◆春季全道高校野球地区予選 函館地区2回戦 知内9―3函館(8日・函館オーシャン)

 函館地区で2回戦3試合が行われた。知内は、函館との公立校対決に9―3で勝利。

公式戦初登板初先発の右腕・渋谷來夢(3年)が6回3失点と試合をつくると、打線も17安打を放って終盤に突き放し、3年ぶりの春全道出場に前進した。

 未完の大器がついにベールを脱いだ。昨秋まで2年間メンバー外だった知内・渋谷來は、初めて立つ公式戦のマウンドで6回5安打3失点。先発の役割を果たし、「ピッチャーを任されている以上、勝たないといけない。そういう強い気持ちはあるほうだと思っているので、気持ちで勝負した。左打者への外角のスライダーが良かった」と振り返った。

 試合会場に向かう前、学校で先発を告げられた。「自分に来るんだろうなと、予想はしていた」が、いざマウンドに上がると軸足の震えが止まらず緊張はピークに。それでも、1回を3者凡退に抑えると徐々に落ち着きを取り戻し、5回まで無安打投球。2回に2四球と2犠打で1点、6回に5安打の集中打を許して2点を失ったものの、リードを保ってリリーフにバトンを託した。

 入学当初から制球力が課題で、2年間スタンドからの応援が続いた。練習試合では3イニングで2ケタ四死球を与えることもあり、「危ないので(練習での)打撃投手もさせてもらえなかった」という。

高校野球最後の1年に向け、オフはフォームを一から見直した。オーバーからスリークオーターに腕を下げるなど試行錯誤を続け、制球が安定。決め球のスライダーの曲がり幅が大きくなったほか、球速も136キロまでアップし、昨夏就任の高草木穣監督(57)も「今シーズンに入って、公式戦で投げさせられるくらいの結果を残してくれた」と評価。脱“ノーコン”で背番号「11」をつかんだ。

 183センチ、86キロの恵まれた体格で、指揮官も「体は大きいし、ポテンシャルはある。(背番号1の)田沢ともっと競ってくれれば」とさらなる成長を期待する。右腕は「この体で140キロ投げられないのはおかしいので、今年中に145キロは投げたい」。3年春の公式戦デビューから一気にエース街道を駆け上がる。

(島山 知房)

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