◆春季全道高校野球地区予選 函館地区1回戦 函館有斗10-0函館水産※5回コールド(7日・函館オーシャン)
函館地区で3試合が行われた。春14年ぶりの全道制覇を狙う函館大有斗は、10―0の5回コールドで函館水産に勝利。
函館大有斗のG党“飛雄馬”は、終始雨が降り続けるコンディションでも制球を乱すことはなかった。ジャイアンツカラーのグラブをはめ、5回75球無四球で無失点。「ゲームをつくれる。練習試合でもほとんど四球を出さない」という片口伸之監督(45)の評価通り、5回最後の打者も捕手の要求通り外角低めの直球で見逃し三振を奪い、スコアボードに0を並べた。
1週間ほど前に初戦の先発を告げられた。昨秋146キロをマークしたエース・長谷川結がいる中で“開幕投手”に指名され「初めてなので、やってやるぞ」。この日は決め球の縦スライダーなど持ち味の変化球を最小限にし、直球を中心に勝負。雨に加え、気温10度前後の天候でも自己最速タイの136キロをマークし、毎回の9三振を奪った。
週末に車で片道2時間かけて通っていた洞爺湖シニア時代は健大高崎の最速158キロ右腕・石垣元気(3年)がエースで、鶴野は4番手。高校入学後も左膝の骨が壊死するけがで長期離脱するなど公式戦登板は昨秋の1試合のみだった。「投げたくてうずうずしてました」。
父・豊和さん(54)が熱烈なG党で、名前の飛雄馬は野球アニメ「巨人の星」の主人公である星飛雄馬から名付けられた。室蘭大谷(現・道大谷室蘭)のレギュラーとして3年夏に南北海道大会8強入りした父は、高校で投手から外野手に転向。「自分は通用しなくてピッチャーをできなかった。何とか円山球場で投げてほしい」という父の熱い思いも込められている。
5日で最大4試合を戦う地区予選。2011年以来の優勝を目指す全道に進むためには、過密日程を乗り越えなければならない。投手陣も総力戦が予想される中、背番号10は「打たせて取る投球を意識して、チームの勝利に貢献したい」とさらなる活躍を誓っていた。(島山 知房)
◆鶴野 飛雄馬(つるの・ひゅうま)2008年3月26日、札幌市出身。17歳。札幌南の沢小6年時に東海Fイーグルスで野球を始める。
〇…函館工は1回戦で函館西に4-0。オールラウンダーの大沢煌太(3年)が、投手で勝利に導いた。中学までは捕手で、高校入学後に投手の練習を開始。現在は捕手、一塁、遊撃手も担い、常に4種類のグラブを持ち歩いている。1月に腰椎分離症で出遅れたが、急ピッチで仕上げて今大会へ。土がぬかるむグラウンド状況でも7回2/3を5安打無失点に抑え、「雨の練習試合が多かったので、慣れていた。
〇…函館中部は2回戦で檜山北に12-8。17安打に16盗塁の機動力も加え、最大5点差をひっくり返した。初回にいきなり5点を失ったが、「慌てることなくやってくれた」と弦木裕監督(48)。同点で迎えた7回にはこの日3安打1打点5盗塁の6番・斉田龍平左翼手(3年)の左前適時打で勝ち越し、一挙6点を奪って試合を決めた。25年ぶりの春全道まであと2勝。斎田は「きょうの試合内容ではまだまだダメ。ピッチャー中心に引き締めてやっていきたい」と力を込めた。