阪神・及川雅貴投手(24)が高卒6年目の飛躍を遂げている。ここまで17登板でいまだ防御率0・00。

救援防御率1・52と12球団トップのブルペン陣を支えている。横浜高時代にドジャース・佐々木、ヤクルト・奥川、同僚の西純とともに「高校BIG4」と称された左腕。好投の要因と同世代への思いを阪神担当の直川響記者が「見た」。

 まさに無双状態と言っていい。阪神・及川は今季17登板で17回1/3を自責0と盤石。過去5年間では、2年目だった21年の39登板が最多だが、68試合ペースで登板を重ねる。藤川監督も「素晴らしい状態」と絶賛する左腕。今年は何が違うのか―。

 24歳はこう自己分析する。「今年は三振も取れるし、ゴロでアウトを取れているのでいい傾向です」。奪ったアウトのうち、ゴロと三振の合計は昨年の70・6%から78%に上昇。さらに「無駄球が少なく、ゾーンで勝負できている」と胸を張る。

例年、四球から失点することも多かったが、9イニングあたりの四球数を示す与四球率は昨年の3・07から2・08と大幅に改善した。

 思い当たる節がある。オフに走り幅跳びで世界陸上に出場経験のある荒川大輔氏に“弟子入り”した。正しい走り方を学ぶなど陸上トレを取り入れ「いいフォームで走れるようになった」と実感。「疲れの感じ方が違う」と話す。「例年、この時期になると疲労で下半身が使えなくなってくるんですけど、今年は体のバランスがいい。練習でしっかり走れているからかな」。意外なところに飛躍のきっかけがあった。

 横浜高時代は、佐々木朗らと「高校BIG4」を形成し、オリックス・宮城も同学年。年月がたっても特別な感情を抱く。海を渡った佐々木の登板はチェック。奥川とは3日のヤクルト戦(甲子園)で再会し、交流した。

「みんな頑張ってるなと思うし、負けてられない」。偽らざる本音だ。「でも、気にしないようにしています。結局は自分次第ですから」。高卒6年目。同世代の存在を刺激にしながらも、自分だけの野球人生を歩んでいる。(直川 響)

 ◆その他の高校BIG4とオリックス・宮城の現状

 ▽佐々木 19年ドラフト1位でロッテに入団。今季、ポスティングシステムを利用しドジャース入り。4日にメジャー初勝利を挙げたが、右肩痛で14日に負傷者リスト入り。

 ▽奥川 ヤクルトにドラフト1位で入団。2年目の21年に9勝を挙げたが、右肘を痛めた22年の登板は1試合のみ。今季は開幕投手を務めた。

4日に出場選手登録を抹消され、2軍調整中。

 ▽西純 阪神のドラ1で22年に6勝。今季はローテ候補として期待されたが、右肘の手術を受けリハビリに専念している。

 ▽宮城 興南(沖縄)からオリックスにドラフト1位指名された。2年目の21年にローテに定着し通算44勝。23年WBCでは世界一に貢献した。

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