◆JERA セ・リーグ 巨人6-4阪神(7日・東京ドーム)
巨人・坂本勇人内野手(36)が4番・岡本離脱の緊急事態を救った。不振による2軍調整から緊急昇格し、4回に決勝の適時二塁打。
見慣れていたはずの光景が、目にしみた。坂本にとって昨年8月以来のヒーローインタビュー。その瞳に、オレンジタオルを掲げるファンの顔が映った。「久々に1軍の舞台で歓声を受けられてうれしいです」。オープン戦と2軍戦を含め計107打席目で初の長打が、決勝の適時二塁打。増田陸、泉口、浦田ら若手がベンチに残り、G党とともに帰ってきたヒーローの姿を目に焼き付けた。
2―2の4回2死一塁。内角低めに入ってきたスライダーにやや泳がされながらも体の前でさばき、左翼線へ運んだ。
前日6日の阪神戦(東京D)で岡本が負傷離脱。自身は無期限の2軍調整を続ける中で「(昇格が)『あるな』と思ってました。巨人軍の4番で1人ですごい背負いながら戦っている姿を見てましたんで。和真の代わりにはなれないですけど、何とか全員でカバーしながら帰ってくるまで頑張ります」。名門の看板を背負うプレッシャーを分かち合える後輩には試合前に連絡。もう1人の千両役者が、巨人を救った。
恵みの雨から復調への光明が差し込んでいた。イースタン12試合で放った全9安打が単打。いい角度で上がった打球も「全部、外野フライだから」と、スタンス幅や打席の立ち位置を調整しながら試行錯誤を続けていた。
背番号6に復活の一打が飛び出した4回にチームは一挙4得点。今季、東京Dの阪神戦6試合目で待望の初勝利。NPB通算460本目の二塁打、通算777本目の長打は、特別な1本となった。「通算は過去のことなので、これからまだまだ打てると信じてやっている。ファンの方からの期待は裏切ってますけど、もっと打てるようにやっていきます」。坂本が打てば巨人は乗る。チームに大きな力を与える一打だった。(内田 拓希)
◆高橋由伸Point 空気変えた!一挙4点呼んだ
調子うんぬんではなく、坂本が気持ちで打ったタイムリーだ。岡本がいなくなり、自分が呼ばれた。