◆JERA セ・リーグ ヤクルト2ー3巨人(10日・神宮)

 まるでホームラン打者の放物線だった。約5秒の滞空時間を経た白球がスタンドに消えると、巨人・若林楽人外野手(27)は淡々とした表情のまま走るスピードを緩めた。

初回1死のフルカウントから「いい形で振れました」と高めカットボールを捉えて先制の3号ソロ。追い込まれてからバットを短く持ってミートに徹したが、打球は左中間席中段までグングン伸びた。

 大好きな場所でまたも暴れた。4回は三塁内野安打を放ち、神宮では5試合で22打数10安打、打率4割5分5厘と無類の強さを誇る。「神宮球場は家が近くて睡眠が多く取れるから、いい準備をしていけますね」とユーモアを交えながら好相性の理由を明かした。

 トレード加入2年目は開幕スタメンをつかみ、3、4月は25試合で打率2割9分2厘とブレイク。8日のオールスター会見では阿部監督から「このまま突っ走ってほしい」と、名指しで初の球宴出場を期待された。「まだまだそんな、オールスターは休みたいです(笑)」と謙遜しつつ「それぐらい試合で使ってもらっている。しっかり結果を残したい」と指揮官の親心に、バットで応えた。

 初めてレギュラー格として試合に出続ける日々。重圧によるストレスで4月下旬までに体重は約4キロ減ったが「もう頑張って飯食って筋トレして、それだけです」とベストの83キロまで戻した。出場31試合目で早くも11度目のマルチとなり、打率3割6厘はリーグ4位。

打てて、守れて、走れる。今や阿部巨人に欠かせない存在だ。(内田 拓希)

編集部おすすめ