独を感じる人がいちばん多いのは、30代
年代別にみると、いちばん高かったのは30代の6.1%。いちばん低かったのは70代の2.5%でした。孤独は年を取ってからの問題、というイメージがありましたが、意外にも数字の上では逆の結果です。
もちろん、70代でも寂しさを抱える人はいます。Hさんも、長年の話し相手だった先代の大家さんを亡くして「寂しかった」と打ち明けていました。
■気軽に話せる相手がいないと、孤独を感じる人は10倍に
また、一緒に住んでいない家族や友人と直接会って話すことが「全くない」と答えた人も9.7%。およそ10人に1人です。
Hさんにとって、先代の大家さんは「ずっと昔から話し相手だった」人でした。Hさん自身も「気づいたらなぜかあんなことをしてしまっていて」と話していて、はっきりした理由は本人にもわからないようです。ただ、話し相手がいなくなったことが、心にこたえていたのはたしかなようです。
■「声をかけようと思う」人は、半分近く
ただ、そう思っていても、実際に声をかけるのはなかなか難しいものです。清水さんも、もともとHさんとは会釈を交わす程度だったと話しています。そんな清水さんがしたのは、会釈のあとに一言・二言を足すことだけ。それでもHさんの様子は変わり、いまではアパートの掃除を積極的にやっている姿も見かけるようになったそうです。
声をかけた清水さんは30代。数字の上では、孤独を感じる人がいちばん多い世代です。
迷惑なことをされれば腹が立つのは当然ですし、誰にでも気軽に声をかけられるわけでもありません。それでも、ご近所の人とすれ違ったときに、会釈にひと言だけ足してみる。気持ちが少し軽くなるのは、もしかしたら声をかけた自分のほうなのかもしれません。
【山内良子】
フリーライター。ライフ系や節約、歴史や日本文化を中心に、取材や経営者向けの記事も執筆。おいしいものや楽しいこと、旅行が大好き! 金融会社での勤務経験や接客改善業務での経験を活かした記事も得意
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