打順を見ただけで選手には思いが伝わったはずだ。「目の前の1点を何が何でも奪え」と。

4番・吉川には岡本と同じ役割は求めていない。スピードのある1~3番でチャンスを作り、尚輝で取る。ゴロゴー、ギャンブルスタートも含めた何でもできる4番だ。本人も自覚していると思う。

 キャベッジは好きに打たせたい。余計なことを考えさせないための2番起用だろう。1、2、4番が左打者だから3番には右を置きたいところ、甲斐よりも足のある若林の方が動きやすい。初回、泉口の中前安打から、キャベッジが自らの意思で送りバントした。チームが同じ方向を向いている証拠だ。和真の長期離脱は痛すぎるが、全員が一丸となってつなぎ、6点をたたき出した。

 私が岡本を89代4番打者に指名した2018年6月2日、オリックス戦(京セラD)。コーチ陣の「まだ早いのでは」という声もある中、自分が全責任を背負う覚悟でスタートした。

今や球界を代表する主砲に成長。当然、代役なんていない。尚輝を第92代4番に指名したのとは別もので、阿部監督は「お前が何とかするんだ」の一心だろう。2回の守備で二塁悪送球というミスもあったが、気持ちが出過ぎたか。ある意味、もう一皮むけるチャンスだと思う。(スポーツ報知評論家・高橋 由伸)

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