◆春季全道高校野球 旭川地区予選 2回戦 旭川高専11-4旭川商※7回コールド (9日・旭川スタルヒン)

 旭川、釧根地区が開幕した。旭川地区では、部員10人の旭川高専が11―4の7回コールドで旭川商を下し、春10年ぶりの勝利。

今年4月の入部まで野球未経験の8番・柏木響左翼手(2年)が1安打2打点をマークするなど、総力戦で初戦を突破した。

 10年の時を経て、旭川高専の校歌が春の旭川スタルヒンに鳴り響いた。公式戦勝利は2017年夏以来8年ぶり。校歌斉唱後、右往左往しながら一塁側スタンドに向かって駆けだした。旭川実で2010年夏の甲子園に出場している安藤陽平監督(32)にとっても就任後初勝利。「目いっぱいねぎらってあげたい」と選手を称えた。

 ベンチ入りは10人。大会直前に正捕手の加藤嵩翔(2年)が右足親指を骨折し、けが明けの選手もいるため出場辞退の選択肢もあった。それでも、選手たちの意志を尊重し、実質9人で出場することを指揮官は決断した。

 1人でも欠ければ途中棄権の可能性もある中、流れを引き寄せたのは3月まで「帰宅部」の柏木だった。昨年の体育祭で行ったソフトボールをきっかけに野球にはまり、4月に入部したばかり。中学時代はバスケ部で野球には「全く興味がなかった」という。

それが、入部後は日に日に情熱が高まり、全体練習が休みの日もグラウンドで自主練習に励んでいる。

 大会前の練習試合では三振続きだったが、この日の試合前練習できっかけをつかんだ。安藤監督からバットを寝かせて構えるように助言を受け、2回1死三塁の好機では直球を右前にはじき返して練習試合も含め初安打。5回にも無死三塁から痛烈な二ゴロを放って2打点目を挙げ、打線を勢いづけた。

 長い髪と、「コロナ禍から外すほうが違和感がある」という黒いマスクがトレードマーク。初の公式戦を勝利で飾り、「今まで何してたんだろうと。もっと早く野球をやっていればよかった」とマスク越しでも分かる笑顔で喜んだ。初安打、初打点に初勝利。次の目標を問われると「長打を打ちたいですね」と、充実の汗を拭っていた。(島山 知房)

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