◆東都大学野球2部春季リーグ戦第4週第1日▽駒大2―4国士舘大 (14日・大田スタジアム)

 国士舘大が駒大に先勝。初回に2点を先制するなど有利に試合を展開し、今季初の勝ち点奪取に向け前進した。

ひじの違和感で戦線を離脱していたエース左腕・渡辺拓幹(4年=駿台甲府)が先発。4月7日の立正大戦以来となるマウンドに立ち、5回2失点の粘投を見せた。

 昨春、2部最優秀投手に輝いたエースが帰ってきた。7安打を許しながらも打たせて取るピッチングで要所を締めた。「試合を作る面ではいい仕事をしたのかな」。チームを4試合ぶりの勝利に導き、自身も昨秋以来の白星を手にした。

 「さすがエース」。長井秀夫監督(66)がそうつぶやくと、左腕は安堵(あんど)の表情を浮かべた。離脱後のチームは6戦5敗。未だ勝ち点0で最下位に沈むチームにとって、エースの存在は必要不可欠だった。昨秋にでん部の肉離れ。投球のバランスを崩したことで、今春には左肘を負傷した。

思い通りに行かないなかで調整を重ね、約1か月ぶりに復帰。「5、6割くらいしか(状態が)上がっていないなかで、責任感をもって投げてくれた」。巨人・森中スカウトは「故障明けにしてはよく頑張った。これから状態が上がっていく様子を見ていきたい」と評価した。

 エースの持ち味は“球持ちの良さ”。回転数を重視し、球速よりも速く見える直球で打者を翻弄(ほんろう)する。プロの投手でも回転数は2200から2300ほどが大半であるのに対し、渡辺拓は“2600”。これほどの回転数を誇る投手は、大学生にはおろか、プロにもほどんどいない。昨春には切れのある直球を生かして7試合に登板し、3勝1敗、防御率0・63の好成績で2部最優秀投手、最優秀防御率、ベストナインの3冠を獲得した。復帰戦となった今回の登板では直球は2200回転ほどだったが、左肘は「もうなんともない」。順調に調整を重ね、トップレベルの回転数への回帰を見据えた。

 国士舘大は未だ勝ち点0。

最下位が確定すると、3部優勝校との入替戦が待っている。勝ち点獲得が絶対不可欠な“戦国東都”。厳しい世界を生き延びるべく、大きな戦力が戻ってきた。(北村 優衣)

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