◆米大リーグ エンゼルス1―4オリオールズ(9日、米カリフォルニア州アナハイム=エンゼルスタジアム)

 オリオールズ・菅野智之投手(35)が9日(日本時間10日)、敵地・エンゼルス戦に先発し、メジャー自己最長となる7回1/3を投げて3安打無四球1失点。チーム最多の4勝目(2敗)をつかんだ。

チームが今季ワースト5連敗で借金10だった中で快投。日本人投手では山本(ドジャース)、千賀(メッツ)に並ぶトップタイの4勝目となった。

 ハイド監督と握手を交わし、ベンチに下がる菅野には、敵地ながら拍手が送られた。メジャー自己最長7回1/3を投げ1失点の好投に敵軍ファンも脱帽。大きく曲がるスイーパー、小さい変化で球速が速いカットボールを巧みに投げ分けるなど、エ軍打線を手玉に取って4勝目。チームの連敗を5で止め「あまりよくない流れの中で、こういう仕事ができたのは価値がある」と胸を張った。

 6回までは2安打無失点。3点リードの7回には先頭に三塁打を許したが「1点をあげるつもりでいきました」と冷静だった。続くウォードを遊ゴロに抑えて1点を与えたが最少失点。7回を終え91球だったが、「まだいけます!」と直訴して上がった8回の先頭を二ゴロに打ち取り、マウンドを降りた。指揮官も「緩急を使ってボールを動かし、予測不能な投球で打者のバランスを崩して、とてもよかった」とたたえた。

 新天地1年目ながら、エース格の働きだ。

3連敗を2度を止めた右腕が、またしても苦しい状況で力投した。直前の敵地・ツインズ3連戦は全敗。移動のバスの中では37歳右腕・ギブソンが、ナインに訴えた士気を高めるスピーチも菅野の心には刺さった。「このチームはこんなもんではない」。巨人を長らくエースとして引っ張ってきた自覚は異国の地でも変わらない。

 ストライク率は69・9%と制球力は抜群。現地報道によると、7回以上を投げた試合で3度の無四球はウィーラー(フィリーズ)と並んでメジャー最多で、直近49年で防御率3・00未満で9イニングあたりの四球数「BB/9」が2・0未満だったのは昨季の今永に続いて2人目だという。

 ボールやマウンドに違いがあるとされ、長距離移動や時差などとも戦うメジャーにもすでに順応している。世界王者を狙える可能性があると信じて選んだチーム。地区最下位と苦しむが「収穫がきょう、たくさんあった」と今後への自信ものぞかせていた。(安藤 宏太)

 ◆菅野のストライク率 9日は69・9%で敗戦投手となった3日のロイヤルズ戦も67・1%だった。8試合に登板し平均は64・0%。

同じメジャー1年目の佐々木は8試合登板で平均は58・6%。

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