◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」
ヤクルトの45歳左腕・石川雅規が4月9日の阪神戦で今季初勝利を挙げた。秋田商から青学大を経て01年のドラフト自由獲得枠で入団。
勝敗や安打に本塁打など、過去の例を参考として数字に価値を見いだす仕事をしている。入社以前も含めると記録に関する業務にあたり四半世紀を過ぎた。1936年に始まったプロ野球は昨年まで6万6559試合も行われているのに、初めて目にする記録、何十年ぶりという記録が次々と生まれるから面白い。
冒頭の試合では金足農出身の石山泰稚がセーブを挙げた。2人が同じ試合で勝利とセーブは、20年10月21日の巨人戦以来、5年ぶり。今月4日の阪神戦と合わせ通算で7度ある。秋田の高校出身コンビが同一試合で勝利とセーブは、他に近鉄の村田辰美(六郷高)、佐藤秀明(秋田市立高)が89年4月27日のダイエー戦で記録した1度しかない。
石川が通算187勝目、石山が通算93セーブ目を手にした試合でプロ初黒星を喫したのが、阪神のルーキー・工藤泰成だ。石川がドラフトで指名された01年11月19日に誕生した23歳の新人右腕は明桜高出身だから、4月9日は秋田の高校を出た3人が勝利投手、セーブ投手、そして敗戦投手とそろったプロ野球で初めての試合になった。
石川のようにプロ野球記録として大々的に報じることがあれば、表には出ない隠れた記録もある。調べるのに時間がかかる場合もあるが、これからも「へえ~」と思ってもらえるような記録を探っていきたい。
◆阿部 大和(あべ・やまと)2006年入社。秋田県出身。プロ野球の記録担当。