◆米大リーグ ドジャース1―11アスレチックス(13日、米カリフォルニア州ロサンゼルス=ドジャースタジアム)
ドジャース・佐々木朗希投手(23)が13日(日本時間14日)、「インピンジメント症候群」でIL入りした。成長途上の大器の故障の背景や、今後の課題についてMLB担当の安藤宏太記者が解説する。
MLBは、NPB以上にタフさが求められる舞台だ。レギュラーシーズンは日本の143試合より19試合多い162試合。移動も日本列島3000キロより長い4000キロ超えもあり、国内ながら最大3時間の時差もある。さらに先発投手は日本とは違って登板日以外も原則としてベンチで見守らなければならず、マウンドに立つこと以外の環境も想像以上に負担は大きい。
朗希がNPBで規定投球回に到達したことがないこと、中5日以下での登板がなかったことは、当然ドジャース首脳陣も承知していた。メジャーの主流とは違って中6日を守るなど、登板間隔、球数に十分な配慮がされてきたが、右肩の状態をごまかし続けることはできなかった。
登板間隔をあけることは、MLBではベンチ入りの投手の人数が13人と定められ、マイナー行きもシーズン5度と決められているため、NPBの“投げ抹消”は現実的ではない。ピッチクロックの導入で故障のリスクは高まっているとされるが、朗希がメジャーで生き残るためには、最低でも中5日で投げられるだけの体を作らなければいけない。
ド軍は今季特に投手陣に故障が続出しており、救援右腕のコペックも同じ肩のインピンジメントで60日間のILに入っている。これには近年のチーム編成の方向性も背景にあるとみられる。肩、肘に負担のかかりやすい球速の速い投手を好み、体のタフさ以上に潜在能力の高い選手を評価。朗希だけでなく、スネルもグラスノーも、故障のリスクがありながら獲得した選手たちだ。
MLBでも100マイル(約161キロ)以上をコンスタントに投げられる先発投手は貴重。朗希が金の卵であることは誰もが認めるところだ。投手層も厚く、復帰へのサポート体制が整えられていることは、朗希にとっては心強いだろう。
状況は異なるが、大谷もメジャー1年目の18年に右肘、翌年に左膝の手術を受けながらも強固な体を作り上げた。昨季の山本は3か月離脱も9月に復帰し、ポストシーズンでフル回転。世界一の立役者となった。朗希も体への負担が少ないフォームを模索し、耐久性を持った肉体を作り上げることが、夢に見た舞台で活躍をする上での最短ルートとなるはずだ。(MLB担当・安藤 宏太)
◆ドジャース投手陣の現状 開幕からローテを守り続けているのは山本、メイの2人だけ。現在はゴンソリン、ナックを加え、足りない日は救援陣でリレーする「ブルペンデー」でまかなっている。左肩炎症で離脱中のスネルは14日(日本時間15日)にスローイングプログラムを再開予定。右肩炎症のグラスノーはすでにキャッチボールを再開。通算212勝のカーショーは左足親指と左膝半月板の手術から17日(同18日)のエンゼルス戦で今季初先発の見込み。