高校野球の強豪、遊学館前監督の山本雅弘氏(73)が、11月に開催される60歳以上の軟式野球大会「第9回おじいちゃんの甲子園」に出場する。遊学館の指揮官として、春夏7回の甲子園出場を誇るが、選手として甲子園の地を踏むのは初めて。

石川県の野球チーム「元気いしかわ」(古希の部)の監督兼指名打者として活躍し、4月下旬の予選突破を果たした。山本氏は「甲子園には何回でも行きたい気持ちはあります。以前は子供たちを連れて行くのが仕事でしたが、今回は違う立場で甲子園に帰れる。楽しみにしています」と笑顔を浮かべる。

 2021年夏に遊学館の監督を勇退後、金沢大付高コーチを務めたほか、昨年3月には軟式野球、中谷商事の監督に就任。高校野球ではテレビの解説者も務める。昨年春には旧友に勧誘されて、元気いしかわに選手として加入し、今年からは監督も任されるようになった。「昔の仲間と再会できるのは嬉しい。今まで生涯野球の大切さを説いてきたので、自分もやっていかないと。やりがいのあることに取り組んでいれば、少しは長生きできるかな」と話す。今年7月の滋賀国民スポーツ大会では還暦軟式野球にも出場する予定で、高校野球の一線を退いた後も活躍の幅を広げている。

 病気もなく、健康を維持する一方で、唯一の悩みは肩痛だとか。

試合には痛み止めを飲んで出場している。「ほとんどの人が、どこかに爆弾を抱えています(笑)。でも、足の動く間はプレーしたい。今まで中学野球、高校野球に携わってきましたが、70、80歳を過ぎても声を出し、勝負にこだわり、一生懸命プレーしている。自分も歳を取っていますが、そういう姿を見ると、元気が出ますね」と話す。

 甲子園に行くのは、遊学館が2015年夏に出場して以来となる。「外野オーバーのヒットを打ちたい。中学1年と小学5年の孫もいるので、格好いいところを見せたいですね」と山本氏。生涯野球の楽しさを実感しながら、8度目の聖地で奮闘を誓う。(中田 康博)

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