高校野球の春季静岡県大会は、聖隷クリストファーが決勝で桐陽を3―0で破り、初優勝で幕を閉じた。3位決定戦は日大三島が3―2で磐田南にサヨナラ勝ち。

今大会をふまえて、6月29日に開幕する全国高校選手権静岡大会への展望をまとめた。

 聖隷クリストファーにとっては、優勝という結果以外にも大きな収穫があった。決勝で3年生右腕の上田一心投手が公式戦初完封。昨秋は県3位、東海大会で8強まで進んだが、エース左腕・高部陸(2年)が県大会から完投を続けての好成績だった。上村敏正監督(67)は「夏に向けて大きい」と初の甲子園出場へ手応えを口にした。

 他の有力校も、夏の過酷な戦いをにらんだ投手起用が垣間見えた。桐陽は望月佑哉、鈴野佑月(ともに3年)という右の二枚看板中心に、準々決勝で今春センバツ出場の常葉大菊川を破るなど快進撃を見せて準優勝。3位・日大三島はエース右腕の小川秋月(3年)だけでなく、2年生ながらすでにプロスカウトにも注目される185センチ左腕・佐藤優真が公式戦デビュー。選手層に厚みが出た。

 春は32年ぶりベスト4だった磐田南を筆頭に公立校の存在も楽しみだ。夏のシード獲得となる16強には浜松湖北が初、富士が24大会ぶり、浜名が10大会ぶりに入った。私立校では島田樟誠が初めてシードを手にした。

 2季連続の聖地を目指す常葉大菊川はエース・大村昂輝(3年)を登板させず、打順も入れ替えてチームの底上げを図った。2年連続甲子園出場が懸かる春16強の掛川西は逸材がそろう。県予選初戦で磐田南に敗れた23年夏の甲子園出場校・浜松開誠館や、藤枝明誠はノーシードから逆襲を狙っており、侮れない存在だ。

(伊藤 明日香)

 〇…聖隷クリストファーは静岡県ではコロナ禍だった20年夏の代替大会以来となる優勝を飾った。2回に押し出し死球で先取点を挙げると、7回に渡部哉斗一塁手(3年)が2点適時三塁打を放った。わずか2安打も、8四死球で出た走者を犠打で確実に進塁させる手堅さが光った。4安打完封した先発の上田は「実感が湧かない」と笑顔。

編集部おすすめ